「ありゃ恥ずかしっ! 交差点でワイパーがウィーン…」なぜ輸入車のウインカーレバーは左手側にある? 日本車と位置が異なる理由

輸入車の多くが「左手ウインカー」を採用している理由

 国産車から輸入車へ、あるいはその逆へと乗り換えた際、多くのドライバーがまず違和感を覚えるのが「ウインカーレバーの位置」です。日常的に操作する部分であるだけに、この違いは想像以上に強く印象に残るポイントだと言えるでしょう。

 一般的に国産車では、ウインカーレバーはステアリングの右側に配置されています。一方で、輸入車の多くは左側に備えられているのが特徴です。そのため、慣れないうちはウインカーを出そうとしてワイパーを作動させてしまう――そんな“あるある”のミスを経験した人も少なくないはずです。

【画像】「えっ…! レバーがない!?」これが「世にも奇妙」なウインカー搭載車です(32枚)

 では、なぜこのような違いが生まれているのでしょうか。

現在、新車で販売されている日本車のほとんどが右手側にウインカーレバーがついている。輸入車は左手側ウインカーが圧倒的多数だ

 大きな理由として挙げられるのは、それぞれが基準としている規格の違いです。国産車は原則として「日本産業規格(JIS)」に従って設計されており、そこではウインカーレバーを右側に配置することが標準とされています。

 一方、輸入車の多くは「国際標準化機構(ISO)」の考え方に基づいています。ISOでは、ハンドルの左右に関係なく、ウインカーレバーは左側にあることが望ましいとされており、この基準が世界的に広く採用されています。

 ただし、これらはいずれも「標準」を示すものであり、法的な拘束力を持つものではありません。日本の公道を走行する車両について定めた「道路運送車両法」においても、ウインカーレバーの位置に関する明確な規定は存在していません。さらに言えば、操作方法自体もレバー形式に限定されているわけではないのです。

 実際、フェラーリやランボルギーニの一部モデルでは、ステアリング上のボタンでウインカーを操作する方式が採用されています。ただし、こうした例はあくまで少数派であり、多くの量産車はJISやISOといった既存の規格に準拠することで、操作性や生産効率を確保しています。

 ウインカーレバーの位置が右(JIS)と左(ISO)に分かれた背景については諸説ありますが、有力とされているのが、マニュアル車(MT)が主流だった時代の操作性に由来するという考え方です。MT車ではシフト操作の際に一時的に片手運転となるため、シフトレバーとウインカーが同じ側にあると同時操作が難しくなります。そのため、両者を左右で分ける配置が合理的だったと考えられています。

 一方、日本に右ハンドルの輸入車が本格的に普及し始めた頃には、すでにMT車の比率は低下傾向にありました。そのため、「右ハンドル・左ウインカー・MT」という組み合わせ自体が少なく、大きな不便として認識されにくかったとも考えられます。

 なお、日本メーカーの車両であっても、欧州や北米、中国といった海外市場向けモデルではISOに準拠し、左ウインカー仕様が採用されています。つまり、右ウインカーは日本市場特有の仕様だと言っても過言ではありません。

日本市場に合わせた「右ウインカー」の輸入車は売れない?

 かつては、日本が左側通行であることから、右側通行を前提に開発された欧米車を日本仕様に合わせて調整するという手法が一般的でした。

 しかし近年では、自動車のグローバル化が急速に進み、イギリスやオーストラリア、インド、タイといった同じ左側通行の市場も含めて、開発段階から考慮されるようになっています。

2011年に日本導入されたコンパクトカー、シボレー「ソニック」は日本車と同じ右手側ウインカー/左手側ワイパーを採用していた

 その結果、輸入車でも右ハンドル仕様はごく一般的な存在となりました。ただし、ISO基準自体は維持されるため、右ハンドルであってもウインカーレバーは左側に配置されるケースが主流です。日本独自のJISに合わせて右側へ変更することは、設計や生産の面でメーカーにとって負担が大きいという現実もあります。

 とはいえ、日本のユーザーにとっては、やはり「右ハンドル・右ウインカー」の方が直感的で扱いやすいと感じる場面が多いのも事実です。長年の慣れが操作感に大きく影響していると言えるでしょう。

 実際、過去にはあえてその組み合わせを採用した輸入車も存在しました。2011年に登場したシボレー「ソニック」は、コンパクトで手頃な価格帯に加え、国産車からの乗り換えを意識して右ウインカー仕様を採用したモデルとして知られています。

 しかしながら、その販売は期待されたほど伸びることはなく、2016年1月に販売を終了しました。ウインカーレバーの位置だけが要因とは言えませんが、輸入車に対して“国産車とは違う個性”を求めるユーザー心理が影響した可能性も考えられます。

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 現在、中国の大手メーカーであるBYDは、日本向けに販売するモデルすべてに「右ハンドル・右ウインカー」を採用しています。

 これまで日本ではあまり支持されにくいとされてきたこの仕様ですが、BYDがそのイメージを覆す存在となるのか。今後の販売動向やユーザーの評価に、引き続き注目が集まりそうです。

BYD「シーライオン」は右ハンドル・右ウインカーを採用

 日本では「右ハンドル×右ウィンカー」の輸入車は好まれないという一種の「ジンクス」を、BYDが打ち壊すことができるのかに注目が集まります。