「1ビリオン超えのブロックバスター」iPS細胞製品の成長産業化へ、住友ファーマ意欲

iPS細胞由来のパーキンソン病治療薬「アムシェプリ」などの事業方針を説明する住友ファーマの木村徹社長=17日、大阪市
厚生労働省の審議会専門部会で19日、条件・期限付きの製造販売承認が了承された人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の2製品のうち、パーキンソン病治療薬「アムシェプリ」(一般名ラグネプロセル)を手掛ける住友ファーマは、再生・細胞医薬を自社の成長領域の中核に据える。承認は「一里塚」に過ぎず、必要とする患者まで確実に届けるための産業化が軌道に乗るかが製薬業界にとっての試金石となる。
アムシェプリの生産は同社と親会社の住友化学による合弁会社で医薬品受託製造を手がける「エスラクモ」(大阪府吹田市)が担う。iPS細胞由来製品の商業製造に特化した施設を備え、自動で細胞を培養する装置を導入するなど、品質の均一化と生産効率の向上を図る。
一方、治療は脳への細胞移植という高度な手術を伴い、対応できる医師や医療機関の確保が不可欠となる。医薬品業界アナリストの伊藤勝彦氏は「(パーキンソン病の)患者数は多いが、どこでもできる治療ではない」と指摘。住友ファーマは「手術や検査、医師を含めたチームなどの高度な医療体制の構築が必要」との認識を示す。

エスラクモの自動細胞培養装置(S-RACMO提供)
本格的な実用化に向けたハードルは決して低くはないが、製薬業界としての期待は高い。
「グローバルには(売上高が)1ビリオンを超えることができるのではないか」。同社の木村徹社長は今月17日の説明会で、アムシェプリの成長性にこう自信を示した。「1ビリオン」(約10億ドル=約1550億円)の売り上げ規模は、製薬業界では収益の柱となる「ブロックバスター」を意味する。アムシェプリは市場規模の大きい米国での承認取得も見据えており、木村氏は「供給側の技術は確立している」と強調する。

再生医療・遺伝子治療の世界市場は、2040年に約12兆円規模へ拡大すると見込まれる。伊藤氏は「日本発のiPS細胞による新モダリティー(治療手段)誕生の意義は大きい。事業モデルを確立できるかに大きな注目が集まっている」と話す。(清水更沙)
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