「業界地図」見方・使い方② 初歩からわかる読み方

※ この記事は会社四季報オンラインにも掲載しています。

皆さん、こんにちは。『業界地図』編集部です。2回目は、業界地図の読み方を解説します。

以下は携帯電話事業者の業界地図です。

まずは、業界地図の代名詞である地図の部分です。地図の部分は、下地の色でグループを分けています。

例えば携帯電話事業者の場合は、NTT、KDDI、ソフトバンクグループで色分けをしています。

現在、携帯電話事業者は「経済圏」と呼ばれるエコシステムづくりに注力しています。これは、すでに提供している通信サービスに加えて、NTTドコモであればdポイント、ソフトバンクであればPayPayといったポイントや決済システムを組み合わせるものです。

業界地図ではこのエコシステムを重視して掲載しており、NTTドコモであればdポイントやd払い、dカード、そして最近M&Aで資本参加したさまざまな企業とサービスについて触れています。

企業の各枠内に書かれているのは?

続いて、企業の各枠の中の説明です。この枠の中には、会社の名前、隅付き括弧(【】)の証券コード、または海外で上場している会社の場合はティッカーシンボルと呼ばれるマークが書いてあります。

その他にも、主要なブランド、最近の動向やその会社の特徴、そして売上高と利益、重要指標などが記載されています。

売上高と利益は会社によりますが、基本的には連結の売上高か、それに該当する部門の売上高を載せています。利益については業界にもよりますが、基本的には営業利益か部門利益を載せています。

最近、日本の会社でも事業利益やEBITDAなどを指標として使う会社も増えていますが、業界地図では共通して比較できるように、事業セグメントの営業利益、経常利益、EBITなどはすべて「部門利益」と記載しています。

なお、数字の隣についている矢印は、その値が前年と比べてプラスかマイナスかの度合いを示しています。

およそ10億円以上の場合は、1%以上の増加であれば赤い上向きの矢印、1%以上の減少であれば下向きの青い矢印をつけています。この矢印の方向で、業界や企業のトレンドを把握できます。

続いて、線の読み方です。ソフトバンクグループは、携帯電話のソフトバンク、インターネットサービスのLINEヤフー、決済のPayPayなど、さまざまな企業をグループの中に抱えています。

非常に複雑なグループ構造となっていますが、それをなるべくわかりやすく表現するために、出資比率を赤い矢印で表現しています。矢印の隣についているパーセントは出資比率です(持ち株比率ではなく、議決権比率を優先して掲載しています)。

この線にはいくつか種類があり、赤い矢印は資本提携など株式を持っていることを示す線、青い線は業務提携や取引関係などを示す線です。そして黒い線は事業譲渡の線です。事業譲渡というのは、ある会社が別の会社に持っている事業や子会社を譲り渡すことです。

このように3種類の線を駆使することで、企業の提携関係や取引関係などがわかるようになっています。

巻頭の「注目業界」は時代を映す鏡

「業界地図」の巻頭の「注目業界」には、その年でもっとも注目を集めた産業やトピックスを掲載しています。

2016〜2026年度版までの11冊で、断トツで多かったのはAIです。5回も1番になっています。その他は、東京五輪(2016年度版)、財閥(2017年度版)、宇宙開発(2020年度版)、5G(2021年度版)、脱炭素(2022年度版)、メタバース(2023年度版)となっています。

この10年を振り返ると、経済社会としてはAIが一番の注目テーマでした。業界地図はある年度の断面を切り取ったものですが、何年間もバックナンバーを並べてみると、当時社会が何に注目していたか、ということがわかります。

下に書いてあるのは本文です。 直近の業界の動向や主要企業のトレンドなどが書いてあります。

次に業界地図の右側です。業界名の右側に、平均年収と平均年齢を載せています。ここでは携帯電話事業者のKDDI、ソフトバンク、NTTドコモの平均年収と平均年齢、そして回答があった会社の初任給を載せています。

ここに載っている年収は大手企業が中心です。中堅、中小が、業界大手の年収を上回ることはあまり多くありません。そのため、業界トップ企業の年収水準を把握することで、たとえば平均年収1000万円を超える業界なのか、そうでないのか、といった推測が可能です。

株式投資家も注目の「業界天気予想」

次に業界タイトルの下にある天気予想です。業界の動向を四季報記者が6段階で予測しています。最新の2026年度版であれば、2025年度後半と、2026年度という2年分を予想しています。天気予想の定義については画像をご覧ください。

読者からいただくアンケートによく書いてあるのは、「天気予想から投資先の業界を探すのに利用している」との声です。勢いのある業界、雨から曇り、晴れと天気予想が移り変わっている業界などを探して、株式投資の参考にしていただいています。

なお、毎年の巻頭特集として主要業界の過去10年分の天気予想を一覧にして解説するというコーナーを設けています。

2026年度版では例年の2倍となる66業界の天気予想を掲載しました。是非こちらのデータを見て株式投資の参考や就活をする際のトレンド把握に役立ててください。

次に左側を眺めていただくと、「四季報記者のチェックポイント!」というコーナーがあります。ここでは2ページものの業界ではだいたい3つの図表を、1ページものの業界では1つの図表を載せています。

2ページものの業界の場合は1つ目で業界の市場規模の推移などざっくりとしたトレンドがわかる図表を載せて、3つ目には「もうけの仕組み」というビジネスモデルがわかる図表を載せるなどの工夫をしています。

この下では、「オススメ情報源」として、業界をもっと深掘りしたい読者に向けて、ウェブサイトやスポット、書籍などを紹介しています。

こうした業界地図の見方は毎年、巻頭で解説をしています。

今回は業界地図の読み方について、解説してきました。次回からは、もっと深く読み込む方法をお伝えしていきます。

※『業界地図』の内容は会社四季報オンラインの「業界研究」ページでもご覧いただけます。

この連載では一部、2025年9月に東京証券取引所で行ったセミナーの資料を使っています。