【徹底比較】日本株が急上昇! 新NISA開始以降、日経平均のパフォーマンスはオルカンやS&P500を上回っている?

日本株の上昇が続いている(写真:共同通信社)
(頼藤 太希:Money&You代表取締役/マネーコンサルタント)
日経平均株価は1989年末に3万9815円の高値をつけたあと、長らく高値を更新できずにいましたが、2024年2月に史上最高値を更新。以後も上昇を続け、2025年10月には史上初の5万円を突破しました。衆議院選挙で自民党が大勝して高市政権への期待も高まり、本稿執筆時点(2月24日)では5万7000円台と、6万円に迫ろうとしています。
この日本株の勢いは止まるところを知らず、新NISA開始以降の運用パフォーマンスは、人気の「オルカン」や「S&P500」をしのぐほどになっています。
オルカンやS&P500一辺倒ではなく、日本株ファンドを加えた方がいいのか。日本株ファンドを加えるなら、日経平均株価とTOPIXはどちらがいいのか。徹底分析した結果をお伝えします。
新NISAから2年、日経平均株価・オルカン・S&P500の推移は?
新NISAで人気の一二を争っているファンドが「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」と「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」です。どちらも純資産総額が10兆円を超える化け物ファンドとなっていて、前者は「オルカン」という愛称で呼ばれています。
このオルカンが連動を目指す指数(インデックス)は、MSCI All Country World Index(以下、MSCI ACWI)です。
新NISAが開始した2024年以降の「日経平均株価」「MSCI ACWI」「S&P500」の指数の値動き(2024年1月4日〜2026年2月20日)を確認してみましょう。2024年1月4日時点を100として指数化しています。
<日経平均株価・MSCI ACWI・S&P500推移(指数ベース)>

各種データを元に(株)Money&You作成
2024年以降では日経平均株価のパフォーマンスが最も良くなっていて、特に足元ではその勢いが顕著です。運用パフォーマンスの比較は、運用期間を長くして行うのが鉄則ですので、直近3年、5年、10年のトータルリターン、リスク、リスク効率(リターン÷リスク)についても比較します。こちらはETFのデータを活用しました。
<日経平均株価・MSCI ACWI・S&P500のトータルリターン、リスク>

各種データを元に(株)Money&You作成
有利な指数に色をつけました。トータルリターンであれば数字が高いもの、リスクであれば数字が低いもの、リスク効率であれば数字が高いものです。リスク効率は数字が高いほど、同程度のリスク(値動き)に対して効率よくリターンが得られていることを示します。
直近3年・5年・10年といずれでも日経平均株価のパフォーマンスは他と比べて好調であることがわかりました。リスクは他と比べて一番高く、リスクを抑えた投資をするならばMSCI ACWIが良いことがわかります。リスク効率で見てみても、日経平均株価は決して劣っていないことがわかります。
しかしながら、ここまでの分析には注意点があります。グラフも表も、MSCI ACWIやS&P500はドル通貨ベースなので、為替を考慮する必要があるという点です。
そして実際にNISAで投資をする場合は、日本の運用会社が販売するインデックスファンドを通じて行いますので、ファンドベースでの分析がより適切です。よって、ここからはファンドベースで比較していきましょう。
「eMAXIS Slim」シリーズで比較してみると…
日経平均株価は「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」、MSCI ACWIは「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」、S&P500は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の基準価額を採用しました。先ほどと同様に2024年1月4日〜2026年2月20日の推移を確認します。なお、2024年1月4日を100として指数化しています。
<日経平均株価・MSCI ACWI・S&P500推移(ファンドの基準価額ベース)>

各種データを元に(株)Money&You作成
先ほどの指数ベースと同様、2024年以降では日経平均株価のパフォーマンスが最も良くなっていて、足元は顕著です。ファンドのデータが取れる直近3年、5年のトータルリターン、リスク、リスク効率についても比較します。
<日経平均株価・MSCI ACWI・S&P500のトータルリターン、リスク>

