レンゴー【3941】株価V字回復、アクティビストも参入で今後は? 将来の見通しと積極化に転じる株主還元方針の“中身”

25年に強い上昇トレンド, 競合より高い利益率もROE・ROAは悪化傾向 財務もひっ迫, 新中計は利益優先も保守的、利益目標は「最低ライン」, 還元方針に変化の兆し 資本コスト経営は進展するか

レンゴー【3941】株価V字回復、アクティビストも参入で今後は? 将来の見通しと積極化に転じる株主還元方針の“中身”

25年に強い上昇トレンド

段ボール大手のレンゴーが買われています。株価は2025年4月まで低迷していましたが、同年6月ごろから明確に切り返しています。12月には24年3月高値の1208.5円を突破し、年末は前年比38.8%高となる1215.5円で引けました。株価の上昇は11月に加速しており、配当金の上方修正や国内大手証券による目標株価の引き上げが影響したと考えられます。

新しい材料は26年も登場しました。2月に旧・村上ファンド系の新規投資が明らかになると、翌営業日は一時4.1%高となる1422円まで上昇します。現在は1528円まで値上がりしており、PBR(株価純資産倍率)も0.82倍まで改善しました(26年2月26日終値)。

【レンゴーの株価チャート(過去5年間)】

・株価:1528円(26年2月26日終値)

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出所:TradingView

【レンゴーのPBR(26年2月26日終値)】

・1株あたり純資産(自己株式除く):1872.24円

・PBR:0.82倍

・(参考)東証プライムPBR:1.7倍(26年1月)

※純資産および株式数は25年3月末

※東証プライムPBRは加重平均

出所:レンゴー 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料

複数の材料から株価は短期で上昇していますが、実力はどうでしょうか。これまでの実績と、今後の見通しから探ってみましょう。

競合より高い利益率もROE・ROAは悪化傾向 財務もひっ迫

まずはこれまでの業績を振り返ります。

レンゴーの業績は拡大傾向です。売り上げは堅調に増加しており、利益も中長期的にはおおむね増加が続いています。ただし、直近の25年3月期は原燃料価格の上昇や海外事業の苦戦が影響し減益となりました。

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出所:レンゴー 統合報告書(別冊)財務データより著者作成

なお、利益を対資本および対資産で見てみると、利益率は中長期でも低下が顕著です。ROE(自己資本利益率)とROA(総資産経常利益率)は20年3月期をピークに悪化しており、25年3月期はそれぞれ6.25%と3.15%にとどまります。利益水準はバランスシートの膨張に劣後しており、株式価値は薄まっている様子がうかがえます。

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出所:レンゴー 統合報告書(別冊)財務データより著者作成

もっとも、競合と比べると利益率は優位にあります。営業利益率およびROEとROAは、いずれも東証プライム市場のセクター平均を上回る水準です。フルコスト主義(※)で進めた採算改善が奏功しているのかもしれません。

※フルコスト主義…さまざまな費用を包括的にコストとみなして販売価格を決定する方針

【利益率の比較(25年3月期)】

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※ROE(自己資本利益率)…純利益÷自己資本、ROA(総資産経常利益率)…経常利益÷総資産

出所:レンゴー 決算短信、日本取引所グループ 決算短信集計

一方、財務には課題感もあります。有利子負債は自己資本とほぼ同額で、フリーキャッシュフローは足元でマイナスです。フリーキャッシュフローは工場や環境対応の投資から当面マイナスが続くとの認識ですが、今期(26年3月期)が底打ちとなる想定で、以降は改善していくと説明しています。

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出所:レンゴー 決算短信および統合報告書(別冊)財務データより著者作成

新中計は利益優先も保守的、利益目標は「最低ライン」

今後の見通しも確認しましょう。まずは今期(26年3月期)の計画を解説します。

今期は増収および営業増益を見込みます。営業増益は主力の板紙・紙加工関連事業がけん引する想定で、費用の増加を数量および価格の改善でまかなう計画です。

なお、純利益は大きめの減益を予想しています。前期は特別利益に負ののれん発生益として53億円を計上しており、このはく落が最終減益の主な要因とみられます。今期も都市計画に伴う補償金の受け取りといった特別利益が発生していますが、不確定要素が多いとの判断から通期予想は据え置かれています。

【レンゴーの業績予想(26年3月期)】

・売上高:1兆50億円(+1.2%)

・EBITDA:1029億円(+6.0%)

・営業利益:400億円(+6.9%)

・経常利益:400億円(+2.1%)

・純利益:240億円(-17.2%)

※()は前期比

※同第3四半期時点における同社の予想

出所:レンゴー 決算短信

続いて、より長期の見通しも確認しましょう。レンゴーは25年5月、30年3月期を最終とする中期経営計画を公表しました。売上高は1兆2000億円、営業利益と経常利益はそれぞれ700億円および720億円を目指す計画です。

経常利益率は6%(25年3月期:3.9%)に達しますが、同水準は「最低ライン」と説明します。数値目標は保守的な設定にとどめた模様です。

25年に強い上昇トレンド, 競合より高い利益率もROE・ROAは悪化傾向 財務もひっ迫, 新中計は利益優先も保守的、利益目標は「最低ライン」, 還元方針に変化の兆し 資本コスト経営は進展するか

出所:レンゴー 統合報告書(別冊)財務データおよび中期経営計画より著者作成

年平均成長率で見ると、売り上げの成長は鈍化する計画です。一方で利益成長は加速する見通しとなっています。同社では「利益を高めることを最も重視する」とコメントしており、今後は利益率の改善に注目したいところです。

【レンゴーの年平均成長率】

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※EBITDA…利払い前、税引前、減価償却前および償却前利益

出所:レンゴー 統合報告書(別冊)財務データおよび中期経営計画

概観すると、損益はおおむね基調的な成長が続くとの計画です。財務も改善が進む見通しで、DEレシオ(負債資本倍率)は0.7倍までの低下を見込みます。

【レンゴーの主なバランスシート目標(~30年3月期)】

・自己資本:5900億円(25年3月期:4640億円)

・有利子負債:4300億円(同4485億円)

・DEレシオ:0.7倍(同1.0倍)

・自己資本比率:43%(同37.3%)

出所:レンゴー 中期経営計画

還元方針に変化の兆し 資本コスト経営は進展するか

先述の中期経営計画ですが、実は変化が見られます。当初は盛り込まなかった資本政策への言及が増えており、株価上昇に向けた方針の転換が期待されます。

1つ目の変化が株主還元です。当初は最終年度である30年3月期で配当性向30%を目指すとの説明でした。しかし、25年9月にこれを転換し、30年3月期に予想配当金を年間60円以上と絶対額での目標に踏み込んでいます。同時に今期(26年3月期)の予想配当金を30円から40円へ引き上げました。

2つ目の変化はPBR目標です。当初の計画はPBRにまったく言及していなかったところ、26年2月に「PBR1倍を念頭に置いた経営」を掲げました。同時に、資本効率の改善に向け「具体的施策を検討」しているとも説明しています。

これらの変化は資本コストを意識したものと考えられます。財務状況から株主還元の選択肢は多くないようにも見えますが、ROIC(投下資本利益率)といった利益目標の導入で事業ポートフォリオを変化させる展開はあるかもしれません。

経営方針の変化は株価にプラスに働きやすいでしょう。今後は業績だけでなく、資本政策の発表が注目されそうです。

若山 卓也/金融ライター

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。

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