【老後のお金事情】シニアの無職夫婦「1カ月いくら」で生活してる?【70歳代の貯蓄額】二極化傾向に。平均・中央値を見てみる
- 意識しておきたい「平均寿命」と「健康寿命」の差
- 【70歳代・二人以上世帯】老後の「平均貯蓄額・中央値」はいくら?
- 【厚生年金】令和シニアが受給している「平均的な年金月額」はいくら?
- 厚生年金の「平均年金月額」を見る
- 【国民年金】令和シニアが受給している「平均的な年金月額」はいくら?
- 国民年金の「平均年金月額」を見る
- 【65歳以上の無職夫婦世帯】老後の家計収支は平均で「約3万円の赤字」
- 65歳以上の無職夫婦世帯の収入:25万2818円
- 65歳以上の無職夫婦世帯の支出:28万6877円
- 65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支:ひと月3万4058円の赤字
- 【29歳以下~85歳以上】みんなの「食費」はどのくらい?
- 物価高を踏まえたうえで、老後に向けた対策を考えよう
【29歳以下~85歳以上】みんなの「食費」1カ月あたりの平均はいくら?

【老後のお金事情】シニアの無職夫婦「1カ月いくら」で生活してる?【70歳代の貯蓄額】二極化傾向に。平均・中央値を見てみる
2025年も残すところあと数日となり、 仕事納めや大掃除など、新しい年を迎える準備に慌ただしい時期を迎えました。
家計の総決算を行うこのタイミングで、「老後の資金は今の備えで足りるのだろうか」「年金生活のやりくりはどうなっているのか」と、改めて将来に思いを馳せる方も多いのではないでしょうか。
特に、物価高騰が続く昨今の状況下では、日々の生活費の負担を重く感じ、将来への不安を抱くのは自然なことです。
そんな時、まずは今のシニア世代のリアルな経済状況を知ることが、ご自身のライフプランを冷静に見つめ直す第一歩となります。
この記事では、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(平均値・中央値)や、シニア世代が受け取っている厚生年金・国民年金の平均月額についてわかりやすくご紹介します。
また、65歳以上の無職夫婦世帯が1カ月に費やす生活費の実態も詳しく解説しますので、資金計画の参考にしてください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
意識しておきたい「平均寿命」と「健康寿命」の差
2025年6月13日、年金制度改正法が国会で可決・成立しました。
今回の制度改正では、現役世代への保障を手厚くするだけでなく、年金を受け取りながら働くシニア世代への配慮や、私的年金制度の強化など、幅広い分野にわたる見直しが盛り込まれています。

年金制度改正の全体像
なかでも、在職老齢年金における支給停止基準の大幅な緩和は、年金と就労の両立を目指すシニア世代にとって大きな転換点といえるでしょう。
実際、総務省「2024年(令和6年)労働力調査」によると、65歳以上の就業者数は930万人に達し、前年から16万人増加しており、シニアの就労は着実に広がりを見せています。
一方で、厚生労働省の統計を見ると、平均寿命(※1)と健康寿命(※2)には、男性で約8年、女性で約12年の差があります。
この期間は、医療や介護の支援が必要となる可能性が高く、老後の生活を考えるうえで「資金面の備え」がより重要になる時期でもあります。
こうした状況を踏まえると、現役のうちから計画的に貯蓄や資産形成を進めておくことが、70歳以降の暮らしの安心につながるといえるでしょう。
※1 平均寿命:2022年 男性81.05歳、女性87.09歳・2023年 男性81.09歳・女性87.14歳(「令和5年簡易生命表の概況」)
※2 健康寿命:2022年 男性72.57歳、女性75.45歳(「健康寿命の令和4年値について」)
【70歳代・二人以上世帯】老後の「平均貯蓄額・中央値」はいくら?
次に、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」を参考に、70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)についてグラフを交えて確認していきます。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

【貯蓄額の一覧表】70歳代・二人以上世帯
「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は2416万円とされていますが、この数値は一部の高額資産世帯の影響を受けており、必ずしも一般的な生活実態を反映しているとは言い切れません。
実態に近い指標とされる中央値は1178万円となっており、多くの世帯の貯蓄額がこの水準前後に集まっていることが分かります。
実際の世帯ごとの貯蓄状況を把握するため、貯蓄額の分布を以下で確認していきましょう。
・金融資産非保有:10.9%
・100万円未満:4.5%
・100~200万円未満:5.1%
・200~300万円未満:3.7%
・300~400万円未満:3.9%
・400~500万円未満:2.9%
・500~700万円未満:6.4%
・700~1000万円未満:6.7%
・1000~1500万円未満:11.1%
・1500~2000万円未満:6.7%
・2000~3000万円未満:12.3%
・3000万円以上:25.2%
・無回答:0.6%
70歳代・二人以上世帯で最も割合が高いのは貯蓄額が1000万円~1500万円未満の世帯で、全体の11.1%を占めています。
一方で、金融資産非保有の世帯は10.9%となっており、資産状況には大きな開きがあることが分かります。
貯蓄額は退職金の有無や収入の経歴、相続、健康状態などによって大きく左右されます。
また、公的年金の受給額についても、現役時代の加入状況により個人差が生じるため、貯蓄が少ない世帯では、年金収入だけで生活を維持するのが難しい場合もあるでしょう。
老後の安定した暮らしを送るためには、各世帯の状況に応じた生活設計が重要です。
たとえば、健康なうちはパートなどで収入を得る、不動産や投資による副収入を検討するなど、家計やライフスタイルに合わせて備えておくことが安心につながります。
【厚生年金】令和シニアが受給している「平均的な年金月額」はいくら?