各種データを元に(株)Money&You作成
直近3年間のトータルリターンでは、日経平均株価が他の指数を凌駕していることがわかります。ただ直近5年になると、円安の影響が大きい(1ドル106円→155円)ため、オルカン・S&P500の方が高くなっています。リスクは他と比べて一番高く、リスクを抑えた投資をするならばオルカンが良いことがわかります。リスク効率では、日経平均株価はもう少しといったところでしょうか。
とはいえ、外国株には円安で値上がりするだけでなく、円高になった時の値下がりリスクもあるということを意味します。歴史的に見ても、株安と円高は同時に起こることが多いので、値下がり時の変動幅は日本株よりも大きくなりがちです。
為替リスクを取らずに堅実に増やしたいなら、日本株の選択もアリと言える結果ではないでしょうか。
「同じリターンでリスクがもっとも小さい」「同じリスクでもっともリターンが高い」資産配分を考えるならば、現代ポートフォリオ理論に基づいて市場全体に投資することがもっとも効率的です。その観点ではオルカンへの投資は欠かせないでしょうし、世界経済を牽引する米国株を外すのは非経済的かつ非効率ですから、S&P500から日経平均株価に乗り換えるのも現実的ではないでしょう。
オルカンは日本株の割合が5%程度と少なく、S&P500に至っては米国株100%です。
通貨や地域分散を考慮しながら資産増を狙うならば、オルカン・S&P500一辺倒ではなく、日本株にも合わせて投資するのがベターです。
日経平均株とTOPIX、どちらがいい?
ここまでは日経平均株価との比較でしたが、日本株の指数にはTOPIXもあります。
日経平均株価は、東京証券取引所「プライム市場」に上場している銘柄の中から業種バランスなどを考慮して選ばれた225社の株価の平均を基にして計算されています。毎年1回見直され、数社ずつ入れ替えが行われています。「平均株価」ですから、単位は「円」。株価の水準が高い銘柄の影響を受けやすい特徴があります。
TOPIXは、「プライム市場」全銘柄(現在の銘柄数は約1650社)の時価総額を指数化したものです。基準日となる1968年1月4日の時価総額を100ポイントとして、時価総額が増減したかを「ポイント」単位で示しています。時価総額の大きな銘柄(大型株)の影響が出やすいのが特徴です。日経平均株価よりも銘柄数が多い分、分散投資効果がより効いていると言われます。
日経平均株価は先ほどと同じく「eMAXIS Slim国内株式(日経平均)」、TOPIXは「eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)」を活用してトータルリターン、リスク、リスク効率を比較します。
<日経平均株価・TOPIXのトータルリターン、リスク>

各種データを元に(株)Money&You作成
直近3年間のトータルリターンだけ日経平均株価が有利ですが、それ以外はTOPIXの方が上回っていることがあります。
分散投資効果は、30銘柄を超えてくると上がりづらいという分析結果が世の中にありますが、上記の結果の通り、リスクを抑えられており、リスク効率を見てもTOPIXがベターだとわかります。日経平均株価とTOPIXで迷ったら、TOPIXで問題ないかと思います。
日本株ファンドに投資をするなら、日本高配当株がベター
日本株への投資を考えるならば、個人的には高配当株がおすすめです。
高配当株は、配当利回りが高い銘柄のことです。一般的に3%を超えると高配当といわれます。
優良な高配当株は下落相場でも安定的に配当を出す傾向があるので、値下がり局面になると投資家からの需要が大きくなります。そのため、相場全体の下落に強く、また下落から一足早く抜け出す傾向にあります。
NISAの成長投資枠で個別株にチャレンジするという目線もありますが、高配当株ファンドを活用すれば、数十の高配当銘柄に分散投資したのと同様の効果が得られます。
高配当株ファンドには「四半期決算型」「隔月決算型」などがあり、NISAでは「毎月決算型」は投資不可ですが、それ以外は投資可能。NISAで投資をすれば、一生涯非課税で分配金を受け取り続けることができます。
日本の高配当株ファンドをおすすめする理由は、なんと言ってもパフォーマンスが良いからです。
NISAのつみたて投資枠でも投資できる日本高配当株ファンドに「日経平均高配当利回り株ファンド」があります。日経平均株価採用銘柄の中から、予想配当利回りの上位30銘柄を選定し、流動性を勘案して銘柄毎の組入比率を決めて運用されています。
当ファンドは、信託報酬が年0.693%と若干高めであるものの、トータルリターン、リスク、リスク効率は日経平均株価・TOPIXと比べてかなり優秀です。
<日本高配当株・日経平均株価・TOPIXのトータルリターン、リスク>

各種データを元に(株)Money&You作成
直近3年間のトータルリターンを見ると、日本高配当株ファンドは日経平均株価・TOPIXより劣りますが、5年ではダントツです。リスクを抑えられており、リスク効率を見ても日本高配当株ファンドがベターだとわかります。
日本高配当株の低コストファンドには「SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)」[信託報酬:0.099%]、「Tracers日経平均高配当株50インデックス(奇数月分配型)」[信託報酬:0.10725%]、「楽天・高配当株式・日本ファンド(四半期決算型)」[信託報酬:0.297%]などがあります。
高配当株ファンドを選ぶ場合、中身(組み込まれている銘柄)はどこも似ていますし、アクティブファンドは信託報酬が高くなる傾向にあるので、「日経平均高配当株50インデックス」(日経平均構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄から構成される指数)に連動するような低コストファンドで十分だと思います。
自分自身で高配当銘柄を選びたいということであれば、個別株にチャレンジするのも良いと思います。株主優待を実施している高配当銘柄も多いので、楽しんで投資ができますよ。
オルカン・S&P500のその次が気になっている方は、本稿を参考にしてもらえれば幸いです。

頼藤 太希(よりふじ・たいき) 経済評論家/マネーコンサルタント(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)
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