【日本市況】株大幅反発、イラン戦争の終結期待と原油安-円買い戻し
(ブルームバーグ): 10日の日本市場では株式が大幅に反発。トランプ米大統領が対イラン戦争は間もなく終結する可能性を示唆し、急騰していた原油先物が下げに転じたことが好感された。為替はドル高が一服して円は対ドルで157円台半ばで推移。債券は超長期債を中心に上昇(金利は低下)した。
トランプ大統領はイラン戦争について、作戦は予定より前倒しで進んでいると主張し、「ごく短期に」終結するとの見通しを示した。「原油価格を低く抑えることを目指している」とも述べ、前日に一時31%上昇した米原油先物は1バレル=90ドル割れまで急落した。
イラン戦争の長期化と原油高によるインフレや企業業績下押しへの懸念から、前日の日本市場は株急落・円安・債券安のトリプル安に見舞われていた。きょうはトランプ大統領の発言と原油高一服を受け、過度な悲観が後退した。
フィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は、きょうの日本株は機械的な反発だとした上で、「根拠のある上昇になる可能性が高い。トランプ大統領の発言は、戦争を長引かせるようなことはもう言わないという市場へのサインだ」と指摘。原油価格も下げ、センチメントに反応しやすい日経平均株価にとって追い風になると話した。
もっとも、中東情勢を巡る不透明感は払拭されておらず、原油価格もイラン戦争前と比べるとなお高水準にある。このため主要株価指数は午後に入ると上値が重くなり、日経平均は前日の下げ幅の約半分を戻したに過ぎなかった。
| 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比2.5%高の3664.28日経平均株価は2.9%高の5万4248円39銭 |
| 円は対ドルでニューヨーク終値比ほぼ横ばいの157円60銭 |
| 長期国債先物3月物の終値は前日比1銭高の132円33銭新発10年債利回りは0.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い2.18%-午後3時新発30年債利回りは3.5bp低い3.42%新発2年債利回りは1.5bp高い1.25% |
株式
前日に5.2%下げた日経平均は2.9%上げて2月9日以来の上昇率となった。半導体・人工知能(AI)関連など電機や非鉄のほか、機械や銀行など前日に大きく下げた業種を中心に買われ、TOPIX構成銘柄の約9割が上昇した。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは「前日の急落時も下値では押し目買いがかなり入っており、投資家の買い意欲は強く見えた」と述べた。ただ、実際にイラン情勢が収束するかは予断を許さず、総強気になるのは時期尚早だとの見方を示した。
富国生命保険の佐藤篤有価証券部長は、仮に中東情勢が収束に向かっても、原油価格がすぐに戦争前の水準である60ドル台で落ち着くとは考えづらいと指摘。企業業績は「原油が80ドル程度であれば拡大基調は維持できるものの、増益率は落ちる可能性が高い」と言う。

日経平均の日中の値動き
為替
円相場は対ドルで157円台半ばで推移。イラン戦争の早期終結期待から原油価格が急反落したことでドル高が一服した。
関西みらい銀行の石田武ストラテジストは、原油価格の下落で円が買い戻されたと語った。一方、戦争が終わっても「財政拡大やインフレ懸念といった円安材料がなくなるわけではない」ことから、ドル・円は向こう数カ月の予想レンジの下限152円は割れないと読む。

Bloomberg
債券
債券は超長期債を中心に上昇。原油高と円安が一服してインフレ懸念が和らぎ、買いが優勢だった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは、超長期債はこのところ金利の上昇幅が大きかったため、買い戻しが入りやすかったと語る。一方で、日本銀行がこの日行った定例の国債買い入れオペは残存期間1年超3年以下がやや弱めだったと指摘。「イラン戦争が早期終結すれば日銀の4月利上げの可能性が高まるため、2年債は売られた」と話した。
財務省は11日に5年利付国債入札を行う。藤原氏は「利上げ観測が高まれば5年金利も上昇しやすく、入札は取り組みづらい。午前に調整が入らなければやや弱めの結果になる」と予想した。
新発国債利回り(午後3時時点)
| 1.250% | 1.625% | 2.180% | 3.030% | 3.420% | 3.620% | |
| 前日比 | +1.5bp | +0.5bp | -0.5bp | -2.5bp | -3.5bp | -4.0bp |

長期国債先物の推移
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
--取材協力:アリス・フレンチ、深瀬敦子.
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