ビル建設も脱炭素化…CO2吸収素材や木材の使用広がる コスト高がネック

大成建設が開発した脱炭素型のコンクリートで作った壁のモデル。工場から排出された二酸化炭素を吸収した炭酸カルシウムが骨材に使われている=2月16日、埼玉県幸手市(織田淳嗣撮影)

建設現場で「脱炭素」の取り組みが進められている。内部に二酸化炭素(CO2)を封じ込めたコンクリートは工事で採用実績を重ね、木材を多用したビルの建設も進む。ただ通常の資材よりも割高で、建設コストの押し上げ要因となっている。工事発注元の企業の環境意識の高まりや関係者のコストへの理解促進は欠かせない。

大成建設が昨年10月に完成させた「ゼロカーボンビル」=2月16日、埼玉県幸手市(織田淳嗣撮影)

鹿島、横浜市と協定

国内最大の木造賃貸オフィスビルの工事現場を視察する、金子恭之国土交通相(前列左)=2月19日、東京都中央区(織田淳嗣撮影)

ゼネコン大手の鹿島は今年1月、横浜市と「CO2の地産地消」を目指す協定を締結した。市内のごみ焼却工場の排ガスから回収されたCO2を、鹿島の独自技術で封じ込めたコンクリートを公共工事などで今後活用する。

コンクリートを固める過程で大量のCO2を吸着させる技術「CO2-SUICOM(スイコム)」で、新名神高速道路の擁壁(土砂崩れ防止用の壁)の工事でも採用されている。

ただ一般的なコンクリートと比べ、価格は「倍にならないよう努力している」(広報担当者)水準。より脱炭素性能を高めた製品は、3倍程度と割高だ。横浜市の担当者は「脱炭素の価値を受け入れるマインドの転換は必要だ」と話す。27年に同市で開催される国際園芸博覧会の会場工事での使用が検討されている。

大成建設は「ゼロカーボンビル」

大成建設も独自に脱炭素型コンクリートを開発。昨年の大阪・関西万博で一部パビリオンの床材に採用された。工場から排出されたCO2を含んだ炭酸カルシウムを、コンクリートの骨材として封じ込めることで、事業者の排出量を「実質マイナス」とする。

資材だけでなく、ビルの修繕や解体といった「ライフサイクル」でCO2排出を削減する動きもある。国土交通省は28年度から延べ床面積5千平方メートル以上の新築オフィスについて、着工前にライフサイクルでの排出量の算定、報告を義務付ける方針だ。

大成建設はライフサイクルでの排出量ゼロを目指す「ゼロカーボンビル」を開発した。今月16日に報道陣に公開した埼玉県幸手市にあるグループの研究所の建物で、壁や床に脱炭素型コンクリートを使用。今後、修繕・解体工事で重機にバイオ燃料を使うなどして排出量を抑えるという。

三井不動産と竹中工務店は木造賃貸ビル

三井不動産と竹中工務店は東京・日本橋に国内最大となる木造賃貸オフィスビルを建設中だ。来年1月の完成後は次世代型の太陽電池の活用などでCO2排出量を長期間抑える。

19日には金子恭之国土交通相が現場を視察し「木のぬくもりが感じられる」と感想を述べた。通常の鉄筋鉄骨より1~2割程度割高で賃料もかさむ方向だが、予約は好調だという。今後、公共の建築物で脱炭素を進めた場合のコストの情報開示に関し、金子氏は「(鉄筋・鉄骨使用との)比較を含め、開示を考えていきたい」と述べた。(織田淳嗣)