X世代の女性は、約2000万円の移動式タイニーハウスを購入した。現在の住宅費は月3万円以下で暮らしている

ジュリー・レノックス氏とラブラドゥードルのリッツォ。移動式タイニーハウスの前で。
- ジュリー・レノックス氏は、モンタナ州ミズーラ(Missoula)の自宅を売却後、移動式タイニーハウスを建てた。
- ミズーラの住宅費の高さから、レノックス氏は費用対効果の高いタイニーハウスでの暮らしを選択した。
- 彼女のタイニーハウスは、柔軟性、手頃な価格、そして高齢の両親との近さを実現している。
ジュリー・レノックス氏がタイニーハウスに魅了されたのは、2019年にダウンヒルスキーで前十字靭帯を断裂したことがきっかけだった。
膝の手術からの長い回復期間中、彼女はYouTubeの「小さな家で大きく暮らす(Living Big in a Tiny House)」というシリーズを見ながら、エアロバイクで何時間もリハビリをした。59歳のレノックス氏は、「切手サイズの家」の内部の紹介と、そのライフスタイルの創造性と費用対効果の高さに魅了された。
「それがきっかけで、タイニーハウスに少し夢中になった。世界に小さな足跡を残す、クールな方法だと思った」と、彼女は語った。
しかし、彼女が自分の足跡を小さくすることを真剣に考え始めたのは、2021年に元パートナーと別れ、モンタナ州ミズーラにある3ベッドルームの家を売却したときだった。
マウンテン・ウエスト(Mountain West)地域全体で住宅需要が急増し、ミズーラの住宅価格は急騰していた。レノックス氏は市場で手ごろな物件を購入できなかった。そこで彼女は、ミズーラ郊外にある両親の15エーカー(約6ヘクタール)の土地に移り住み、裏庭に自身のタイニーハウスを建てる計画を立て始めた。

モンタナ州ミズーラ近郊の移動式タイニーハウスの外に立つレノックス氏。
ミズーラにある私立学校の校長を務めるレノックス氏は、最終的に、 2022年にカナダの企業「ティーカップ・タイニー・ホームズ(Teacup Tiny Homes)」が製造・納品したプレハブの移動式タイニーハウスに落ち着いた。通常のタイニーハウスとは異なり、この構造物はトレーラーのシャーシ(車輪がついた土台や骨組みの部分)上に建てられ、恒久的に車輪の上に設置されているため、必要に応じて牽引して別の土地に移設することが可能だ。
「THOW」(tiny home on wheelsの頭文字)とも呼ばれる車輪付きタイニーハウスにより、レノックス氏は過去3年間で住宅費を大幅に削減できた。さらに、ほぼ毎晩彼女が夕食を作っている両親の家の隣に住みながら、必要に応じて家を移動できる柔軟性も得ている。生活の規模を縮小する高齢者を含め、この代替的な住宅形態を選択するアメリカ人が増加する中、彼女もその1人だ。
ダウンサイジング(生活規模の縮小)による節約
おそらく、移動式タイニーハウスへの移住による最大のメリットはコスト削減だ。
レノックス氏はこの家を当時の価値で約14万6000ドル(約2190万円、1ドル=150円換算:以下同)で購入した。さらに、この家を置くための土台やベランダの設置、水道、下水道、電気を引き込むのに1万5000ドル(約225万円)かかったと、彼女は見積もる。住宅ローンは組まず、全費用を家の売却代金で賄った。
最近では、住宅費は光熱費と家の修理費に限られており、後者については過去3年間で500ドル未満しかかかっていないと、彼女は見積もっている。

レノックス氏の移動式タイニーハウス。
レノックス氏によると、家が狭いため、プロパンガス代は年間約600ドル(約9万円)しかかからないという。プロパンガスは、調理、暖房、給湯、そして乾燥機の電源として使用されている。自宅の電気は両親宅の電気に接続しており、その電気で井戸水のポンプを動かし、照明を点灯させている。電気代は両親が負担しているが、レノックス氏の分の費用は非常に少ないという。その代わりに、レノックス氏は両親と妹、そして自分のStarlink(スターリンク)のインターネット料金を月100ドル(約1万5000円)、支払っている。
これにより、彼女の毎月の住宅費の平均は 200 ドル(約3万円)未満となっている。
しかし、タイニーハウスでの暮らしには慣れが必要だった。プロパンガスタンクを定期的に(冬場は5~6週間ごとに)取り外して補充したり、水道管が凍結しないように蛇口から水を垂らしたままにすることに、慣れなければならなかった。
引っ越しにはかなりの荷物の削減が必要だった。しかしレノックス氏は、今では昔の持ち物を一切恋しく思わないと語る。また、スキーや自転車といった大きなものは、両親のガレージに保管できている。

レノックス氏の移動式タイニーハウスの中。
彼女は10歳のラブラドゥードル、リッツォと暮らしている。1人と1匹にはちょうどいい広さだ。
「もし2人以上だったら、もう少し大変に感じると思う」と彼女は語った。
寒い時期になると、家は少し窮屈に感じられる。「冬は少し厳しい。スペースが本当に小さいので、閉塞感を強く感じる」とレノックス氏は語る。
暖かい季節には生活空間が広がる。彼女はブラックフット川(Blackfoot River)を眺めながら、ポンデローサパイン(Ponderosa pine)やダグラスファー(Douglas-fir)といった木々に囲まれたベランダで、多くの時間を過ごすためだ。
「時々、家に住んでいるというよりキャンプをしているような気分になる」と彼女は言う。