《65歳以上の単身世帯》老齢年金シニアのひとり暮らし。標準的な生活費はひと月どのくらい?
- 《65歳以上の単身世帯》老齢年金シニアの「ひとり暮らし」。標準的な生活費はひと月どのくらい?
- 65歳以上・単身無職世帯の1カ月の家計収支を分析
- 【2026年度4月分~】厚生年金(報酬比例部分)は2.0%、国民年金(基礎年金)は1.9%増
- 現役時代の働き方×男女別《65歳以降の年金額例》5パターン《ライフコースに応じた年金額》
- パターン1:厚生年金加入が中心の男性(20年以上)の場合
- パターン2:国民年金(第1号被保険者)加入が中心の男性(20年以上)の場合
- パターン3:厚生年金加入が中心の女性(20年以上)の場合
- パターン4:国民年金(第1号被保険者)加入が中心の女性(20年以上)の場合
- パターン5:国民年金(第3号被保険者)期間が中心の女性(20年以上)の場合
- 参考:二人以上世帯における1カ月あたりの平均食費は?
【2026年度4月分~】厚生年金(報酬比例部分)は2.0%、国民年金(基礎年金)は1.9%増

《65歳以上の単身世帯》老齢年金シニアの「ひとり暮らし」。標準的な生活費はひと月どのくらい?
2月に入り、寒さが厳しい日が続いています。かさむ光熱費など、家計への影響が気になる方も多いのではないでしょうか。
特に、止まらない物価の上昇は日々の生活に重くのしかかります。帝国データバンクの「カレーライス物価指数」によると、2025年11月時点で1食あたり365円となり、前年同月比で14.1%も上昇。身近な食料品の値上がりは依然として続いています。
そんな中、2026年1月23日、厚生労働省より「2026年度の年金額改定」が公表されました。 物価高がシニア世代の家計を直撃する今、改定によって私たちの生活はどう変わるのでしょうか。
本記事では、公表された最新情報を踏まえ、65歳以上・ひとり暮らし世帯のリアルな収支データとともに「老後のお金」について考えていきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
《65歳以上の単身世帯》老齢年金シニアの「ひとり暮らし」。標準的な生活費はひと月どのくらい?
総務省統計局が公表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を基に、65歳以上で単身の無職世帯における1カ月間の家計収支の実態を確認してみましょう。
65歳以上・単身無職世帯の1カ月の家計収支を分析

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金):12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
・食料:4万2085円
・住居:1万2693円
・光熱・水道:1万4490円
・家具・家事用品:6596円
・被服及び履物:3385円
・保健医療:8640円
・交通・通信:1万4935円
・教育:15円
・教養娯楽:1万5492円
・その他の消費支出:3万956円
■うち非消費支出:1万2647円
・直接税:6585円
・社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計状況
・ひと月の赤字:2万7817円
・エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
・平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
老齢年金を受け取りながら一人で暮らすシニアの家計は、どのような状況にあるのでしょうか。
データによると、1カ月の支出合計は16万1933円となっています。このうち、税金や社会保険料といった「非消費支出」が1万2647円、生活に必要な食費や光熱費などの「消費支出」が14万9286円です。
対して、収入の合計は13万4116円で、そのうち約9割にあたる12万1629円が公的年金などの社会保障給付です。
結果として、毎月2万7817円が不足している計算になります。エンゲル係数は28.2%、平均消費性向は122.9%という結果でした。
ただし、この家計データを見る際には注意点もあります。例えば、支出項目に「介護費用」は含まれていません。また、住居費が約1万3000円と比較的低額であるため、個人の健康状態や住まいの状況によっては、さらに費用がかかる可能性も考えられます。
加えて、「非消費支出」の項目からもわかるように、年金生活が始まっても税金や社会保険料の支払いは続きます。
多くのシニアはこれらの費用を年金から天引きで支払っているため、年金の額面だけでなく、固定費を差し引いた手取り額で生活設計を考えることが重要です。
【2026年度4月分~】厚生年金(報酬比例部分)は2.0%、国民年金(基礎年金)は1.9%増
公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の動きを踏まえて毎年調整されます。
2026年1月23日、厚生労働省は2026年度(令和8年度)の年金額例を公表。年度替わりの4月分の年金から適用される改定率は、国民年金(基礎年金)が+1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が 2.0%となりました。

