社員と同じように働く…富士通が最長4カ月の「時給1800円超え」インターンシップを実施するのはなぜか

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*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2026」の『人気インターンシップを実況中継』を転載したものです。 

毎年各社でさまざまなプログラムが用意される新卒学生向けのインターンシップ。実際に部署に配属されて現場社員と一緒に働く体験ができる2社を訪ね、実施内容や採用担当者の思いを聞いた。本稿では、富士通の「職場受入型・有償インターンシップ」をお届けする。(取材・文/フリーライター 友清 哲)

雇用契約を結んで最長4カ月の職場体験

400のテーマから「自分に合うもの」を選ぶ

 富士通の「職場受入型・有償インターンシップ」では、参加する学生一人一人と雇用契約を結び、契約社員として受け入れる形を取っている。その名の通り報酬が発生し、時給は1800円~。一社員としてビジネスの一端を担う、貴重な体験の場だ。 

Employee Success本部 人材採用センター 村松美笛さん

 富士通では20年ほど前から新卒向けの有償インターンシップを行っているが、本格導入はここ数年のこと。2024年度までは無償インターンシップも実施していたが、25年度からは有償のみに一本化し、実施期間や受入規模などを拡大。

 新卒採用を担当するEmployee Success本部の村松美笛さんは「キャリアの第一歩を提供するのが目的」と語る。

 本来なら社会人になって携わる「ビジネスの現場」だが、報酬を受け取りながら富士通の一員として働くことで、学生のうちに“社会への価値提供”を経験できる。

 

「学生時代に学んだことが仕事の場でどう生きるかを体感したり、業務を通して自身の強みや伸び代を認識し、就職活動を続けていく上での気付きも得てほしいです」

 募集枠はテーマごとに分かれ、25年度は400以上ものテーマが設定された。特に人気が高いのは、文系理系を問わずAI関連だという(下図参照)。一口にAIと言っても開発からマーケティングまで、そのビジネス領域は広い。

社員と同様にハイブリッド勤務

最長で4カ月もの実施期間

 テーマによって所属する部署や業務内容はさまざま。メインは大学3年生、修士1年生だが、その他の学年の参加者もいる。実施期間は最短で1カ月から、長いテーマでは4カ月に及ぶ。

「当社の社員と同じく、出社とテレワークを交えたハイブリッド勤務を採用しています。社会保険の加入対象外とするため労働時間は週29時間以内にとどめられるので、週3日、1日7時間ほどの勤務が多いです。大学に通いながら参加できるように、個人の都合を所属の部署と調整して、柔軟にスケジュールを設定しています」

 例えば、下図のスケジュール例のように、午前中は在宅で勤務して、午後は大学で講義を受けたりサークル活動をしたり、といった日程を組むことも可能だ。地方の大学に通う学生も参加しやすい。

 業務を進めていく中では、学生1人に対して所属部署のメンター社員と幹部社員の2人が付く。定期的な1on1を行い、何かあれば常に相談ができる環境が用意されている。受け入れる側の社員にとっても、学生と一緒に働くことでのプラス面は多いという。

「社員にはない新鮮な視点での発想が、職場を活性化しているという声を聞きます」

 

顧客目線、コストや納期を

「外部との関わり」で学ぶ

 参加者は配属部署の一員として働くため、取引先を尋ねてヒアリングをしたり、事業提案のプレゼンテーションをしたり、部内のメンバーだけでなく、外部の人と関わりながら業務を進める。

「何事も顧客目線で考えることが大事だと感じた」「コストや納期に対する厳しさを目の当たりにした」など、学生の感想からも分かるように、日頃の生活では味わえないビジネスの真髄に触れられるのだ。

 参加する学生たちの期間中の動きはそれぞれ異なるため、週に1度、採用担当部署主催のオンライン交流会が設けられている。学生同士で近況を交換したり、お互いの悩みを相談したりと、毎回大いに盛り上がるという。

「互いがどのような仕事をやっているのかを知ることで、良い学びの機会になっているようです」

「また一緒に働きたい」

インターンシップが本選考の志望理由に

 さらに月1回、インターンシップを終えた学生が、携わった業務を振り返って各自の感想や得たものを発表する「成果発表会」も好評。本部横断で学生同士が交流でき、さらなる成長に向けてモチベーションアップにもなっている。

「長期間のプログラムなので、所属部署の社員との関係も密になります。『インターンシップで出会ったメンバーとまた一緒に働きたい』という理由で、本選考に臨む学生もいるほどです」

 インターンシップの参加の有無が本選考の結果を左右することはないが、富士通という大組織の企業風土を理解する絶好の機会であることは間違いないだろう。

月に1回、本部横断で開催される「成果発表会」の様子 写真提供/富士通