60代の女性が若者の2~3倍も使ってる「スマホアプリ」の種類とは

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災害の頻発で、防災が「自分ごと」になりつつある。なかでもシニア層は防災アプリやポータブル電源などの“デジタル防災”に高い関心を示しているという。新たな市場として注目を集める防災意識について解説する。※本稿は、梅津順江『消費の主役は60代 シニア市場最前線』(同文舘出版)の一部を抜粋・編集したものです。

災害大国・日本

シニアの防災意識は?

 2024年は日本列島各地で甚大な被害をもたらす自然災害が多発しました。元旦から能登半島地震があり、その後も台風や豪雨による土砂災害、南海トラフ地震臨時情報の発出にもつながった宮崎県日向灘地震、記録的な猛暑などに見舞われました。

 生きかた上手研究所は2024年7月5~8日、20~79歳一般女性900人に「防災に関する意識と実態調査」を行ないました。「不安に感じる災害」の内容に関して、全体では「地震」が76.2%とダントツでトップ。次いで4割を超えた順に、「猛暑・熱波」47.7%、「台風」47.1%、「豪雨(線状降水帯など)」42.4%、「感染症・伝染病」40.7%でした。

 60代女性を切り取って災害意識を見てみましょう。「不安はない」と回答した人はわずか6.7%。93.3%が、「災害に対して何らかの不安がある」ということになります。60代女性が不安に感じる災害は全体傾向と同じなのですが、「地震」80.7%、「猛暑・熱波」58.0%、「台風」57.3%、「感染症・伝染病」47.3%、「豪雨(線状降水帯など)」46.7%と全体平均の比率よりすべて上回りました。

「実際に、防災に備えて準備していること」に関しては、60代が「行なっていることは特にない」が20.0%ですので、8割が何らかの防災の備えをしているということになります。70代女性が最も備え意識が高い結果でしたが、60代女性も全体平均よりも高い水準の対策が多くありました。

 具体的には、「食料や防災用品の備蓄」58.7%、「避難場所の確認」36.0%、「家具の転倒防止のための対策」28.0%、「病気にならないようにする」25.3%、「断水対策」21.3%、「避難場所へのルートの確認」18.7%、「停電対策」18.0%、「防災系のアプリを自分のスマートフォンにインストールする」16.7% などです。

同書より転載

若者の2~3倍の60代女性が

「防災系アプリ」を利用

 注目したいのは、「防災系のアプリを自分のスマートフォンにインストールする」という項目です。20代6.7%、30代10.0%、40代5.3%ですので、若者の約2~3倍の60代一般女性が「防災系アプリ」をインストールしていることになります。

 55~74歳ハルメク読者に行なっている「デジタルデバイス調査」でも、「防災アプリ」の利用率を聴取したので、参考までに紹介します。2023年は58.6%、2024年は1.5ポイント増の60.1%と6割を超えました。

 防災アプリとは、災害情報をいち早く届け、災害時に役立つ情報を提供するアプリのことで、「Yahoo!防災速報」、「NHKニュース・防災アプリ」、「特務機関NERV防災アプリ」などがあります。

同書より転載

「備蓄品」に関しては、60代の「準備しているものは特にない」は17.3%ですので、82.7%が何らかの備蓄をしているということになります。「準備していること」同様、「もの」も70代についで、60代が備蓄品への意識が高いです。60代女性は、32項目中27項目で、全体平均よりも高い結果となりました。

 具体的には「水」、「懐中電灯」、「マスク」、「トイレットペーパー」、「缶詰」などがあがりました。注目したいのは、「乾電池やバッテリー(充電器)」40.0%、「連絡用の通信機器(携帯電話・スマートフォン)」30.0%、「測定器・検査キット(体温計・パルスオキシメーター等)」10.0%、「蓄電器(ポータブル電源)」6.7%などのデジタル・テックまわりの防災グッズです。

高齢者の自立を助ける

エイジテックに熱視線

 防災に備えるための「デジタル・テック系備品」が全体平均よりも高い結果は見逃せません。いつ、どこで、どんなレベルの、何が起こるかわからない、不確実なのが「自然災害」です。シニア世代こそ、行政や自治体が推進する「防災DX(災害対応の効率化・高度化を図るために情報や運営をデジタル化する取り組み)」が避けられないということなのでしょう。

 これらのデジタル・テック系の備えは「エイジテック備品」と言い換えてもよいかもしれません。なお、「エイジテック(Age Tech)」とは、高齢者が生活の中で直面する課題を解決するテクノロジーや概念を指す言葉です。日本では、まだ介護テクノロジー(Care Tech)が中心で、高齢者が自立して暮らすためのテクノロジーとしての認識が少ないことが課題とされています。

 60代は、自分を守るための「自助」と家族・隣近所の人を支えるための「互助」の双方を高く意識しながら、災害リスクに備えるさまざまな準備をしています。60代女性は、避難弱者である孫世代・親世代を助ける側にも、自身が助けられる側にもなる中間的な存在です。そのため、「防災DX」をいち早くキャッチアップする必要があるのでしょう。

シニア層は過去の経験が

「防災消費」につながる

 また、「なるべく人に頼らず、安心を得たい」という気持ちも強い人たちですから、相棒となったスマホが自分を守ってくれることは大歓迎です。すでに「スマホがいざという時に頼りになる身近な存在になっている」とも言えるかもしれません。

『消費の主役は60代 シニア市場最前線』 (梅津順江、同文舘出版)

 世界的規模で気候変動が続く中、60代は過去を知っているだけに、災害などの影響が深刻化している実感や加速化していることへの焦りも抱いています。「防災アプリ」、「エイジテック備品」などのデジタル防災の進行を、60代女性が先導していくのではないでしょうか。