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続いて、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金の平均年金月額を確認しましょう。
なお、厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されていますが、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下、記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
厚生年金の「平均年金月額」を見る
・〈全体〉平均年金月額:15万289円
・〈男性〉平均年金月額:16万9967円
・〈女性〉平均年金月額:11万1413円
【国民年金】令和シニアが受給している「平均的な年金月額」はいくら?
厚生年金の加入期間がなく、国民年金(老齢基礎年金)のみを受給する場合の月額についても確認してみましょう。
国民年金の「平均年金月額」を見る
・〈全体〉平均年金月額:5万9310円
・〈男性〉平均年金月額:6万1595円
・〈女性〉平均年金月額:5万7582円
たとえば、「厚生年金の男性平均月額を受け取る夫」と「国民年金の女性平均月額を受け取る妻」という夫婦世帯では、2人分の年金収入は合計で月額22万7549円となります。
【65歳以上の無職夫婦世帯】老後の家計収支は平均で「約3万円の赤字」
前章で触れた「月およそ22万円」という年金収入で、シニア夫婦の生活費をどの程度まかなえるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」をもとに、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」における標準的な家計収支を確認していきます。

【65歳以上の無職夫婦世帯】老後の家計収支
65歳以上の無職夫婦世帯の収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金):22万5182円
65歳以上の無職夫婦世帯の支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
・食料:7万6352円
・住居:1万6432円
・光熱・水道:2万1919円
・家具・家事用品:1万2265円
・被服及び履物:5590円
・保健医療:1万8383円
・交通・通信:2万7768円
・教育:0円
・教養娯楽:2万5377円
・その他の消費支出:5万2433円
■うち非消費支出:3万356円
・直接税:1万1162円
・社会保険料:1万9171円
65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支:ひと月3万4058円の赤字
・ひと月の赤字:3万4058円
・エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.8%
・平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):115.3%
この世帯の1カ月あたりの収入は25万2818円で、その大半は公的年金などの社会保障給付によるものです。
一方、毎月の支出は28万6877円となっており、収入を上回っています。
内訳を見ると、食費・住居費・光熱費といった日常生活にかかる消費支出が25万6521円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万356円です。
上記の結果から、家計は月あたり3万4058円の赤字となり、不足分は貯蓄を取り崩して補う必要があり、年間では約40万円の取り崩しになる計算です。
シニア世代は、現役世代に比べて収入を増やす選択肢が限られるため、このような赤字が続くと、貯蓄の減少スピードが早まる可能性があります。
現在の貯蓄額を把握したうえで、家計の見直しを行ったり、体調に無理のない範囲で短時間の就労を検討したりするなど、できる対策を積み重ねていくことが、老後生活を安定させる重要なポイントとなるでしょう。
【29歳以下~85歳以上】みんなの「食費」はどのくらい?
家計管理の中でも、日々の生活で意識しやすく、工夫次第で見直しやすい支出の一つが「食費」といえるでしょう。
ここでは、総務省統計局「家計調査 家計収支編(2024年)」をもとに、二人以上世帯における1カ月あたりの平均的な食費を確認してみます。

年代別、1カ月あたりの平均的な食費
全体平均 7万5258円
・~29歳 5万2413円
・30~39歳 6万9433円
・40~49歳 7万9900円
・50~59歳 8万1051円
・60~64歳 7万9831円
・65~69歳 7万7405円
・70~74歳 7万4322円
・75~79歳 6万8274円
・80~84歳 6万6257円
・85歳~ 6万3347円
二人以上世帯の月間食費は、50歳代で約8万円と最も高く、その後は年齢が上がるにつれて徐々に減少し、85歳以上では6万3347円まで低下しています。
これは、年齢とともに食事量や生活スタイルが変化することが影響していると考えられます。
食費は、世帯構成やライフステージによって差が出やすい項目ですが、家計に余裕が少ない世帯ほど「家計に占める食費の割合(エンゲル係数)」が高くなる傾向があります。
物価高が続く今だからこそ、食料品の価格動向に目を向けつつ、無理のない範囲で食生活や家計全体を見直していくことが大切でしょう。
物価高を踏まえたうえで、老後に向けた対策を考えよう
今回は、70歳代のリアルな経済状況を見てきました。
食費や住居費用など、必ず必要になる費用については意識していても、突然の病気やケガ、介護のリスクに伴う出費は想定できていないご家庭も多いのではないでしょうか。
日本人の平均寿命は年々伸びており、健康寿命との差は無視できない問題です。
経済的な不安がある人は、今ある資産や収入は生活費のために守りながら、老後に向けた備えについて考えておくことが大切です。
参考資料
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
・厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
・金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・総務省統計局「家計調査 家計収支編(2024年)第3-2表」
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