みんなで大家さん、成田「地区計画」に地権者の同意なかった 小泉一成市長は「同意得た」と答えていたが

 成田空港(千葉県成田市)周辺の大規模開発事業に関する不動産投資商品「みんなで大家さん」(成田商品)を巡り、開発に向けた成田市の審査に条例違反があった問題で、市長が12月の市議会で虚偽の答弁をした疑いがあることが、市への取材で分かった。この問題での市の不適切な対応が相次いで浮き彫りとなった。(井上真典)

◆成田市は「虚偽ではない。地区計画決定も有効」との立場

 条例違反は、開発許可前に行う地区計画決定に向けた内部審査であった。市条例は地区計画案の提出要件を、地権者数の3分の2以上の同意が必要と規定。2017年12月に事業を手がける不動産会社「共生バンク」(東京都千代田区)が提出した計画案は、同意要件を満たしていなかったが、市は手続きを進めた。

 今年6月に、千葉県内の男性(77)が手続きが違法と市に指摘。市は顧問弁護士から条例違反との指摘を受けたが公表せず、東京新聞が10月10日に報道した。男性はその後、地区計画案に関する追加の同意書を確認しようと情報公開請求したが、市は「不存在」と回答したという。

成田市の小泉一成市長(資料写真)

 一方、小泉一成市長は12月2日の市議会本会議で「事業者は計画案提出後、同意の取得を進め、地区計画の決定前には3分の2以上の同意が得られていた」と答弁した。

 男性の情報公開請求の結果を受け、東京新聞が市に取材したところ、担当者は市長答弁の内容を、地区計画決定後の手続きとなる開発許可申請時に事業者が提出する「開発行為施行同意書」を指していたと説明。地区計画では追加の同意が得られていなかった事実を認めた。

 その上で「開発行為の同意は、地区計画の同意を包含している。誤認を与える意図を持って答弁をしたわけではなく、虚偽ではない。地区計画決定も有効だ」とした。

◆違法と指摘した男性「むちゃくちゃな理屈だ」

 土木技術者として土地の開発に長年携わってきた男性は「地区計画の同意と開発許可の同意は、全くの別物。地区計画の決定がなければ開発許可申請はできない。(市の説明は)むちゃくちゃな理屈だ」と憤る。

開発工事が遅れている45万平方メートルの事業地=7月、千葉県成田市で、本社ヘリ「あさづる」から

 12月議会では、複数の市議からも「条例に反して事業が進められた。不適切な便宜供与ではないのか」など、市側の責任を問う声が上がっていた。

 空港周辺の大規模開発を巡っては、小泉市長が開発許可の審査期間中、共生バンク側の招待を受け、三重県伊勢市の同社グループ運営のテーマパークを同社が手配したヘリで私用として訪問。同行した市議が実質的に経営するコンサルタント会社は、共生バンク側から用地の紹介料などの名目で数千万円を受け取ったとみられることが、東京新聞の取材で明らかになっている。

 地区計画の決定手続きを巡る条例違反 地区計画は、都市計画法に基づき、一定の地区を単位にして建物の用途や高さなどのルールを自治体と地域住民が定める制度。作成や変更には公告・縦覧と都市計画審議会の審議が必要になる。地区計画案の提出要件には、市条例で地権者の3分の2以上の同意が必要とされているが、市は当時、人数ではなく登記上の土地の単位「筆」の割合で算出し、要件を満たしているとした。

成田市の小泉一成市長と事業地(資料写真)

【関連記事】"「みんなで大家さん」問題 審査の手続き「条例違反だった」と成田市 2017年、計画案めぐり当初

【関連記事】"成田2市議「現状では何も言えない」 みんなで大家さん側から関係会社に数千万円疑惑、議会への説明を拒否

【関連記事】"箱根駅伝 千葉県ゆかりの3選手が闘志