いつもの年金以外に何がある?【手続きしないと受け取れない】60歳・65歳以上対象の公的給付まとめ
老齢年金本体に上乗せされる給付2種+雇用保険から出る給付3種

いつもの年金以外に何がある?【手続きしないと受け取れない】60歳・65歳以上対象の公的給付まとめ
2026年度が目前に迫り、物価上昇が続くなかでセカンドライフの資金計画を見直している方もいらっしゃるかもしれません。
老後の生活を支える公的年金ですが、実は条件を満たしていても「自分で申請」しなければ受け取れない給付金があることをご存じでしょうか。雇用保険関連の制度も同様で、知っているかどうかで家計に差がつく可能性があります。
この記事では、老齢年金に加えてシニア世代が受け取れる可能性のある「5つの公的給付」に焦点を当て、申請漏れで損をしないためのポイントをわかりやすく解説します。
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公的給付の大部分は「申請主義」!手続きしないと受け取れません
公的年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)は、私たちの生活を支える重要なセーフティーネットです。
しかし、これらの年金は支給要件を満たせば自動的に支給されるわけではありません。年金を受け取るには、「年金請求書」を提出し、自ら請求手続きをする必要があります。

出所:日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号
国や自治体が提供する手当、給付金、補助金なども、その多くが申請手続きをしなければ受け取れません。
申請期限や必要書類といったルールを守らないと、本来なら受け取れるはずのお金が減額されたり、最悪の場合受け取れなくなったりすることもあります。
利用できる公的支援を確実に活用するためには、自分がどの制度の対象になるのかを把握し、きちんと手続きをすることが重要です。
老齢年金本体に上乗せされる給付2種〈年の差夫婦、少なめ年金なら要チェック〉
老齢年金を受け取っているシニア世代の方が、特定の条件を満たすことで、通常の年金額に加えて受け取れる給付金を2種類ご紹介します。
加給年金とは?「年金の家族手当」
加給年金は、「年金の家族手当」や「扶養手当」に例えられる制度です。
老齢厚生年金を受け取っている方が、条件を満たす年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、年金額が加算されます。
加給年金《支給要件》
・厚生年金の加入期間が20年(※)以上ある方:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
・65歳になった後(または定額部分の支給が始まる年齢に達した後)に、被保険者期間が20年(※)以上になった方:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)
(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
上記のいずれかのタイミングで、65歳未満の配偶者や、18歳になる年度の末日までの子ども(または1級・2級の障害がある20歳未満の子ども)がいる場合に加算の対象となります。
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)や退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受け取る権利がある場合、または障害年金などを受給している場合、配偶者加給年金額は支給停止となるので注意が必要です。
加給年金《2025年度の年金額》

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
「加給年金」の金額(2025年度の年額)は次の通りです。
・配偶者対象:23万9300円
・子ども(1人目・2人目):各23万9300円
・子ども(3人目以降):各7万9800円
また、老齢厚生年金受給者の生年月日に応じて、配偶者分の加給年金額に3万5400円から17万6600円の特別加算が上乗せされます。
振替加算とは
加給年金の対象である配偶者が65歳になると、加給年金の支給は終了します。しかし、その配偶者が自身の老齢基礎年金を受け取る際に、一定の条件を満たしていれば、年金額に「振替加算」が行われます。
老齢年金生活者支援給付金について
年金生活者支援給付金は、基礎年金を受け取っている方で、所得が一定の基準を下回る場合に支給される給付金です。「老齢」「障害」「遺族」のそれぞれに給付金制度があり、個別の支給要件が定められています。
ここでは「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当てて解説します。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
・65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
・同じ世帯に住む全員が、市町村民税の課税対象でないこと
・前年の公的年金などの収入金額(※1)と他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)であること
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
2026年度における老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5620円となっており、前年度から3.2%の増額です。
この基準額を基に、保険料の納付状況などに応じて実際の給付額が計算されます(下記の①と②の合計額)。
老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算式
・①保険料を納付した期間に基づく月額 = 5620円 × 保険料納付済期間 / 480カ月
・②保険料を免除された期間に基づく月額 = 1万1768円 × 保険料免除期間 / 480カ月
例えば、国民年金保険料を40年間すべて納付した方の場合、2026年度は月額5620円(年額7万7440円)が支給される計算です(昭和16年4月1日以前生まれの方は計算方法が異なります)。
なお、保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金額の改定に伴い変動します。
雇用保険から出る給付3種〈再就職・賃金低下・失業時なら対象かも〉
次に、働き続けるシニア世代にとって関心の高い、就労関連の給付金や手当について確認していきましょう。
シニアの就労支援制度は整備が進んでいますが、一般的に60歳を境に収入が減少する傾向が見られます(※)。また、若い頃と同じように就職活動や就労継続が順調に進むとは限らないでしょう。
ここでは、シニア世代が知っておきたい雇用保険関連の手当や給付金を3種類紹介します。
※国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」による年齢階層別の平均給与:50歳代後半男性735万円、女性356万円、60歳代前半男性604万円・女性294万円、60歳代後半男性472万円・女性240万円
65歳未満が対象の「再就職手当」
この手当は早期の再就職を後押しするもので、失業してから再就職または事業を開始するまでの期間が短いほど、多くの額が支給される仕組みです。
再就職手当【支給要件】
・対象者:雇用保険の受給資格者で、基本手当の受給資格を持つ方
・支給要件:対象者が雇用保険の被保険者として就職するか、事業主となって被保険者を雇用する場合で、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、その他一定の要件を満たした場合に支給されます。
再就職手当【給付率】
・手当の額:就職日の前日までに失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数に応じて、給付率が変わります。(1円未満の端数は切り捨て)

