暗号資産、株式トークン、ステーブルコインはどうなる? 20年後の「デジタル金融」未来予想図

2028年、日本でも暗号資産ETFの解禁が見込まれている。世界で350兆円規模に拡大したデジタル資産はもはや投機対象ではなく、国家や企業の戦略に関わるインフラへと位置づけが変わりつつある。

2026年には日本でもステーブルコインの発行が本格化する可能性があり、金融の仕組みそのものが転換点を迎えようとしている。資産の保有や投資のあり方は、この先どのように変わるのか。

20年後、人々は『貯蓄から投資へ』という言葉すら使わなくなる

こうしたテーマが議論されたのが、AIやWeb3など先端技術の社会実装をテーマに開催されたカンファレンス「Digital Space Conference 2026」の中のセッション「Vision2045 デジタル金融20年ロードマップ(2025-2045)」だ。

暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関するメディア「あたらしい経済」(幻冬舎)編集長の設楽悠介氏が、SBIグローバルアセットマネジメント社長の朝倉智也氏、シンプレクスのエグゼクティブプリンシパルでWeb3のスペシャリスト三浦和夫氏とともに、2045年までの「デジタル金融の未来予想図」を議論した。

暗号資産の時価総額は、350兆円規模に

暗号資産全体の時価総額はいま、エヌビディア(Nvidia)、マイクロソフト(Microsoft)、アップル(Apple)に次ぐ、350兆円規模にまで成長している。その主体はやはりビットコインで約200兆円にのぼること、それはGAFAMにエヌビディアとテスラ(TESLA)を加えた米国株式市場を牽引する7社「マグニフィセント・セブン(Magnificent Seven)」に匹敵することから、「投資家が保有していてもおかしくない資産クラスであることは間違いない」と朝倉氏は断言する。

SBIグローバルアセットマネジメント社長の朝倉智也氏

現在、日本における暗号資産の口座数は約1400万、一方、NISA口座は約2800万だ。証券会社や銀行で購入できて税制優遇もあるNISAと異なり、暗号資産は雑所得扱いになるため税率は高く、損益通算も複雑でハッキングなどセキュリティ面でのリスクもある。にもかかわらず、NISAの約半数もの口座があることを朝倉氏は「相当な規模感」だと語る。

2024年1月に米国でビットコインのETF(Exchange Traded Fund、上場投資信託)が上場され、その後イーサリアムやXRPのETFも加わり、わずか2年で25兆円規模にまで拡大した。日本では、暗号資産ETFの解禁に向けて金融商品取引法の改正が検討されており、2026年の法改正成立、2027年頃の施行を経て、2028年1月頃の制度開始が見込まれている。

世界からの遅れを危惧する声もあるが、三浦氏は解禁までの間に「ブロックチェーンなどの技術を活用しながら、金融システム自体の効率化に向けた準備を進める必要がある」と指摘する。

設楽氏は、「アメリカのストラテジー社、日本のメタプラネット社のような暗号資産を買うことを事業とするダット(DAT:Digital Asset Treasury)企業に注目する投資家が増えている」ことを紹介。朝倉氏が率いるSBIグローバルアセットマネジメントは2019年から株主優待としてXRPを配布しているが、この6年で株主は1万5000人から9万人に増加したという。

海外、ワイン…あらゆる資産がトークン化していく

また、海外では24時間365日取引可能で即時決済や海外送金もできる「株式自体のトークン化」も進んでいるという。

株や債券といったパブリック・アセットだけでなく、あらゆる資産がトークン化していく」と考える朝倉氏は、未公開株式や不動産、IP、映画、絵画、ワインなどのプライベート・アセットがトークン化して自由に売買できるようになれば、投資市場はどんどん広がり、「今のような市場に戻ってこられない」と予想する。

では、そうした取引を支えるプラットフォーム構築は、技術的に可能なのか。テクノロジーを提供する立場の三浦氏は、「ブロックチェーンが話題になり始めた頃の、性能の課題はかなり解消されてきた」としながらも、本当に難しいのは「新しい仕組みを作っていくよりも、既存の仕組みと並走させながら、どうトランスフォーメーションしていくか」だと強調。

加えて、誰もが検証できるブロックチェーンの良さを活かしつつ、「プライバシーに関わる部分は必要情報のみを可視化する技術を作っていくこと」がベストな形だと考えているようだ。

シンプレクス エグゼクティブプリンシパルの三浦和夫氏

現時点で、日本の金融機関が主導するブロックチェーンの多くは、参加主体が企業や金融機関に限定された許可型で運用されている。SBIでも独自の株式ブロックチェーンを構築しているが、「既存の仕組みからいきなり移行するのではなく、融合しながら最終的には便利なほうに行く」と朝倉氏。

続けて、海外の投資家は自国株を中心としたポートフォリオを組むものだが、「日本の投資家はアメリカ株を圧倒的に保有している」実態に触れ、オンチェーン化が進んでいけば、「日本株だけでなく円建て債券に投資する人が増え、海外からもステーブルコインによる投資が見込める」と期待する。そのためにも、日本市場で「より早く便利さを進めていく必要性がある」と朝倉氏は説く。