配当も株価もダブルでうれしい! 増配余地たっぷりのプロ厳選・ニッチトップ株3銘柄

日本の個人投資家には「高配当株」や「増配株」が人気だが、最近は海外の投資家も、日本の高配当株&増配株に注目している。配当がもらえるだけでなく、日本経済の復調と企業改革によって、株価の値上がりも期待されているからだ。ただ、ひと口に高配当株&増配株といっても、すべてが値上がりを見込めるわけではない。そこで、今回は“株価上昇の期待が持てる高配当株”をプロに教えてもらった!(ダイヤモンド・ザイ編集部)

「ダイヤモンド・ザイ」2026年4月号の大特集「最強の【高配当株&増配株】111銘柄」を基に再編集。データはすべて雑誌掲載時のもの。

東証改革で株主還元を重視する流れができたが、

コーポレートガバナンス・コードの改訂がさらなる後押しに!

 ここ数年、日本株市場では高配当株が増加している。主な要因は、2023年から始まった東証改革だ。東証はPBR1倍割れの企業に対して「資本コストや株価を意識した経営」を要請。これを受けて、増配や自社株買いなどの株主還元を行い、株価の上昇を目指す企業が増加した。

 とはいえ、東証改革はあくまでも「東証からのお願い」でしかなく、スルーしているキャッシュリッチ企業も少なくなかった。しかし、2026年にはコーポレートガバナンス・コードが5年ぶりに改訂され、潮目が変わりそうだ。コーポレートガバナンス・コードとは、コーポレートガバナンス(企業統治)の原則・指針のこと。昨秋から金融庁と有識者の議論が交わされており、今夏には新しい指針が動き出す予定だ。

 今回の改訂では、とりわけPBR1倍割れ、あるいはROEが低い企業に厳しい改善策が求められる。つまり、上場企業は今後、必要以上に現金をため込んだままの状態は許されず、現金の使い道を示す必要に迫られる。

「設備投資やM&Aなどの成長投資に回すのか。それとも、配当や自社株買いで株主還元に回すのか。この二者択一が問われることになります」(山和証券の志田憲太郎さん)

 高配当株を狙いたいなら、この先株主還元に力を入れそうな銘柄を見つけたい。志田さんによると、注目すべきは「ROEの低さ」「自己資本比率の高さ」「営業キャッシュフローが2~3期連続プラスかどうか」だという。

 まずは「ROEの低さ」だが、ROE5%以下で資本効率が悪いと、市場から改善圧力がかかりやすいという。また、自己資本比率が高いということは、資本が積み上がり、カネ余りの状態だということ。利益が出ていても、分母の自己資本が厚いとROEは低くなる。ROEを上げるため、自社株買いなどで自己資本を減らす余力もあると見なすことができる。

 さらに、営業キャッシュフローが2~3期連続プラスであることもポイント。会計上の利益ではなく、実際の現金の流れであるキャッシュフローを見ることで、増配や自社株買いを即実行に移せるかがわかるという。

 次ページでは、以上のポイントを満たす「株主還元余力」の高い株を、志田さんに3銘柄選んでもらっている。ぜひ参考にしてほしい(※株価などのデータは2月4日時点)。

株主還元をすぐ実行できる“現金余力の大きい3銘柄”に注目!

足元の利回りも高いので、増配でかなり高配当になる可能性も!

「株主還元余力の高い株」の1つ目は、鋸刃が主力の天龍製鋸(てんりゅうせいきょ・5945)だ。

 天龍製鋸の足元の業績は、売上高・利益ともに横ばいが続く。安定したキャッシュフローを確保し、自己資本比率は91%と高い。一方で、ROEは4.2%と低水準にとどまる。資本コストや株価を意識した経営目標を掲げ、配当性向を30%から50%以上に引き上げたことは前進。今期は見かけ上は減配予想だが、前期に記念配10円を実施しており、実質的には増配。ただし、財務余力が高いことから、まだ株主還元を引き上げる余地がある。

「株主還元余力の高い株」2つ目は、建設コンサルのウエスコホールディングス(6091)だ。

 ウエスコホールディングスは、インフラの調査や維持管理を担う企業。公共投資への依存度が高く、売上・利益は横ばいで推移。営業キャッシュフローは安定して黒字だが、設備投資をしておらず、投資キャッシュフローもプラス推移で財務余力が大きい。その一方で、ROEは4.8%にとどまる。配当はDOE(株主資本配当率)に留意しつつ、配当性向40%が目安。業績の成長が止まっているなか、資本の使い道に踏み込んだ姿勢が見えにくい。自己資本比率は75%超え、PBR1倍割れの状況で、資本政策の見直しを迫られそうだ。

 最後に取り上げる「株主還元余力の高い株」は、上下水道関連製品を手掛ける前澤化成工業(7925)だ。

 前澤化成工業は、管工機材、水・環境エンジニアリング、プラスチック形成の3事業で、安定した営業キャッシュフローを維持。自己資本比率83%で、ROEは4.2%。成長投資に積極的といえず、業績は微増基調で高い成長は見込みにくい。ROEの目標5%、今期の配当性向60%だが、PBR1倍割れ。資本効率の改善が課題だ。

 さて、ここまで「株主還元余力の高い株」3銘柄を紹介した。大規模な株主還元策に打って出れば、増配だけでなく株価の大幅な値上がりも期待できるので、開示情報などに注意しながら買い時を探ってみてほしい。

本記事は、ダイヤモンド・ザイ4月号の内容紹介を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で運営しているものではありません。投資は自己責任において行ってください。