【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?

<IP関連銘柄として好調なソニーグループから、金融事業が分離して新たにソニーフィナンシャルグループが上場。2つに分かれた投資先、それぞれの魅力>, エンタメ総合商社として進化するソニーグループ, 割安な高配当株として注目されるソニーFG, どちらを選ぶかは投資目的次第

【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?

Sundry Photography-shutterstock

<IP関連銘柄として好調なソニーグループから、金融事業が分離して新たにソニーフィナンシャルグループが上場。2つに分かれた投資先、それぞれの魅力>

2025年9月29日、ソニーグループ<6758>から金融事業が分離上場し、新たにソニーフィナンシャルグループ(ソニーFG)<8729>が誕生しました。この戦略的な事業再編により、投資家にとっては、エンターテインメント事業に特化するソニーグループと、安定収益と高配当を特徴とするソニーFGという、性格の異なる2つの投資先が生まれています。

エンタメ総合商社として進化するソニーグループ

金融事業の分離により、ソニーグループは経営資源をエンターテインメント領域に集中投下する体制を整えました。ゲーム、映画、音楽、アニメの4本柱が生み出すシナジーは、単なる事業の寄せ集めを超えた価値を創造しています。

特筆すべきはエンタメ事業の収益の安定性です。それを支えるのが、「プレイステーション」や米アニメ配信サービス「クランチロール」といった強力なプラットフォームの存在。自社コンテンツだけでなく他社作品も取り込むことで、特定作品のヒットに依存しない収益構造を実現しています。

<IP関連銘柄として好調なソニーグループから、金融事業が分離して新たにソニーフィナンシャルグループが上場。2つに分かれた投資先、それぞれの魅力>, エンタメ総合商社として進化するソニーグループ, 割安な高配当株として注目されるソニーFG, どちらを選ぶかは投資目的次第

ビジネスモデルの転換も着実に進んでいます。ゲーム事業ではサブスクリプション型サービス「PSプラス」が急成長を遂げ、2025年3月期の売上高は前期比23%増の6698億円を記録しました。

また、IP(知的財産)戦略では、過去7年間で1.9兆円という巨額投資を実行。バンダイナムコホールディングスやKADOKAWAといったIPホルダーへの出資を通じて、グループ内でIPを多角的に活用する体制を構築しています。

この戦略の成果は既に表れており、子会社アニプレックスが制作に関与したアニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は10月13日までに世界興行収入948億円という大ヒットを記録。時価総額では米ウォルト・ディズニーとの差を3兆円弱まで縮め、エンタメ界の新たな巨人として存在感を高めています。

今期(2026年3月期)の中間決算では、売上高を12兆円、連結純利益を1兆500億円へそれぞれ上方修正(IFRS基準)。あわせて最大1000億円規模の自社株買いも発表されました。

割安な高配当株として注目されるソニーFG

一方のソニーFGは、生保・損保・銀行を手掛ける総合金融グループとして、全く異なる投資魅力を提供しています。

純利益(修正後)の8割強を占めるソニー生命を中核に、ソニー損保は自動車保険のダイレクトマーケティングで22年連続売上ナンバーワン、ソニー銀行は住宅ローン残高を着実に積み上げるなど、各分野で確固たる地位を築いています。

投資家にとって最も魅力的なのは、その割安感と株主還元姿勢です。予想PERは13.5倍(11月14日終値時点)と同業他社比で割安な水準にあり、配当政策では配当性向40~50%(IFRS修正純利益に対して)を基本とし、減配を原則行わない累進配当を採用しています。

<IP関連銘柄として好調なソニーグループから、金融事業が分離して新たにソニーフィナンシャルグループが上場。2つに分かれた投資先、それぞれの魅力>, エンタメ総合商社として進化するソニーグループ, 割安な高配当株として注目されるソニーFG, どちらを選ぶかは投資目的次第

上場時の特殊事情ゆえに表面上の配当利回りは低く見えますが、実質的な年間配当額で計算すると利回りは4.2%に達し、高配当株としての魅力を備えています。さらに、710億円規模の自社株買い枠も設定され、総還元の観点でも充実した内容となっています。

ただし、ダイレクトリスティング方式での上場(=直接上場。新株を発行せず既存株式だけを上場する方法)により、金融事業に関心のないソニーグループ株主からの売り圧力(フローバック)が続いている点は留意が必要です。

どちらを選ぶかは投資目的次第

ソニーの事業分離は、成長性重視の投資家にはエンタメ事業のシナジー拡大を狙うソニーグループ、安定性と配当を重視する投資家には割安な高配当株としてのソニーFGという、明確に性格の異なる2つの選択肢を提供しています。

投資家は自身の投資目的やリスク許容度に応じて、この2つの魅力的な投資先を選択することができます。エンターテインメント業界の構造変化と金融業界の安定成長という、異なる成長ストーリーに投資する機会が、今まさに開かれているのです。

[筆者]

山下耕太郎(やました・こうたろう)/トレーダー、金融ライター

一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家・トレーダーに転身。株歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味はウィンドサーフィン。

Xアカウント:@yanta2011 note:https://note.com/investwriter

山下耕太郎(トレーダー、金融ライター)