解説|AIバブルはどこへ向かうーソフトバンクは大幅下落

孫正義の逆張りー株価急落でもAI投資加速, OpenAI緊急事態ーGoogle追撃で競争激化, 宇宙を狙えー投資フロンティアにテック企業の触手, 日本に投資を呼びこめー変わる資金環境と財政問題

解説|AIバブルはどこへ向かうーソフトバンクは大幅下落

NEKO ADVISORIES 岩倉です。AI投資を巡る市場の見方が大きく揺れています。ソフトバンクグループの孫正義会長は先週、「AIバブルかどうかなんて馬鹿げた質問だ」と強気発言を繰り返しましたが、同社株価は直近高値から3割超下落。投資家心理との温度差が鮮明になってきました。

ソフトバンクグループの孫正義会長は先週、「AIバブルかどうかなんて馬鹿げた質問だ」と強気発言を繰り返しましたが、同社株価は直近高値から3割超下落。投資家心理との温度差が鮮明になってきました。

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AI分野では技術競争が新たな段階に入っています。業界トップ企業の間で開発競争が激化し、一部では社内体制の大幅見直しに踏み切る動きも出始めました。同時に、投資マネーは次世代テーマへの模索も始めており、宇宙ビジネスや新しい決済システムなど、AI以外の成長領域にも関心が広がっています。

投資環境も変化の時を迎えています。各国で金融政策の転換点が訪れる中、特に日本では政府の積極的な投資誘致策と金利動向の狭間で、複雑な局面が展開されています。本日のニュースレターでは、刻々と変わる投資環境に光を当てていきます。

<本日のトピック>・孫正義の逆張りー株価急落でもAI投資加速OpenAI緊急事態ーGoogle追撃で競争激化宇宙を狙えー投資フロンティアにテック企業の触手

日本に投資を呼びこめー変わる資金環境と財政問題

孫正義の逆張りー株価急落でもAI投資加速

ソフトバンクグループの株価が市場の期待と大きく乖離した動きを見せています。同社株価は直近高値から30%以上の急落を記録し、約14兆円の時価総額が消失する事態となりました。この下落局面で注目されるのが、孫正義会長の一連の投資行動です。11月にエヌビディア株を58億3000万ドルで全株売却した直後から、自社株の買い増しを進めており、持ち株比率を33.74%から34.73%へ引き上げました。(ロイター)

「1株たりとも売りたくはなかったが、OpenAIやその他のプロジェクトへの投資資金が必要だった」。孫会長は都内で開催された国際投資会議で、エヌビディア株売却の真意をこう語りました。(ブルームバーグ)この発言は、同氏のAI投資戦略における優先順位を明確に示しています。短期的な株価上昇が期待できるエヌビディア株よりも、OpenAIへの長期投資を選択したということです。実際、ソフトバンクGはOpenAIに累計350億ドルの出資を予定しており、持ち株比率は11%に達する見込みです。

孫会長の投資哲学は、過去のビジョンファンドでの失敗とは明らかに軌道を変えています。3年前に「バブル状態だったと反省している」と述べた同氏が、今回は「AIバブル論は賢明とは言えない」と真っ向から否定。AI分野への巨額投資の正当性を、将来の市場規模で説明しています。「AI投資を巡るバブル論はどこにあるのか」という強気発言の背景には、AIが長期的に世界GDPの10%を占めるという壮大なビジョンがあります。

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しかし、この逆張り投資戦略にはリスクも伴います。OpenAIの企業価値が1兆ドルに達すれば、ソフトバンクG株は現在の1万8200円から3万2200円まで上昇する可能性があります。エヌビディア売却で得た資金をAI投資に振り向ける一方で、自社株価の下支えも同時に図るという二正面作戦が、果たして功を奏するのでしょうか。

OpenAI緊急事態ーGoogle追撃で競争激化

OpenAIに異変が起きています。同社のサム・アルトマンCEOが全社に緊急事態を発令し、ChatGPT強化への資源集中を命じました。この決定により広告事業や自律型エージェント開発など複数のプロジェクトが後回しとなる事態に発展。AI業界のトップランナーが防戦に回らざるを得ない状況は、競争環境の激変を物語っています。(ブルームバーグ)

急速な方針転換の引き金となったのは、Googleの技術的躍進です。同社が投入した「Gemini 3」は従来モデルの弱点を克服し、推論・プログラミング分野で大幅な能力向上を実現しました。しかし、より深刻な脅威は別の領域から現れています。GoogleのTPUチップに対する企業需要が急拡大しており、メタが数十億ドル規模での採用を検討中との報道が市場を驚かせました。これまでエヌビディアが独占してきたAIチップ市場に、強力な対抗馬が登場した格好です。(ブルームバーグ)

【今日の企業分析】Alphabet (Google)

投資マネーの流れも明確にGoogleに向かっています。著名投資家ウォーレン・バフェットが率いる投資会社が約7600億円相当のアルファベット株を購入し、同社株価を押し上げました。10月以降だけで時価総額が1兆ドル増加し、4兆ドルの大台が視野に入る勢いです。技術革新と投資資金の両面でGoogleが優位に立ちつつある現実を、市場が率直に評価した結果と言えるでしょう。(ブルームバーグ)

