なぜ今「ダウの犬」なのか? 配当と安定性を重視する王道戦略の注目10銘柄

なぜ今「ダウの犬」なのか? 配当と安定性を重視する王道戦略の注目10銘柄

短期的な値動きに振り回されず、配当と安定性を重視した投資を考えたい局面が続いています。そうした視点で改めて確認したい戦略が「ダウの犬」です。ダウ平均30銘柄の中から配当利回りの高い10銘柄を選び、1年間保有するというシンプルな戦略をもとに、本稿では2025年時点の予想配当利回りから各銘柄の特徴と位置づけを整理します。

「ダウの犬」は、利益と安定性を重視した王道戦略

先行きが見通しにくい相場環境が続く中、「次はどの銘柄が上がるのか」を追いかける投資に疲れを感じている方も少なくないかもしれません。

こうした局面こそ、あらかじめ決めたルールに基づいて投資を続ける戦略が改めて注目されます。その代表例が、「ダウの犬(Dogs of the Dow)」です。

「ダウの犬(Dogs of the Dow)」とは、アメリカの代表的な株価指数であるダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)の構成銘柄の中から、配当利回りが高い上位10銘柄を年初に選び、等金額で投資し、1年間保有するという非常にシンプルな投資戦略です。

考え方の根底にあるのは、「配当利回りが高い=株価が相対的に下落している可能性がある」という視点です。

市場では、業績や外部環境の変化を背景に一時的に評価を下げられた優良企業が存在します。ダウ構成銘柄は、そもそも米国を代表する成熟企業ばかりであり、財務基盤や事業の持続性という点では一定の信頼があります。その中で配当利回りが高くなっている銘柄は、「過度に売られた可能性がある」「評価が戻る余地がある」と考えることができます。

この戦略は、値上がり益だけを狙うものではありません。配当という“確定的なリターン”を受け取りながら、時間を味方につけて株価の見直しを待つ——まさに、利益と安定性のバランスを重視した王道のバリュー戦略として、長年にわたり多くの投資家に使われてきました。

2025年12月21日時点の「ダウの犬」銘柄

本稿では、2025年12月21日時点の予想配当利回りをもとに、「ダウの犬」に該当する10銘柄を整理し、それぞれの特徴を確認していきます。

以下は、TradingView に表示される予想配当利回りをもとに、利回りの高い順で整理したものです。

配当利回りや構成銘柄は年末時点で確定しますので、この記事を読まれたタイミングでは、ぜひご自身でも最新データを確認してみてください。

※本稿に記載した配当利回りは2025年12月21日執筆時点での予想値であり、実際の配当や年末確定値とは異なる場合があります。

1. Verizon Communications(VZ)

米国を代表する通信大手。スマートフォン向けの無線通信サービスを中核に、固定ブロードバンドや企業向けネットワークサービスも展開しています。

予想配当利回りは約6.9%と、ダウ構成銘柄の中でも突出した水準です。

通信は生活インフラであり、景気後退局面でも需要が大きく落ちにくい一方、競争激化や巨額の設備投資負担が収益を圧迫しやすい側面もあります。高配当の裏側にある「なぜ株価が低迷しているのか」を理解したうえで保有することが重要な銘柄です。

2. Chevron(CVX)

1906年創業の世界的な総合エネルギー企業で、原油・天然ガスの探査から精製、販売までを一貫して手掛けています。ウォーレン・バフェットが投資していることでも知られる銘柄です。

予想配当利回りは約4.6%。原油価格の変動という明確な外部要因に左右されるものの、強固な財務基盤と潤沢なキャッシュフローを背景に、安定した株主還元姿勢を維持しています。インフレ局面や資源価格上昇時には再評価されやすい特性があります。

3. Merck & Co., Inc.(MRK)

米国を代表する製薬企業で、がん免疫療法薬「キイトルーダ」やHPVワクチン「ガーダシル」を主力としています。源流は1668年にドイツで創業した薬局にまでさかのぼり、350年以上にわたりサイエンスと向き合ってきた歴史を持つ企業グループです。

現在も売上高の約2割を研究開発に投資しており、医薬品・バイオテクノロジー分野における競争力は非常に高いと言えます。

予想配当利回りは約3.4%。特定薬品への依存や特許切れリスクはあるものの、ディフェンシブ性と成長性を併せ持つ銘柄です。

4. Amgen(AMGN)

バイオ医薬品に特化した研究開発型企業。腫瘍、免疫、慢性疾患向けのバイオ医薬を中心に、高い利益率を誇ります。

予想配当利回りは約3.1%。新薬開発の成否が業績に影響するものの、成熟企業としての安定感も備えており、「成長と配当の中間」に位置づけられる銘柄です。

5. Procter & Gamble(PG)

「Pampers」「Tide」「Gillette」など、世界的ブランドを数多く擁する生活必需品の巨人。日本でもP&Gでお馴染みです。景気の良し悪しに左右されにくく、価格転嫁力の高さが長期的な競争優位性となっています。

