申請しなければ受け取れない…高齢者が見落としがちな国の給付金・手当5選

年金に上乗せされる支援2つ+雇用保険に関係するお金3つをまとめて解説

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

申請しなければ受け取れない…高齢者が見落としがちな国の給付金・手当5選

暖房費や食料品の負担が増えやすい冬、年金生活の家計に不安を感じている高齢者も少なくありません。

実は、国の制度のなかには「条件を満たしていても、申請しなければ1円も受け取れない」手当や給付金が複数存在します。

老齢年金に上乗せされるお金や、働いていた経験があれば対象になる雇用保険関連の給付金など、知らないまま見過ごされがちな制度も多いのが実情です。

本記事では、高齢者の生活を支える申請必須の国の手当・給付金5つを整理し、どんな人が対象になるのかをわかりやすく紹介します。

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シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金

公的年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)は、シニア世代の生活を下支えする重要なセーフティーネットです。

しかし、支給要件を満たしていても、自動的に振り込まれるわけではありません。

年金を受け取るには、「年金請求書」を提出し、所定の請求手続きを行う必要があります。

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

出所:日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

また、国や自治体が実施する「手当」や「給付金」「補助金」などの多くも、受給するには申請手続きが必要です。

申請期限を過ぎたり、必要な書類がそろっていなかったりすると、本来受け取れるはずの金額が減ったり、支給そのものを受けられなくなる場合もあります。

公的な支援制度を確実に活用するためには、自分がどの制度の対象になるのかを把握したうえで、必要な手続きを漏れなく行うことが重要です。

老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類

老齢年金を受給しているシニアが、一定の条件を満たした場合に、通常の老齢年金に上乗せして受け取れるお金があります。

ここでは、そのうちの2つを紹介します。

1:年金の扶養手当とされる「加給年金」

加給年金は、「年金の扶養手当(家族手当)」と例えられることがある制度です。

所定の要件を満たすと、老齢厚生年金を受給している人が、年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、年金額が上乗せされます。

加給年金《支給要件》

厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)

65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

それぞれ、先に示した要件を満たすタイミングで、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの子、もしくは1級・2級の障害状態にある20歳未満の子」がいる場合には、年金額に加算されます。

一方で、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)や退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利を有している場合、あるいは障害厚生年金・障害基礎年金・障害共済年金などを受給している場合には、配偶者に対する加給年金は支給停止となります。

加給年金《2025年度の年金額》

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

参考までに、「加給年金」の年金額(2025年度の年額)は以下のとおりです。

・配偶者:23万9300円

・1人目・2人目の子:各23万9300円

・3人目以降の子:各7万9800円

なお、老齢厚生年金を受給している人の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額には3万5400円から17万6600円の特別加算が上乗せされます。

また、加給年金は、対象となる配偶者が65歳に達すると支給が終了しますが、その配偶者が老齢基礎年金を受給する際、一定の条件を満たせば、老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。

2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給している人のうち、一定の所得要件を満たす場合に受け取れる給付金です。

「老齢」「障害」「遺族」の区分ごとに給付が用意されており、それぞれに支給要件が定められています。

ここでは、その中でも「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当てて見ていきます。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者

・同一世帯の全員が市町村民税非課税

・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は90万6700円以下(※2)である

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない

※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

出所:日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

2025年度における老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5450円で、前年度から2.7%引き上げられています。

この基準額をもとに、保険料の納付状況などを踏まえて給付額が算定されます(下記①と②の合計)。

老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算式

・①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月

・②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1151円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

たとえば、国民年金保険料を40年間すべて納付している場合、2025年度は月額5450円、年額にすると6万5400円の給付金を受け取ることができます(昭和16年4月1日以前生まれの方は算定方法が異なります)。

