【年収の壁】新年度から“働き損&働き控え”せず働ける? 『社会保障の壁』『年金の壁』何が変わるのか 高市総理「働いて働いて…」国民も“もっと働く”春に?

 いよいよ来週から新年度スタート。4月から私たちの生活に関わるさまざまな制度も変わります。

 特に確認しておきたいのが「働くルール」。例えば、社会保険料の支払い義務が発生する、いわゆる「130万円の壁」の要件が緩和され、これまでよりも多く働けるようになります。大学生アルバイトやパートタイマーなどが、“働き控え”をせず働ける余地が大きくなるのです。

 新年度前に理解しておきたい「働くルール」について、山中真解説委員が解説します。

【取材】

◎ファイナンシャルプランナー・山下幸子氏

「社会保障の壁」要件緩和=“働き損”なく働ける範囲が拡大

 「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」と去年10月の自民党総裁選で語った高市総理。

 この春は、私たち国民も“より働ける”ようになるかもしれません。というのも、4月から「社会保障」「年金」2つの“壁”が変わるからです。

 1つ目が「社会保障の壁」です。社会保険料の支払い義務が発生して、“働き損”(手取りの逆転現象)が起きてしまう年収ライン=いわゆる「130万円の壁」の要件が4月から緩和されます。

「大学生」(19歳以上~23歳未満)の“壁”を年150万円まで引き上げ

 これまでは「年収130万円」を超えると、手取りが33万6000円減少するため、約160万円以上働かなければ“働き損”になっていました(FP山下幸子氏試算)。今回の制度変更により、この年収ラインが引き上げられます。

 影響を受けるのが、次の人です。

・会社員の扶養に入る人

・大学生(19歳以上~23歳未満)

・60歳以上の人

 まず、「大学生」(19歳以上~23歳未満)については、“壁”が年150万円まで引き上げられます。つまり、アルバイト収入が年130万円を超えた場合でも、親の扶養から外れることはありません。

残業分は「壁」の判定に含めない 年末の“働き控え”改善なるか

 次に、

「会社員の扶養に入る人」(年収130万円を超えると社会保険料の支払い義務が発生)

「60歳以上の人」(年収180万円を超えると社会保険料の支払い義務が発生)

については、それぞれ“壁”の額は変わりませんが、4月からその要件が緩和されます。

 これまでは、年収が“壁”を1円でも超えた場合、社会保険料の支払い義務が発生していたため、年末になるとその“壁”を超えないよう仕事を休む=“働き控え”が生じていました。

 4月からは、この“壁”が労働契約(労働条件通知書)に基づいて判定されることになり、社会通念上妥当な範囲の残業分については「壁の判定」に含めないというルールになります。

 この“社会通念上妥当な範囲”の残業について、越水遥弁護士によると「例えば1か月だけ超える場合などはイレギュラーとみなされる」ということで、年末年始の繁忙期などには“働き控え”せず働くことができそうです。

年金受給者の「51万円の壁」も引き上げ

 さらに、65歳以上の年金受給者の「51万円の壁」も変わります。

 これまでは厚生年金+賃金が月51万円を超えた場合、その超えた分の半額の年金が停止されていました。

 (例)

 厚生年金・月10万円 + 賃金・月46万円 = 56万円

 →超えた額は56万円-51万円=5万円

 →5万円の半額=2.5万円の年金が減額

 

 そのため、月の賃金と年金を合わせて51万円を超えないように調整する“働き控え”が起こっていました。

 4月からは、この51万円が65万円に引き上げられ、賃金+年金が65万円を超えなければ、年金を全額受給できるようになります。

 今回の制度変更の対象にいる人は、自身の労働契約や今後の働き方を改めて確認してみるのもいいかもしれません。

 (2026年3月23日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)