「選択的夫婦別姓つぶし」か「一歩前進」か…政府が検討する「旧姓の通称使用拡大」法案に野党まちまち
政府・与党が、旧姓の通称使用を法制化する関連法案を2026年の通常国会に提出する方向で検討を始めた。
これに対し、野党からは「選択的夫婦別姓つぶしだ」との批判や、「一歩前進」と評価する声など、賛否の声が上がっている。
◆自民・小林政調会長は「不便を速やかに解消していく必要」
旧姓の通称使用拡大は高市早苗首相の持論。首相就任前の今年2月には法制化に向けた「私案」を示していた。

首相官邸に入る高市首相=5日(佐藤哲紀撮影)
日本維新の会との連立合意は「旧姓の通称使用の法制化法案を2026年通常国会に提出し、成立を目指す」と明記している。
自民党の小林鷹之政調会長は12月4日の記者会見で「結婚した後の旧姓の使用について不便を感じている方がいるのは事実なので、速やかに解消していくことが必要だ」と述べ、党内で議論を進める考えを示した。
ただ、自民党にも選択的別姓推進派は一定程度おり、意見の集約には時間を要するとみられる。
推進派の中堅議員は5日、東京新聞の取材に「(旧姓の通称使用拡大法案は)中身のない法案で、成立するわけがない」と静観する構えを示した。
◆選択的別姓導入の29年前の答申を「闇に葬るのか」
野党の反応はさまざまだ。
立憲民主党は選択的別姓制度を導入する法案を今年の通常国会に提出し、28年ぶりに審議入りした。法案は衆院法務委員会で審議されたが、採決にいたらず、臨時国会で継続審議になっている。

立憲民主党の本庄知史政調会長=11月27日(佐藤哲紀撮影)
本庄知史政調会長は3日の記者会見で「旧姓使用の拡大を否定しているわけではない」とした上で、「選択的夫婦別姓が導入されても通称使用はできる。私たちは選択肢を広げるべきだという提案をしている」と強調。「結婚しても名字を選べる、そういう選択肢のある社会を目指していく」と話した。
共産党の田村智子委員長は4日の記者会見で、旧姓使用拡大の法案について「選択的夫婦別姓をつぶすためにやっていることだ」と批判。
1996年に法制審議会(法相の諮問機関)の答申で選択的夫婦別姓制度の導入が示されていることを踏まえ、「違うものをいきなり出してくるということになれば、この答申を闇に葬ることにもなる」と話した。
公明党の斉藤鉄夫代表も、5日の記者会見で「(政府提出法案として出す場合は)法制審に諮問し直すべきだ」と指摘した。
◆国民民主は通常国会に選択的別姓法案を出していたが…
与党は衆院ではぎりぎり過半数を回復したが、参院では今なお過半数に6議席足りない。法案が提出された場合、国民民主党と参政党の対応が成否を左右する可能性がある。

国民民主党の玉木雄一郎代表=11月25日(佐藤哲紀撮影)
国民民主党は今年の通常国会で、選択的夫婦別姓導入の法案を独自に提出。臨時国会で継続審議になっている。
玉木雄一郎代表は3日の記者会見で、通称使用の拡大について「不便さの解消という意味では一歩前進だ。通称使用と選択的夫婦別姓は相反するものではなく、併存して前に進めるべきものだ」と一定の理解を示した。
参政党の神谷宗幣代表は3日の記者会見で「わが党は選択的夫婦別姓に反対の論陣を張ってきたので、通称(使用)の拡大には大きな意味では賛同だ」と、政府・与党に協力する姿勢を示した。(木谷孝洋)
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