再就職手当の額
なお、再就職手当を受け取った後、再就職先で6カ月以上雇用され、その間の賃金が離職前の賃金より低い場合には、「就業促進定着手当」の対象となる可能性があります。
60歳から65歳未満向けの「高年齢雇用継続給付」
高年齢雇用継続給付は、60歳から65歳未満の方が働き続けるなかで、賃金が60歳時点と比べて低下した場合に受け取れる給付金です。
高年齢雇用継続給付【支給要件】
・対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者
・支給条件:賃金が60歳到達時の75%未満になった状態で就労を継続する場合
高年齢雇用継続給付【支給率】
・支給額:最高で賃金額の10%(※)相当額
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は15%

【早見表】高年齢雇用継続給付(2025年4月1日以降)
老齢年金を受け取りながら厚生年金に加入し、「高年齢雇用継続給付」を受給する場合、在職による年金の支給停止に加えて、最大で標準報酬月額の4%(※)に相当する額が支給停止となる点に注意が必要です。
※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たす人は6%
65歳以上が対象の「高年齢求職者給付金」
高年齢求職者給付金は、65歳以上の方が失業した場合に支給される一時金形式の給付金です。
高年齢求職者給付金【支給要件】
・対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業した方
・支給要件:以下のすべての条件を満たす必要があります。
高年齢求職者給付金【いくらもらえる?】給付金額

高年齢求職者給付金の額
・支給額
65歳未満の方が受け取る基本手当(失業手当)が原則4週間に1度支給されるのとは異なり、高年齢求職者給付金は一括で支給される点が特徴です。
【2026年4月から】年金制度改正で「在職老齢年金」のルールが大幅緩和
2025年6月13日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決・成立しました。
この法改正は、働き方や家族の形、ライフスタイルの多様化に対応した年金制度の構築を目的としています。また、私的年金制度の拡充や所得再分配機能の強化を通じて、シニア世代の生活安定を図ることも重要な狙いです。
今回の改正の主なポイントを確認しておきましょう。
主な改正内容

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
社会保険の加入対象の拡大
・中小企業で働く短時間労働者などが厚生年金や健康保険に加入しやすくなり、将来の年金額が増えるといったメリットを享受できるようになります。
在職老齢年金の見直し
・年金を受給しながら働くシニア世代が、年金の減額を気にすることなく、より意欲的に働ける環境を整えます。
遺族年金の見直し
・遺族厚生年金における男女差をなくし、子どもが遺族基礎年金を受け取りやすくなるよう見直されます。
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
・月収が一定額を超える方が、その賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の収入に見合った年金を受け取れるようにします。
その他の見直し
・子どもの加算や脱退一時金の見直しが行われます。
・私的年金制度も見直され、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢の上限が引き上げられます。
これらの改正点を見ると、公的年金が単に老後の給付だけでなく、現役世代の働き方やキャリア、ライフプランにも密接に関わっていることが理解できます。
いつもの年金以外も結構あった!【手続きしないと受け取れない】公的給付へのアンテナを高く張っておきましょう
この記事では、申請手続きによって受け取れる年金の上乗せ給付や、シニアの就労を支援する公的制度について解説しました。
加給年金や各種給付金、雇用保険の手当などは、いずれも「待っているだけでは支給されない」という点が最も重要なポイントです。
最新の制度改正の内容を理解し、自身の年齢や働き方に合った「正当な権利」を漏れなく申請することが、長寿化する社会で安心して暮らすための自己防衛策といえるでしょう。
国の支援制度を最大限に活用し、ゆとりのあるセカンドライフを実現しましょう。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・日本年金機構「初めて老齢年金を請求するとき」年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号
・日本年金機構「か行 加給年金額」
・日本年金機構「加給年金額と振替加算」
・厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
・日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
・厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
・日本年金機構「年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整」
・厚生労働省「再就職手当のご案内」
・厚生労働省「離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>」
・国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
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