積み上げた評価益が「巨額の借金」に大化け…金融マーケット暴落で勝ち組が自己破産し、夜逃げする悲惨な未来とは【プロの投資家が「資産デフレ」を解説】

積み上げた評価益が「巨額の借金」に大化け…金融マーケット暴落で“勝ち組”が自己破産し、夜逃げする悲惨な未来とは【プロの投資家が「資産デフレ」を解説】
積み上げた評価益が一転し、巨額の借金へと大化けする。そんな未来が、すぐそこまで迫っていると著者は語ります。本記事では、澤上篤人氏による書籍『大逆回転前夜 資産防衛の最終警告』(明日香出版社)より一部を抜粋・再編集し、市場の暴落によって投資家が叩き落される「資産デフレ」という生き地獄の正体を解説します。(カネ余りバブル:半世紀続く過剰な資金供給やゼロ金利政策などで行き場を失った巨額マネーが金融市場に流れ込み、実体経済と乖離して価格が高騰した状態)
評価益が一転、投資損を抱える時代が到来
まだカネ余りバブルが大崩れには至っていない。それもあって、現時点からは考えられないかもしれないが、いずれ世界中のマネーは一気に締まる。つまり、今度は超のつくカネ不足状態が襲ってくるのだ。
どういうことか? 超のつくカネ余りバブルが崩壊すると、株価はじめ金融マーケットの価格全般が大きく下がる。これまでバブル高にご機嫌だった投資家の大半が、一転して巨額の投資損と、売るに売れない投資勘定を抱えて苦しむことになる。
これが個人投資家の場合は、「バブルに乗って、大損してしまった」と投資の失敗を悔やんだりで済む。もっとも、投資損の影響は大きく、自己破産に陥って夜逃げするとか、いろいろな人間模様がみられよう。
一方、年金や投信など機関投資家や金融機関そして企業といった法人投資家は、そう単純ではない。とんでもない苦しみに追いやられるのだ。それが資産デフレである。

[図表1]バブル期の投資勘定はどんどん膨れ上がる
[図表1]をみてもらいながら説明しよう。こういうことだ。カネ余りバブルに乗って、投資勘定は評価益をどんどん積み上げていった。投資勘定が好調なのをいいことに、どの法人投資家にも、さらなる投資に向ける資金が次から次へと流入してくる。あるいは借り入れをどんどん増やして、もっともっと投資にまわそうとする。
かくして、法人投資家の財務(バランスシート)はどんどん膨れ上がっていく。資金の調達つまり負債勘定は大きく膨らむが、それ以上に投資勘定が株価上昇などでプラスとなり、評価益は積み上がる一途となる。素晴らしい好循環を堪能できるわけだ。
ところが、金融マーケット全般が売られると、好循環は一変する。つまり逆回転をはじめるや、どの法人投資家も地獄に叩き落される。これまで評価益を積み上げていたはずの資産勘定が大きく目減りし、投資損が一気に膨れ上がる。評価益は一転して評価損の山となる。

[図表2]資産デフレの構図
そう、[図表2]に示したように、資産勘定は大きく目減りする。一方、負債勘定の方はまるまる残っている。この状態が資産デフレ、あるいはバランスシートデフレという。
金融マーケットの暴落で地獄模様に
バブル崩壊で金融マーケット全般が暴落する寸前までは、大きく膨れ上がっていった資産勘定である。そのかなりの部分が、金融マーケットの暴落により、蒸発してしまったかのように消滅した。
そして、大きく目減りした資産勘定でもって、まるまる残っている負債勘定に対応しなければならない。それまでどんどん投資家の資金を受け入れてきて、ごきげんで投資にまわした分の多くが蒸発してしまった。そうなると、今度は投下資産の大きな目減りを投資家顧客に、どう説明するか、どうやって返却していくかだ。なんとも頭の痛い問題である。
まるまる残った負債勘定が借り入れであった場合、それに対し、大きく目減りした資産勘定でもって、どう返済していくのか?
銀行などは待ったなしで、融資分の返済を迫ってくる。残っている資産を売却して返済の原資にしようとしても、なかなか思うように現金化できない。それどころか、自分の売りで暴落している相場をさらに下げてしまうことになる。
それとほとんど同時進行で、投資家顧客や預金者などからの解約依頼が殺到する。こちらは否応なしである。現金化できるものはなんでも売却して、解約要求に対応せざるを得ない。といっても、バブル崩壊で投資勘定が大きく痛んでいる。また、マーケットはまだ下げ続けている。
そんな中で、売れるものを売って現金化を急ぐなんて、まさに生き地獄である。
市場のマネー枯渇と金利急騰がもたらす“最終局面”
多くの法人投資家が、このような状況に追い込まれる。皆が現金づくりに必死となるから、それまであり余っていたはずのマネーが一気にしぼむ。金融マーケット全体がマネー不足の状態に陥るのだ。
マネー不足は、金融マーケットだけにとどまらない。経済の現場あちこちでもマネー不足が発生し、それが故に市中の金利は急激に上昇しだす。マーケットや経済の現場で金利が上昇しだすのを、市場金利の上昇という。
経済の現場で資金不足の声が高まってくると、市場での金利は一気に跳ね上がる。そうなってくるや、カネ余りで野放図に膨らませてきた借金が、金融機関や企業など法人投資家に重くのしかかってくる。
もちろん、巨額の借金を抱えている国家財政にも、大きなしわ寄せがくる。日本の財政でいうと、国債の新規発行分と既発国債の借り替え発行とで毎年100兆円を超す資金を調達している。それらの発行金利が跳ね上がるのだ。
それでなくても、先進国で最悪を独走していた日本の国家財政だ。(対GDP比)どうやりくりするのだろう?
澤上 篤人
さわかみホールディングス代表取締役
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