年初来で+30%強、韓国株の急騰は「推し活投資」が理由なのか? その正体に迫る

KOSPI (コスピ)は、韓国の代表的な株価指数だ。
- 韓国株の代表的な株価指数、KOSPI(コスピ)が年初来から30%強と急騰している。
- KOSPIといえば「推し活投資」のイメージが強いかもしれないが、実は世界の半導体サイクルへの投資に近い。
- 最近の韓国株の急騰から、韓国株への投資を考える際に知っておきたいこととは?
足元で韓国株が大きく上昇し、日本の個人投資家の間でも関心が高まりつつある。韓国株とは、韓国の証券取引所に上場する企業の株式のことで、代表的な株価指数は KOSPI (コスピ:Korea Composite Stock Price Index[韓国総合株価指数])であり、大型企業を中心に構成されている。
このKOSPIが年初来から30%強上昇するほど急騰している。世界の代表的な株価指数と比較しても上昇率は最も高い(図表1)。
図表1:世界の主要な株価変化率

2026年初対比、3月12日時点
KOSPIの推移をみると(図表2)、2020年初対比では2倍強まで上昇している。日本株(TOPIX)と同等のパフォーマンスを示しており、その注目度は急速に高まっている。
図表2:KOSPIとTOPIX

3月12日時点
この韓国株については、最近「推し活投資」という言葉とともに語られることが多い。K-POPや韓国ドラマ・映画、コスメなど、好きな文化やブランドをきっかけに投資を考えるようになるということだ。韓国4大エンターテイメント会社への投資が紹介されている報道も目にする。
特に若年層にとって、韓流は身近な存在のようだ。筆者が最近話した20代の方からは「韓流はブームではなく、もはや定着していますよ」とも言われた。"ヨン様ブーム"を若年時に体感した筆者としては、隔世の感があった。
投資初心者にとっては、身近な文化を入口に海外株式を知るというのは実際にあり得るケースだ。韓国株に関する報道や記事を目にする機会も増えているように筆者も感じる。この点から考えると、最近の韓国株の急騰は魅力的に映り、韓国株への投資を考えるきっかけになるのだろう。
ただ、KOSPIへの投資の実態は「推し活投資」というイメージとはやや異なる。なぜなら、韓国株式市場の値動きを主に左右しているのは、文化産業というよりも、むしろ半導体を中心とした輸出産業だからだ。
韓国は世界有数の半導体生産国であり、「メモリ」と呼ばれる主にデータ保存用途で用いられる半導体で大きなシェアを持つ企業が存在する。結果として、韓国株式市場は半導体市況やIT投資の動きに非常に敏感に反応する構造となっている。
実際、KOSPIの主要構成銘柄の時価総額から計算すると、半導体メモリの最大手であるサムスン電子とSKハイニクスの2社だけで全体の40%程度を占めると計算される。この2社の株価は、AIデータセンターへの大型投資によるメモリ需要の急増を背景に急騰している。
つまり、韓国株の大きな魅力は半導体など競争力のある成長産業を有している点にある。特にAIデータセンター需要の拡大が続く局面では、半導体関連企業の業績改善を通じて株価の強い動きが続く可能性がある。
一方、韓国4大エンターテイメント会社の時価総額シェアは相対的に小さい。また、4社のうちKOSPIの構成銘柄に含まれるのは1社のみで、残り3社はKOSDAQ(Korea Securities Dealers Automated Quotations:米国のNASDAQをモデルとした株式市場で、主に中小企業、ベンチャー企業などが含まれる)の構成銘柄だ。「推し活投資」として韓国株への投資を考えるのならば、KOSPIではなくKOSDAQを参照すべきだろう。足下のKOSDAQも上昇しており、エンタメ部門もその一因となっている。ただし、KOSPIの上昇率には及ばない(図表3)
図表3:KOSPIとKOSDAQ

3月12日時点
言い換えれば、KOSPIへの投資は「韓流コンテンツへの投資」というよりも、世界の半導体サイクルへの投資に近い。半導体需要が拡大する局面では企業業績が大きく改善し、株価が大幅に上昇する。一方で、在庫調整やIT投資の減速が起こると、半導体価格が下落してKOSPIには大きな逆風となる。
こうした構造は、株価のボラティリティを高める。半導体サイクルは需給の変化によって価格が大きく変動するため、好不況の山谷が大きくなりやすい。そのため韓国株の変動幅は、日本株や米国株よりも大きくなる可能性がある。KOSPIの時価総額はS&P500の約20分の1、TOPIXの半分弱と市場規模が小さい点も、変動の大きさにつながる要因だ。
さらに、日本の投資家にとっては為替の影響も無視できない。韓国株への投資では、株価の変動に加えて、韓国ウォンと日本円の為替レートの動きも投資リターンに大きく影響する。また、韓国経済の輸出依存度は日本より高いため、世界経済の動向にも左右される。
世界景気、半導体市況、為替といった要因が韓国株に与える影響は大きい。そのため、韓国株の動きを理解するにはマクロ経済への理解が欠かせない。投資初心者にとって、この点は注意すべきポイントだろう。推し活投資というイメージだけで投資すると、値動きの大きさに驚くこともあるかもしれない。ボラティリティが比較的高い市場であることを理解したうえで投資を検討することが重要だ。
推し活という身近な入口から海外株式に関心を持つこと自体は、投資の世界を広げる意味で良いことだと筆者は感じる。ただし実際の株式市場は、文化だけでなく産業構造や世界経済の動きによって大きく左右される。文化を入口として、その国の株式市場に興味を持ち、背後にある産業や経済構造を理解する――そうした視点を持つことが、投資を長く続けるための第一歩になる。