ウクライナ、人口4倍のロシアと対抗するため技術革新…「無人装備軍」発足

ウクライナのドローン研究の非政府機構「アエロロズビドカ」のヤロスラフ・ホンチャール代表が5日、ウクライナのキーウでハンギョレの取材に対しウクライナのドローン産業の生態系について説明している=チョン・ホソン記者//ハンギョレ新聞社

ウクライナ戦争4年のレポート//ハンギョレ新聞社

 ウクライナが自国より人口が4倍以上多いロシアと対抗するには、「技術革新」は必須だった。無人の装備を改良するスピードで遅れをとったり、相手が先に投入した新技術にすみやかに対応できなかったりすれば、前線で数千名が命を落とすことになる。ただでさえ兵力で劣るウクライナにとって、技術戦争の勝敗に国家の主権がかかっていることになる。

 ハンギョレが今月初めに会ったウクライナの軍と産業界の関係者たちは、ウクライナ社会が無人装備の重要性を発見したきっかけとして、2014年のドンバス(ルハンスク州とトネツク州)戦争を挙げた。ウクライナ軍と親ロシア派反乱軍との戦闘中、ウクライナのある部隊がウクライナ東部のルハンスクで、ロシアの支援を得ている反乱軍によって孤立したが、ドローンを飛ばすことで脱出路を見つけたのだ。

 このときに使われた装備は、飛行距離が300メートルにすぎない中国製のDJIのドローンだった。この趣味用のドローンで戦場を見下ろすことは、地上で望遠鏡を使って偵察するより効率的だった。

 その後、部隊員は非政府組織(NGO)「アエロロズビドカ」(「空中」と「偵察」の合成語)を設立し、ドローンを「軍用」に用いる方法の研究を始めた。コンピュータ学校でソフトウェアを学び、民間のドローン愛好会からは飛行ノウハウを共有してもらった。アエロロズビドカのヤロスラフ・ホンチャール代表が5日、ウクライナのキーウでハンギョレの取材に応じ、「初めは砲撃を支援する偵察用ドローンの使用法を考案した」として、「その後、多機能ドローンの照明を外して爆発物の箱を取り付け、爆弾を落とす手法などを開発した」と述べた。

 ただし、軍は新兵器を歓迎するばかりではなかった。旧ソ連時代の在来式の火力中心のドクトリンに染まった当時の首脳部は、ドローンを「おくびょう者の兵器」だと蔑視することが常だった。「ドローンはイスラム国(IS)が用いた兵器ではないか」として、テロリストとみなされることを懸念する軍人もいた。

 しかし、2022年2月にロシアがウクライナに全面侵攻すると、軍もドローンの必要性に注目した。独自にドローンを運用していた部隊が、キーウ防御戦などで敵の機甲車両を破壊して活躍したのだ。ホンチャール代表は「ドローンによる反撃を予想していなかったロシア軍の戦車・装甲車があまりにも接近してきたため、小型ドローンでも簡単に無力化できた」と当時を振り返った。

ウクライナの無人装備軍配下の部隊の自爆ドローンが11日、ウクライナ東部戦線でロシア軍の防空装備を捕捉し、衝突する直前の様子=ロバート・ブロヴディ無人装備軍司令官のテレグラムのチャンネルより//ハンギョレ新聞社

 2023年からは、ウクライナ国防省がドローンの投資プラットフォーム「プレイブ・ワン」(Brave 1)を設立し、スタートアップの養成を始めた。戦争前にIT開発者や航空機エンジニアとして仕事をしていた人たちが、新装備についての事業計画書を提出すれば、政府が「エンジェル投資家」のように初期開発費を与えたのだ。

 住宅の倉庫で5人が集まって始めたスタートアップから、農業用航空機を製造していた会社まで数百社がこれに参加した。一部は10億円規模の民間の追加投資を誘致するユニコーン企業にまで成長した。

 昨年からは、前線の部隊がドローンで機甲車両を無力化すれば、「ポイント」が付与されるようになった。政府はポイントに応じて予算を出し、部隊はこの費用で該当の企業のドローンを再注文する。成果の高い企業が発注量をより多く確保する構造だ。

 これにより企業は、研究開発(R&D)による性能改善に命運をかけた。航続距離2500キロメートル以上の無人監視・偵察機を製造する企業「スカイートン」(Skyeton)の場合、500人ほどの従業員のうち100人以上が研究開発を担当するエンジニアだ。同社のロマン・クニャジェンコ代表は「(長距離監視用のドローンにかかる費用は)部品と搭載物の価格だけで数十万ドルに達する」として、「このような搭載物を積んだ飛行体が(実戦で)失敗する場合、その代価はきわめて大きいため、研究開発投資は必須」だと説明した。

 昨年6月には、政府がドローンを専門的に運用・研究する「無人装備軍」を発足させた。無人装備を陸海空軍のように個別の軍種として独立させたのは、世界でウクライナが初めてだった。無人装備軍配下の12部隊もそれぞれ研究開発チームを設置し、民間企業と協力して使用中の製品の改善策に取り組んでいる。

 無人装備軍のオルハ・メリョシナ少佐は「全軍でドローンを運用する500部隊のうち、無人装備軍の所属は2%だが、殺傷の戦果は3分の1を占めるほど効率が高い」と述べた。

 軍と産業界が共通して注目する戦争の次のゲーム・チェンジャーは「無人機群」だ。人工知能(AI)を搭載したドローンが編隊を組んで飛行することで、撃墜を困難にし、標的に蜂の群れのように集中して攻撃を加えるものだ。クニャジェンコ代表は「今後起きる最大の変化は『一つのドローン』から『ドローン生態系』への転換」だとして、「日常的な動作は自律化させ、AIに基づき(情報の)探知・分類が行われ、重要な操作は人間がする構造」だと指摘した。

キーウ/チョン・ホソン記者 (お問い合わせ [email protected] )