ただし、利用者数では依然としてChatGPTが圧倒的優位を保っています。月間アクセス数は11億人とGeminiの7倍以上を記録し、成長率でも上回る状況が続いています。しかし、技術競争の激化により、この差が今後どれだけ維持できるかは不透明です。ソフトバンクが350億ドルを投じるOpenAIにとって、収益化の道筋を早急に確立することが喫緊の課題となりました。アルトマン氏の緊急対応は、孫正義会長の投資判断の正否を左右する重要な分岐点となるでしょう。

孫正義の逆張りー株価急落でもAI投資加速, OpenAI緊急事態ーGoogle追撃で競争激化, 宇宙を狙えー投資フロンティアにテック企業の触手, 日本に投資を呼びこめー変わる資金環境と財政問題

ブルームバーグ

宇宙を狙えー投資フロンティアにテック企業の触手

ところで、サム・アルトマンCEOは昨年秋まで、ロケット開発企業ストーク・スペースの買収を極秘で進めていました。交渉規模は数十億ドルに及び、経営権取得まで視野に入れた本格参入計画でした。AI競争に追われる現在の状況とは対照的に、同氏は早くから宇宙空間でのデータセンター運用という次世代構想を描いていたのです。

OpenAIのアルトマン氏、宇宙産業への参入を検討 WSJ報道 - 日本経済新聞

宇宙データセンターの事業性について、より具体的なビジョンを示すのがアマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏です。同氏は今後10年から20年でギガワット級の宇宙施設が稼働し、地上設備を性能面で凌駕する時代が到来すると分析しています。宇宙環境では連続的な太陽光発電が実現でき、地上施設が抱える冷却コストや電力制約から解放される利点があります。衛星技術の商業化が進む中、データセンター分野への応用は技術的に実現可能な段階に入ったと判断しているようです。(ロイター)同社が推進する衛星通信事業「Amazon Leo」は、この宇宙インフラ戦略の第一歩と位置づけられます。既に150基の衛星を打ち上げ済みで、最終的には3200基超のネットワーク構築を計画。ジェットブルー航空やL3ハリス・テクノロジーズなど企業顧客との契約も確保しており、宇宙ビジネスの商業化が現実味を帯びています。(ブルームバーグ)

この衛星通信分野で先行するのがイーロン・マスク氏のスターリンクです。約9000基の衛星で全世界600万人超にサービスを提供する同事業は、宇宙インフラの収益化モデルを実証しました。アマゾンの「Amazon Leo」との競争が本格化する中、宇宙ビジネスは単なる技術実験から巨大な商業市場へと変貌を遂げています。両社の競争により衛星通信コストの低下と性能向上が期待され、宇宙データセンターへの道筋もより現実的になってきました。

日本に投資を呼びこめー変わる資金環境と財政問題

海外でAIや宇宙をめぐる投資競争が激化する中、日本も投資誘致に本格的に乗り出しています。高市政権はAI・半導体分野をはじめ17の戦略産業に集中投資する方針を打ち出し、海外資本の呼び込みを積極化させています。高市早苗首相が都内の国際金融会議で放った「Just shut your mouths... invest everything in me!」という漫画「進撃の巨人」のセリフは、この強い意気込みを象徴するメッセージでした。「Japan is back, invest in japan」と結んだ演説は、サウジアラビアなど産油国資本の取り込みを狙った戦略的なアピールです。しかし、この積極姿勢の一方で、日本固有の金融環境に深刻な変化が生じています。(時事通信)

新政権の財政政策は、市場の想定を大幅に上回る規模に達しています。今年度補正予算の歳出総額は18兆円を超え、その大部分を国債発行で賄う構造が鮮明になりました。(時事通信)来年度予算の要求段階では122兆円という史上最大規模に膨張し、前年度から5兆円以上の増加となっています。首相は経済成長による税収増で財政健全化を図ると説明しているものの、専門家からは実現性を疑問視する声が相次いでいます。

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ブルームバーグ積極財政、18兆3034億円 借金頼みで家計支援・成長投資―補正予算案を閣議決定:時事ドットコム

日本の長期金利上昇が財政問題を再燃させる中、金融政策も転換点を迎えています。日銀は12月18・19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%へ引き上げる公算が高まっており、これは1995年以来30年ぶりの高水準となります。(ブルームバーグ)米国では長期金利が4%台で推移し、今後の利下げ観測もくすぶる中、日本は明確な金利上昇局面に入っています。

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時事通信

片山さつき財務相は「植田総裁とのコミュニケーションは非常に良い」と述べ、政府が利上げを容認する姿勢を示しました。(ロイター)日本の長期金利は既に1.95%台まで上昇しており、大規模な国債増発が金利上昇圧力を生む一方で、高い金利が国債利払い費を押し上げる懸念も出てきています。金利上昇が続けば年間の利払い費負担も増加するため、財政運営への影響が注視される状況となっています。

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