手放せなくなる、ホンダ株主優待が魅力的な訳

シェアだけではなく収益も高い二輪事業, ホンダが抱える課題と解決策, モビリティリゾートもてぎを舞台にした株主優待の概要, 事業や組織運営体制の改革

2025年12月、モビリティリゾートもてぎで開催されたホンダの株主優待イベントの様子(写真:三木 宏章)

1948年に静岡県浜松市で小さなオートバイメーカーとして誕生した本田技研工業(以下、ホンダ)。2025年5月には二輪車の世界生産累計5億台を達成するまでに成長した。この実績を受け、ホンダの取締役・代表執行役社長である三部敏宏さんは、「ホンダにとって二輪は祖業であり、かつ現在も重要な基幹事業」と二輪事業が重要であるとコメントを発表した。

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現在、ホンダの二輪車は日常の生活に使われるコミューターからレジャーに使われる大型モデル、電動車まで幅広い商品ラインアップを展開する。23の国と地域、37の生産拠点において年間2000万台を超える生産能力を持ち、3万店以上の販売店を通じてユーザーの元に届けられている。販売数の世界シェアは約4割だ。

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シェアだけではなく収益も高い二輪事業

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モビリティリゾートもてぎ内にある、ホンダの歴史が学べる「ホンダコレクションホール」(写真:三木 宏章)

その二輪事業は収益も高い。21年3月期はコロナ禍で落ち込んだものの、その後は回復を継続。25年3月期(12カ月間)の世界販売実績は2057.2万台で、売上収益3兆6266億円、営業利益6634億円を記録する。営業利益率は18.3%と高く、国内二輪4メーカーではトップの値だ。二輪事業は名実ともに稼ぎ柱である。

一方、同年同月期の四輪車における世界生産台数は371.6万台で、売上収益14兆4678億円、営業利益2438億円。営業利益率1.7%にとどまる。

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1946年、ホンダ創業の2年前、本田宗一郎氏が動力源として市販の自転車にエンジンを搭載する。その翌年、ホンダ設立1年前の1947年、はじめてホンダの名前で製品化したのが“A型”と呼ばれる自転車用補助エンジン。ここからホンダの歴史ははじまった(写真:三木 宏章)

全体像から両事業を見てみると、同年同月期のホンダ全事業における売上収益は21兆6887億円、営業利益が1兆2134億円、営業利益率5.6%だから、二輪事業ではそれぞれ16.7%/54.6%、四輪事業では66.7%/20.1%(いずれも概算値)を占めることになる。つまり二輪事業では営業利益の、四輪事業では売上収益のそれぞれ過半数を担っている。

ちなみに26年2月10日に発表された、26年3月期第3四半期(4~12月の9カ月間)の営業利益は全事業で5915億円、二輪事業で5465億円、四輪事業で▲1664億円。このマイナス計上は、関税の影響とBEV関連の一過性費用(▲2671億円)を計上したことが要因だ(数値はいずれもホンダの公表資料より)。

ホンダが抱える課題と解決策

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ホンダ初の4輪自動車は商用車の「T360」だった(写真:三木 宏章)

こうした状況を受け、ホンダでは現在の課題を「収益基盤の確立と継続」と捉え環境変化にいち早く対応することを表明している。具体的には、BEV(電気自動車)市場の成長鈍化、中国・アジア地域での販売競争の激化、アメリカの関税政策急変に対して、直近ではアメリカを中心としたHV(ハイブリッド車)の販売強化を行いつつ、二輪事業や金融事業で安定した収益と確保するとした。

また中・長期的にはカナダでの電動化含めた大型投資を見直して投入資源の最適化を図りつつ、次世代プラットフォームを活用したHV競争力の最大化を目指す。加えて、これまで課題としてきた株主還元による資本の適正化も継続する。

また、26年3月期第3四半期の営業利益でマイナス計上だった四輪事業では、事業戦略を「攻め」と「守り」の2方面から推進する。攻めでは、ICE(内燃機関車)やHVの収益力を向上させ、中・長期戦略の再構築を図る。守りでは、アメリカ市場におけるBEV損失の精算と、事業構造改革に向けた取り組みを行う。

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メディアとして参加した、モビリティリゾートもてぎでの株主優待イベント。愛車でサーキットを走れるサーキットクルーズの様子(写真:三木 宏章)

今回、こうした前向きな事業改革を行うホンダが長らく実践してきている「株主還元」にスポットを当て取材した。いわゆる株主優待イベントにメディアとして参加し、参加された株主の方々(15組44名)にホンダ推しの理由を伺った。イベントの開催地は栃木県芳賀郡にある「モビリティリゾートもてぎ」(旧ツインリンクもてぎ)だ。

