【銘柄】オリエンタルランドが急落…日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い

【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
東京ディズニーリゾートはどうなるのか J_News_photo - stock.adobe.com
<日中関係の悪化を受けて、インバウンド関連銘柄は軒並み大幅安。なかでも注目されるのは、オリエンタルランドの株価急落の背景と、サンリオが講じた自社株買いの効果>
2025年11月、台湾情勢を巡る日中間の対立が深まり、中国政府が自国民に対して日本への渡航自粛を呼びかけました。この政治的緊張は、日本の株式市場にも大きな影響を及ぼし、観光や小売をはじめとするインバウンド関連銘柄が軒並み下落する事態となりました。
特に、訪日外国人消費への依存度が高い企業や、中国で人気の高い知的財産関連企業であるオリエンタルランド<4661>とサンリオ<8136>の株価動向に注目が集まっています。
オリエンタルランド急落の背景
「東京ディズニーリゾート」などを運営するオリエンタルランド<4661>の株価は、日中対立のニュースが流れた11月17日に5.8%下落しました。ANAホールディングス<9202>などと並んで、日中対立による下落銘柄のひとつとなりました。
ただし、ここには政治的要因だけでなく、直近の決算内容と市場の評価が複雑に絡み合っています。
オリエンタルランドが10月30日に発表した今期中間決算では、売上高が前年同期比6.4%増の3161億円となり、中間決算として過去最高を更新しました。「東京ディズニーシー」の新エリア「ファンタジースプリングス」のフル稼働や夏の限定イベントによる集客効果もあり、入園者数は前年同期比0.4%増の1225万人を確保、1人当たり売上高は5.2%増の1万8196円に増加しています。
にもかかわらず、決算発表翌日の10月31日、株価は一時10%を超える急落となり、3カ月ぶりの安値に沈みました。

この逆行安の背景には、主力のテーマパーク事業の営業利益が前年同期比0.4%減と小幅ながらマイナスに転じた点があります。市場では「テーマパーク事業の営業減益着地はネガティブ」と指摘され、想定以上の費用増加が一過性か構造的かを見極める必要性が示されました。
さらに、オリエンタルランドの株価収益率(PER)は足元で45倍。市場で「割高」と指摘されていた水準が引き続き維持されており、今回の決算でもその割高感を払拭するには至りませんでした。
また、市場が人工知能(AI)・半導体関連に集中しているなか、「キャラクター関連など知的財産(IP)関連はショート(空売り)にしている海外勢も多い」との声もあります。投資テーマの点でも、オリエンタルランドには逆風が吹いている状況なのです。
サンリオが講じた自社株買い
「ハローキティ」などのキャラクターが中国で高い人気を誇るサンリオ<8136>も、日中対立の余波が広がった「関連株」のひとつとして影響を受けました。知的財産関連株への売り圧力は、今後、アニメの上映打ち切りといった中国国内でのダメージを受ける懸念があるとの分析もあります。
政治的な緊張が高まる少し前、サンリオは低迷する株価に対処するための措置を講じました。というのも、11月5日に中間決算を発表して以降、株価は3割安と低迷していたのです。

これを受け、サンリオは「足元の株価が当社が考える適切な水準を下回っている」として、最大150億円の自社株買いを実施すると発表。発行済み株式総数の1.34%を上限とするこの自社株買いは、2023年11月以来2年ぶりのことで、株価を適切な水準に引き上げる狙いがあります。
インバウンド関連銘柄の株価の行方
日中対立が深まったことで、インバウンド関連銘柄は軒並み大幅安となりました。
中国からの訪日客数は国・地域別のトップで、今年は9月までに4割超増加しています。中国人訪日客の消費額は年換算で約2兆円規模に達し、日本のサービス輸出において完成車に次ぐ規模を占めています。日中関係の冷え込みは、企業業績に大きな影響を与えるリスクと認識されています。
百貨店では、11月17日に三越伊勢丹ホールディングス<3099>が12%近く急落したほか、高島屋<8233>も5%を超える下落。免税売上高に占める中国人客のシェアは、高島屋で58%、大丸松坂屋(J. フロント リテイリング<3086>)は66%といずれも高水準のため、今後の来店客数の減少が懸念されています。
化粧品・小売では、資生堂<4911>が一時11%安となり、4月7日以来の日中下落率を記録。同社は中国事業売上高比率が25%、免税事業が11%を占めています。良品計画<7453>は10%超の下落、「ユニクロ」のファーストリテイリング<9983>や「ドン・キホーテ」のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>なども下落となりました。
一方で、現時点では影響の「濃淡」について留意すべきとの指摘もあります。
関西地方では、いまのところ大きな宿泊キャンセルなどの目立った動きは見られないとの報告もあり、訪日客の半分超がリピーターであることから、自粛の動きが急激に広がることは考えにくい......との見方もあります。
とは言うものの、もし対立が長期化すれば、日本経済全体に悪影響が懸念されます。すでに企業主催の宴会や宿泊では延期やキャンセルの動きが出始めているホテルもあり、長期的な影響については警戒が必要です。
[筆者]
山下耕太郎(やました・こうたろう)/トレーダー、金融ライター
一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家・トレーダーに転身。株歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味はウィンドサーフィン。
Xアカウント:@yanta2011 note:https://note.com/investwriter
山下耕太郎(トレーダー、金融ライター)