【タイ】ロピア、タイ1号店開業[商業] 輸入日本食を最安展開、年内5店

タイの首都バンコク郊外に食品スーパー「ロピア・ジャパン」タイ1号店が開業した=11日、ノンタブリ県(NNA撮影)
食品スーパー「ロピア」を展開するOICグループ(川崎市)は11日、タイの首都バンコク郊外に「ロピア・ジャパン」のタイ1号店を出店した。海外への出店は台湾に続く2カ国・地域目。日本食への関心が高まるタイ市場で、物流網の効率化によってコストを圧縮し、輸入日本食を現地最安値水準で販売する戦略を打ち出す。今後はバンコク中心部への出店も視野に入れ、年内に5店舗体制を目指す。タイへの出店を足がかりに、世界を見据えた事業展開を加速する。
首都中心部から車を1時間弱走らせたところにあるバンコク北郊ノンタブリ県の商業施設「セントラル・チェーンワタナ」。郊外の新中央商業地区(CBD)として急速に発展した地域の商業施設に、日本発の「食のテーマパーク」をうたったロピア・ジャパンが降り立った。
店舗は食品売り場やレストランが広がるグランドフロアの一角に構えた。開店前から交流サイト(SNS)で話題を聞き付けた来店客が長い列を作り、早くも注目度の高さをうかがわせた。
OICグループの小売り部門ロピア(川崎市)の水元仁志取締役は、開業セレモニーで「タイ1号店のコンセプトは『日本に行かなくても日本を体感できる店づくり』。唯一無二の店づくりや商品開発をしていく」とあいさつした。
■精肉で競争力確立
1号店の売り場面積は1,000平方メートル。取扱商品数は3,000SKU(最小在庫管理単位)で、約95%を日本からの輸入品が占める。
売り場は精肉、青果、鮮魚、総菜、加工食品の5部門で構成する。精肉店を発祥とするロピアの強みを前面に出し、精肉コーナーでは約300アイテムと一般的なスーパーの5~10倍の商品を取りそろえた。このうちの約8割が日本産黒毛和牛で、最高級のA5等級も扱う。
A5等級の黒毛和牛サーロインステーキは、100グラム当たり268バーツ(開業日時点、約1,320円)で販売する。

A5等級の黒毛和牛などを、タイ人消費者に求めやすい価格で販売するロピア・ジャパンの精肉売り場=11日、ノンタブリ県(NNA撮影)
牛肉は1頭買いで調達し、自社で加工まで手がけている。水元氏は、「他社が扱いにくい部位も商品化するのが得意。チルド輸送も含め、容易にまねできない」と話す。こうした調達・加工体制を背景に、市場価格を基準としつつ、同等以上の品質の商品をより安価に提供できる点が強みだと強調した。
開店後1時間たっても客足は盛況で、入店待ちの列は100人を超えていた。買い物を終えた27歳のタイ人女性はNNAに対し、「他の日系スーパーより価格が抑えられている印象だ。鮮度や品ぞろえの豊富さも魅力的」と笑顔でコメントした。

■PB拡充、現地生産も
顧客は在タイ日本人ではなく現地消費者を主対象に据える。水元氏はターゲットや価格戦略が異なるため、「日系スーパーを直接の競合とは捉えていない」と話す。また、店内の商品は日本からの輸入品が大半を占め、品ぞろえの軸が異なるため地場スーパーとも競合しにくいとみる。
価格訴求を支えるのが、製造から販売までを手がける「製造小売業」の体制だ。貿易・物流会社を関係会社に持ち、サプライヤーを介さずに調達・物流を構築できるのが強みだという。水元氏は「ロピアで食材を購入し自宅で調理すれば、タイで日本食を外食する場合と比べ、3分の1程度の価格に抑えられる」と話す。
今後は価格競争力をさらに高めるため、プライベートブランド(PB)商品の拡充にも力を入れる。水元氏はタイを進出先に選んだ理由の1つとして「製造業の集積がありPBの現地生産に適する」点を挙げた。
OICグループは、2025年12月に現地食品会社を買収した。OEM(相手先ブランドによる生産)で製造している鶏肉加工品を、2年をめどに自社生産へ切り替える方針だ。タイで供給が豊富な鶏肉を活用し、唐揚げなど冷凍加工品を生産する計画で、タイ国内での販売に加え、日本向け輸出も視野に入れる。

農家からの直接仕入れで求めやすい価格を実現した大粒の栃木県産イチゴ「とちあいか」(1箱2パック入り399バーツ)を手にアピールするロピアの水元仁志取締役=11日、ノンタブリ県(NNA撮影)
■物流拠点整備が成長の鍵
出店は当面、物流効率を高めやすいバンコク周辺に集中させる。一方で、全国展開に向けた集中加工センターを別途整備する計画だ。店舗展開に先行して加工拠点を設けるのが、ロピアの基本戦略だという。
今後の出店では、ブランド浸透の観点からバンコク中心部も重要になる。年内に5店舗体制とする計画で、水元氏はスクンビット周辺などを念頭に、早期出店に意欲を示した。
一方で、海外展開は「生半可では成功しない」とも強調した。台湾事業は現在9店舗体制で、年内に20店舗へ拡大する計画だが、投資回収は道半ばという。人口約2,300万人の台湾で20店舗まで積み上げる戦略を踏まえ、人口約6,600万人のタイでも相応の店舗数を目指したい考えを示した。
水元氏は、中長期的な採算ラインとしてまずは20店舗程度まで拡大し、「物流拠点を自社で整備することが鍵になる」と述べ、店舗網の拡充と物流体制の内製化を両輪に、タイでの持続的な成長基盤を築く構えを示した。