【タイ】「シャウエッセン」をタイへ[食品]海外展開を加速、目標1000億円
日本ハムは今月下旬、主力商品のあらびきポークソーセージ「シャウエッセン」をタイ市場に投入する。2025年のシャウエッセンの世界売上高は過去最高の760億円に到達。30年には1,000億円まで引き上げる目標を掲げ、日本で培ったブランド力を武器に海外市場拡大を加速させる。タイでは日本食の浸透を背景に、「パリッ」とした食感のエンターテインメント性を訴求し、高価格帯ソーセージの市場を切り開く。

日本ハムは2月下旬、「シャウエッセン」をタイで発売する(タイ日本フーズ提供)
シャウエッセンは25年、日本で発売40周年を迎えた。現地法人タイ日本フーズの大橋勲久社長は、「パリッとした音やジューシーな食感で、ソーセージのイメージを『安価な軽食』から『プレミアムで夕食のメインディッシュになり得るもの』へと塗り替えてきた」と話す。
タイでもソーセージを食べる文化は根付いているが、多くは肉を細かくひいた「ほそびき」タイプだ。屋台などで安価に売られる手軽な軽食という認識が一般的で、食卓の主役としての地位は確立されていないという。
タイ日本フーズはタイ市場においても日本同様の戦略を描く。日本品質の商品が外食や小売店で浸透しつつあるタイの現状を分析し、食べ方の提案やエンターテインメント性を付加することで、新しいソーセージのカテゴリーを構築できるとみている。

タイの消費者向けに味を微調整したシャウエッセンを製造する(タイ日本フーズ提供)
肉はタイ産のあらびきポークを100%使用する。同社の植田泰士開発部長は「肉のうまみ、甘みを引き出すスパイスの配合は日本向け製品を踏襲する。一方で、タイ人の味覚に合わせ、日本よりも塩辛さを抑えるよう微調整した」と話す。植田氏は日本でもシャウエッセンブランドの商品開発を担当し、社内でも知る人が限られる製造ノウハウをタイでの開発に生かしたと話す。
■体験型販売でファン拡大へ
タイでのシャウエッセンの売り上げは、1年後に月間440万バーツ(約2,170万円)、5~10年後には10倍の月間4,400万バーツまで成長させる目標だ。販売面では体験を重視した消費者との接点拡大を図る。タイ日本フーズの叶野奈津紀営業部長は、首都バンコクの商業施設「セントラル・ワールド」で今月6~8日に開催される「ジャパン・エキスポ・タイランド」を皮切りに、各種イベントでのプロモーションを展開していくと話す。会場でボイルしたての商品を提供し、特徴的なパリッとした食感を実感してもらうことで、店頭での購入につなげる狙いだ。
調理法はボイルや電子レンジ調理に加え、車内などでそのまま手軽に食べるファストフードのような消費もできる。ターゲットは中間層以上の消費者だ。日本ではシニア層からの支持が厚いブランドだが、タイでは若年層もターゲットに含め、日本とは異なる新たなブランドポジションの確立を期待する。
価格は1パック6本入りが89バーツ、3本入りが50バーツ。まずは日系スーパーから販売を開始し、順次タイ系の小売店へと拡大する。さらに、日本ハムが24年に包括的業務提携を結んだ、タイの食品最大手チャロン・ポカパン・フーズ(CPF、CPフーズ)との連携も視野に、幅広い販路での展開を目指す。

「パリッ」とした食感をタイの消費者に体験してほしいと話す、タイ日本フーズの大橋社長(中央)、植田開発部長(左)、叶野営業部長=1月、バンコク(NNA撮影)

タイ向けの「シャウエッセン」を製造する、タイ日本フーズのアユタヤ工場(同社提供)
■シャウエッセンで事業構造を転換
シャウエッセン投入は、タイ日本フーズの経営戦略にとっても転換点となる。現在、同社の収益の柱は、中部アユタヤ県や北部ピサヌローク県の工場で製造する、日本市場向けの鶏肉や野菜の加工品だ。9割以上が日本向けで、タイ国内向けの比率は1割に満たない。
同社はシャウエッセンを起爆剤に、タイ国内向けの比率を2割まで引き上げたい考えだ。現在は業務用が主体で、一般消費者に対する企業ブランドの認知不足が課題となっている。大橋氏は、「シャウエッセンを通じて『おいしさ、安全、健康』という価値を浸透させ、中長期的に『NHフーズ』というブランド自体の認知拡大を図っていきたい」と話す。認知度の向上に合わせて将来的な生産設備への投資も検討しており、シャウエッセンをタイでの新たな収益の柱へと育てていく。
日本市場に特化してきたシャウエッセンは、タイのほか、すでに中国、米国、シンガポール、ベトナムで展開している。今後もあらびきポークソーセージが浸透していない市場を開拓していく方針だ。