2026年度(4月分~)の年金額
・国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
・厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(前年度比+1300円)です。
※2 平均的な収入(賞与を含む月額換算で45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。
国民年金のみを受給する場合、保険料を全期間納めて満額(※3)であっても、月額は7万円を下回ります。
さらに、受給開始を75歳まで遅らせる「繰下げ受給」(※4)を利用したとしても、月額13万円には届きません。
※3 国民年金の保険料を40年間(480カ月)納付した場合に、65歳から受け取れる満額の年金額を指します。
※4 繰下げ受給とは、年金の受け取り開始を66歳から75歳までの間で遅らせる制度です。1カ月遅らせるごとに0.7%増額され、75歳開始では最大84%増額されます。
さらにいうと、上記はあくまで「モデル世帯」の数字です。実際には、現役時代の働き方や年金への加入期間、収入によって老後の年金額には大きな個人差が生じます。
ご自身の見込み額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で把握しておきましょう。
現役時代の働き方×男女別《65歳以降の年金額例》5パターン《ライフコースに応じた年金額》
老後に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況によって水準が大きく異なります。現在の働き方やライフスタイルが、将来の年金収入に直接結びついているのです。
今回の年金額改定に合わせて厚生労働省が公表した、「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」を参考に、具体的な金額を確認してみましょう。
このデータは、令和6年財政検証の分布推計を基に、2026年度(令和8年度)の年金額を加入期間や収入状況別に算出したものです。
性別や経歴の類型に応じて、「年金額の目安」が5つのパターンに分類されています。

多様なライフコースに応じた年金額(概算)
パターン1:厚生年金加入が中心の男性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 17万6793円(前年比 +3336円)
・平均厚生年金期間:39.8年
・平均収入:50万9000円
・基礎年金:6万9951円
・厚生年金:10万6842円
パターン2:国民年金(第1号被保険者)加入が中心の男性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 6万3513円(前年比 +1169円)
・平均厚生年金期間:7.6年
・平均収入:36万4000円
・基礎年金:4万8896円
・厚生年金:1万4617円
パターン3:厚生年金加入が中心の女性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 13万4640円(前年比 +2523円)
・平均厚生年金期間:33.4年
・平均収入:35万6000円
・基礎年金:7万1881円
・厚生年金:6万2759円
パターン4:国民年金(第1号被保険者)加入が中心の女性(20年以上)の場合
年金月額の目安: 6万1771円(前年比 +1135円)
・平均厚生年金期間:6.5年
・平均収入:25万1000円
・基礎年金:5万3119円
・厚生年金:8652円
パターン5:国民年金(第3号被保険者)期間が中心の女性(20年以上)の場合
年金月額の目安:7万8249円(前年比 +1439円)
・平均厚生年金期間:6.7 年
・平均収入:26万3000円
・基礎年金:6万9016円
・厚生年金:9234円
受給額の大きさは、現役時代の働き方と収入に直結します。基礎年金のみの方と会社員とでは、上乗せとなる「報酬比例部分」の有無により、月額11万円以上の差が生じることも珍しくありません。
将来の生活水準を維持するには、公的年金に加え、iDeCoや新NISAなど活用も視野に入れた「自助努力」が求められます。
まずはご自身の受給見込額をチェックし、不足分を補うための準備をスタートしてみましょう。
参考:二人以上世帯における1カ月あたりの平均食費は?
家計の管理において、日々の工夫で節約しやすい項目の一つが「食費」ではないでしょうか。
ここでは、総務省統計局の「家計調査 家計収支編(2024年)」を基に、二人以上の世帯における1カ月あたりの平均食費を見ていきます。

出所:総務省統計局「家計調査 家計収支編(2024年)第3-2表」をもとにLIMO編集部作成
全体平均 7万5258円
・~29歳 5万2413円
・30~39歳 6万9433円
・40~49歳 7万9900円
・50~59歳 8万1051円
・60~64歳 7万9831円
・65~69歳 7万7405円
・70~74歳 7万4322円
・75~79歳 6万8274円
・80~84歳 6万6257円
・85歳~ 6万3347円
二人以上世帯の1カ月あたりの食費は、50歳代で約8万円と最も高くなり、その後は年齢とともに減少していく傾向にあります。85歳以上では6万3347円です。
食費は家族構成やライフステージによって変動しますが、一般的に所得が低い世帯ほど、家計に占める食費の割合(エンゲル係数)が高くなる傾向があります。
物価の上昇が続くなか、日々の食料品の価格動向に注意を払い、家計全体をうまく管理していくことが大切です。
まとめ
この記事では、65歳以上の単身無職世帯の家計収支の実態と、公的年金の改定について解説しました。
データによれば、65歳以上の単身世帯では、毎月約2万8000円の赤字が生じており、この不足分を貯蓄などで補っているのが現状です。
老後に向けて、計画的に資産を準備しておくことの重要性がうかがえます。
同時に、年金の額面だけでなく、税金や社会保険料が天引きされた後の「手取り額」を基準に家計を管理する視点も不可欠です。
まずは「ねんきん定期便」などを活用して、ご自身の年金見込額を確認してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2024年)」
・日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
・日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
・総務省統計局「家計調査 家計収支編(2024年)第3-2表」
【60歳・65歳以上対象】手続きしないともらえない老齢年金以外の公的給付5選
【65歳以上 無職夫婦世帯】ふたり暮らしなら、ひと月の生活費はどれくらい?貯蓄・年金の平均額を紹介!
【75歳以上 後期高齢夫婦】ふたり暮らしなら、月の生活費はどれくらい?医療費の窓口負担割合《1割・2割・3割》も解説!