ホンダでは23年3月から株主の獲得に向けたイベントを年に5回程度、全国で開催している。株主からの評判も良く、直近でもっとも人気が高かった「HondaJet体験会」では12名の株主募集に対して約4800名の応募があった。倍率にして400倍だ。

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モビリティリゾートもてぎ内にある自然体験施設「ハローウッズ」での里山散策の様子(写真:三木 宏章)

株数に関係なく1単元(100株)以上を保有し、3年以上が経過しているだけで優待イベントに応募できる。26年2月10日の終値が1670円/株だから、単純計算で16万7000円+手数料と3年以上の保有で応募要件を満たすことになる。

なお、25年3月31日現在の株主名簿に記載のある株主に対しては優待内容が拡充され、保有継続年数に制限にない優待メニューや、1年以上の保有でも得られる優待メニューが追加されている。

※一部の株主優待については保有年数に関係なく、1単元(100株)以上の保有で応募可能なものもあり。詳しくはホンダ公式ウェブサイト等にてご確認ください。

モビリティリゾートもてぎを舞台にした株主優待の概要

今回のモビリティリゾートもてぎでの優待メニューは、①自然体験施設「ハローウッズ」での里山散策、②「レーシングコース」を愛車で走行するサーキットクルーズ(フルコース2周)、③過去から現在のホンダを一堂に集めた「ホンダコレクションホール」でのガイドツアーと盛りだくさんで、朝から夕方まで時間をかけて行われた。

参加された株主さんの代表的なコメントは以下のとおり。

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株主優待イベントに参加された方(写真:三木 宏章)

「四輪/二輪事業の成長性から株主になりました。じつは株主になってからホンダがさまざまな事業を手がかけていることを知りました。個人的にはHondaJetが気になっていますが、JMS2025でロケットもホンダとして取り組んでいることがわかりワクワクしています」

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株主優待イベントに参加された方(写真:三木 宏章)

「ホンダが関係する二輪や四輪のレースが大好きで株主になりました。現在は他社の四輪車に乗っていますが、それまでずっとホンダ車でした。今日(25年12月7日に開催されたF1第24戦アブダビ)でRed Bull Powertrainsとの関係が終了しますが、これからに期待したいです」

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株主優待イベントに参加された方(写真:三木 宏章)

「興味深い株主優待メニューがあるので株主になりました。私はまだ20代ですが、同じく若くしてホンダの株主になっている友人や知人も数多くいます。元気のある企業というイメージが強いですね」

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株主優待イベントに参加された方(写真:三木 宏章)

「安全技術といえばSUBARUのアイサイトかなと思っていましたが、クルマ専門誌を読んでいてHonda SENSINGという技術があることを知り株主になりました。総合・乗りものメーカーとしての強みも評価しています」

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株主優待イベントに参加された方(写真:三木 宏章)

「同行者3名までとのことで、娘夫婦と孫で参加しました。株主優待なので株主同伴が必須なのはよくわかるのですが、2世代揃って参加できればさらにいいなと思いました」

事業や組織運営体制の改革

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ホンダが実施している株主優待イベント(写真:三木 宏章)

ホンダは二輪・四輪・パワープロダクツ事業のさらなる競争力向上を狙い26年4月1日より組織運営体制を変更する。

まず二輪とパワープロダクツ事業では、電動化戦略が実行段階へ移行したことを受け、これまで電動事業とICE事業に分けていた営業・事業戦略・開発機能をそれぞれ統合する。また、電動事業とICE事業を一体で運営することでリソースを最適配分し、カーボンニュートラルへの取り組みを継続するとともに、さらに競争力のある商品を継続的に生み出すことを目指す。

続いて四輪事業では、四輪開発本部と四輪事業本部にあるSDV事業開発統括部の研究開発機能を、ホンダの研究開発子会社である株式会社本田技術研究所へ移管する。20年に本田技研工業に移した四輪事業本部だが、事実上、これを元に戻した格好だ。

これにより、技術テーマの選択から商品投入までを一体で捉え、一気通貫でスピーディーに環境変化に対応できる体制へと変更して商品力強化を図る。

ホンダは今回紹介した優待メニューのほかにも、個人株主層の拡大や株式保有の長期化、ファン拡大を目指した施策も積極的に行っている。また、政策保有株式の早期縮減を目的として24年7月には損保・銀行各社が保有するホンダ株式の売り出しを実施し、売り出し先の大部分を個人株主対象とするなど個人株主層を大切にする姿勢を貫いている。

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ホンダのカブシリーズ(写真:三木 宏章)

筆者も25年末、久しぶりに買い増した。もっとも購入したのは株ではなく“カブ”。ホンダを代表する二輪車「スーパーカブ」の派生車種である「クロスカブ110」(JA60型)だ。1989年から所有する「スーパーカブ90」(HA02型)から36年が経過し、長期保有よろしく合計4台のホンダ二輪車が筆者の車庫に揃ったわけだ。