予想配当利回りは約2.9%。連続増配の実績もあり、長期保有を前提としたインカム投資家からの支持が厚い銘柄です。

6. Coca-Cola(KO)

世界最大の飲料メーカー。バフェット銘柄としても有名です。全世界で通用するブランド力と知名度を強みに、炭酸飲料だけでなく、水、スポーツドリンク、ジュースなど幅広い飲料ブランドを展開しています。

予想配当利回りは約2.9%。不景気でも愛飲されやすく、ディフェンシブ銘柄の代表格として、ポートフォリオの安定装置になりやすい存在です。

7. Nike(NKE)

フットウェアやスポーツウェアを中心に、スポーツ関連製品をグローバルに展開する企業です。特にフットウェア分野で強みを持ちます。

世界的ブランドである一方、足元では関税コストが重しとなっています。ただし、ブランド力そのものが毀損したわけではありません。今週、アップルのティム・クックCEO(2005年からナイキの取締役)はナイキの経営再建を評価し、約300万ドル分のナイキ株を新たに購入したことも報じられています。

予想配当利回りは約2.8%。一時的な逆風による調整局面にあるからこそ、ダウの犬戦略の本質を体現している銘柄と言えるでしょう。

8. UnitedHealth Group(UNH)

米国最大級の医療保険・ヘルスケアサービス企業。雇用主や中小企業向けの医療保険に加え、予防ケア、遠隔診療、処方薬給付なども提供しています。

ユナイテッド・ヘルスケアとオプタムという2つの大きな事業の柱を持ち、人口高齢化という長期トレンドを背景に安定成長が期待されています。

予想配当利回りは約2.7%。規制リスクはあるものの、収益基盤は非常に堅固です。

9. Home Depot(HD)

住宅リフォーム・建材販売の最大手。住宅リフォーム向け建設資材、家具、ガーデニング用品などを取り扱う大型小売店チェーンを展開する世界首位のホームセンターの企業です。社員の知識も高く、店頭販売に強みがあります。オンライン販売にも積極的でその割合は年々増加し、取り扱い商品数は100万点以上。金利動向や住宅市場の影響を受けやすいものの、米国の住宅ストック更新需要という長期テーマがあります。

予想配当利回りは約2.7%。積極的な自社株買いも特徴です。

10. Johnson & Johnson(JNJ)

医薬品、医療機器、ヘルスケア製品を展開する、世界最大級のヘルスケアカンパニー。60年以上の連続増配実績を持ち、配当を重視する長期投資家にとっての定番銘柄です。

予想配当利回りは約2.7%。利回り水準は下位ですが、配当の信頼性では際立つ存在です。

ダウの犬戦略の本質

「ダウの犬」の平均配当利回りは、おおむね3.5%前後とダウ平均全体を上回る水準になります。ダウ平均の構成銘柄を配当利回りの高い順に選んでいるため、これはある意味で自然な結果とも言えるでしょう。

この戦略の本質は、当たりを引くことではなく、ブレない“型”を持つことにあります。

相場は常にノイズに満ちており、短期の値動きやニュース、SNSの声に振り回されると判断は感情的になりがちです。しかし、「年に一度、ルールに従って選び、1年保有する」という単純な仕組みを持つことで、迷いを減らし、投資を継続する力が生まれます。

そもそも米国を代表する30銘柄の中から高利回り株を選ぶというフィルタリングが効いているため、非常にシンプルながら再現性が高く、配当という現実的なリターンを重視する長期投資と相性が良い戦略と言えます。

とはいえ、高配当=安全ではありません。

業績悪化や減配リスク、米国株式市場全体の影響を受けるという点にご注意ください。興味を持たれた方は、この機会にぜひ調べてみてはいかがでしょうか。

派生戦略「ダウの子犬」も注視

「ダウの犬」からさらに絞り込んだ派生戦略が「ダウの子犬(Small Dogs of the Dow)」です。配当利回り上位10銘柄の中から、株価が低い5銘柄に集中投資する方法です。

ダウ平均は株価加重平均指数であるため、株価が低くても指数への影響は小さくありません。

「低株価=問題児」ではなく、調整局面にある優良銘柄が含まれる可能性がある点が、この戦略の面白さです。年末年始はいつもよりも投資の学びや調べ物にも時間が取れると言う方も多いのではないでしょうか。「ダウの犬」「ダウの子犬」をきっかけに、ご自身のポートフォリオや投資戦略を見直す機会にしていただければと思います。

この記事が少しでも皆様の投資のお役に立てれば幸いです。良いお年をお迎えください。

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