また、保険料の免除期間に対応する給付額は、老齢基礎年金の改定状況にあわせて、年度ごとに見直されます。

雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類

働き続けるシニアにとって気になる、就労に関連した給付金や手当についても確認していきましょう。

シニアの就労を後押しする制度は徐々に整備されていますが、一般的には60歳を境に収入が下がりやすい傾向があります(※)。

また、就職活動や就労の継続が、若い頃と同じように順調に進むとは限りません。

そこで、シニア世代が押さえておきたい、雇用保険に関わる手当や給付金について、ここでは3つ紹介します。

※国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」による年齢階層別の平均給与:50歳代後半男性712万円、女性330万円、60歳代前半男性573万円・女性278万円、60歳代後半男性456万円・女性222万円

1:65歳未満がもらえる「再就職手当」

再就職手当は、早期の再就職や事業開始を後押しするための手当で、失業してから再就職または開業までの期間が短いほど、支給される金額が多くなります。

再就職手当【支給要件】

・対象者:雇用保険受給資格者で基本手当の受給資格がある人

・支給要件:対象者が雇用保険の被保険者となる、または事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給

再就職手当【給付率】

・手当の額:就職等をする前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数により下記のとおり給付率が異なります。(1円未満の端数は切り捨て)

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

再就職手当の額

また、再就職手当を受け取って再就職し、その後6か月以上継続して雇用され、かつ再就職先での6か月間の賃金が離職前の賃金より少ない場合には、「就業促進定着手当」の支給対象となります。

2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の人が働き続ける中で、60歳到達時と比べて賃金が下がった場合に支給される給付金です。

高年齢雇用継続給付【支給要件】

・対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者

・支給条件:賃金が60歳時到達時の75%未満となった状態で働き続ける場合

高年齢雇用継続給付【支給率】

・支給額:最高で賃金額の10%(※)相当額

※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は15%

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)

なお、老齢年金を受給しながら厚生年金に加入し、この高年齢雇用継続給付を受け取る場合には注意が必要です。

在職による年金の一部または全額の支給停止に加えて、最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する金額が、年金から支給停止される仕組みとなっています。

※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は6%

3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

高年齢求職者給付金は、65歳以上の人が離職し、失業状態となった場合に支給される給付金です。

高年齢求職者給付金【支給要件】

・対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した人

・支給要件:下記の全ての要件を満たした人

高年齢求職者給付金【いくらもらえる?】給付金額

シニアの暮らしを支える「公的年金」も申請が必要なお金, 老齢年金に上乗せして支給される「申請しないともらえないお金」2種類, 1:年金の扶養手当とされる「加給年金」, 2:年に約6万円が上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」, 雇用保険に関連する「申請しないともらえないお金」3種類, 1:65歳未満がもらえる「再就職手当」, 2:60歳以上65歳未満が対象「高年齢雇用継続給付」, 3:65歳以上が対象「高年齢求職者給付金」

高年齢求職者給付金の額

・支給額

65歳未満の人が受け取る一般的な「失業手当」は、4週間ごとに失業認定を受けながら分割で支給されますが、高年齢求職者給付金は、所定日数分が一括で支給される点が大きな特徴です。

まとめにかえて

高齢者向けの支援制度のなかには、「知らなかった」「申請していなかった」だけで、受け取れるはずのお金を逃してしまうケースもありえます。

とくに、老齢年金に上乗せされる給付金や、雇用保険に関係する給付は自動的には支給されない制度が多い点に注意が必要です。

年金額や生活費に不安を感じやすい冬の時期だからこそ、今の自分や配偶者が対象になる制度がないか、一度整理して確認してみることが大切です。

通知や案内が届いていない場合でも、条件に当てはまる可能性はあります。早めに制度内容をチェックし、受け取れる支援は確実に活用していきましょう。

参考資料

・厚生労働省「令和7年版高齢社会白書」

・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

・日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

・日本年金機構「か行 加給年金額」

・日本年金機構「加給年金額と振替加算」

・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」

・厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」

・厚生労働省「再就職手当のご案内」

・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」

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