【厚生年金+基礎年金】「月額15万円(年額180万円)以上」受給する人はどれほどいるのか?
【2026年度】年金額は増額「国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%のプラス改定」

【厚生年金+基礎年金】「月額15万円(年額180万円)以上」受給する人はどれほどいるのか?
「老後の暮らしで、毎月いくらあれば安心して生活できるのか」と考えたことはありませんか。
3月も下旬に差し掛かり、新年度の年金額改定が公表される時期となりました。
ご自身の将来の年金額について、改めて関心が高まっている方もいらっしゃるかもしれません。
まずは、総務省が発表した最新の調査結果をもとに、高齢者世帯の家計の実態を確認してみましょう。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯では、1カ月あたりの消費支出が平均で14万9286円となっています。
それに対して、税金などを除いた可処分所得は12万1469円であり、毎月約2万8000円が不足している状況です。
このデータを見ると、老後の生活費の一つの目安として「月額15万円」というラインが見えてきます。
では、公的年金だけでこの金額を実際に受け取っている人は、どのくらいの割合で存在するのでしょうか。
公表されている資料を基に、現役世代が今のうちから知っておきたい年金受給のリアルな姿を詳しく見ていきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の公的年金制度「2階建て」の構造とは?国民年金と厚生年金の基本を解説
日本の公的年金制度は、土台となる「国民年金(基礎年金)」と、その上に乗る形で会社員などが加入する「厚生年金」から成り立っており、「2階建て構造」といわれています。
それぞれの年金制度について、基本的なポイントを整理していきましょう。
国民年金と厚生年金の仕組みについて

1階部分:国民年金(基礎年金)とは
・加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。
・保険料:加入者全員が同じ金額を納めますが、毎年度見直されます(※1)。
・受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金(※2)を受け取ることが可能です。未納期間がある場合は、その分だけ満額から減額されます。
※1 国民年金保険料:2026年度の月額は1万7920円です。
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度の月額は7万608円です。
2階部分:厚生年金とは
・加入対象:会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する制度です。パートタイマーの方でも、特定適用事業所(※3)に勤務し、一定の条件を満たす場合は加入対象となります。
・保険料:給与や賞与など、収入に応じて保険料が決まります(上限額が設定されています)(※4)。
・受給額:加入期間や納付した保険料の額によって、一人ひとり受給額が異なります。
このように、厚生年金は会社員や公務員が国民年金に加えて加入する仕組みです。国民年金と厚生年金では、加入の対象者や保険料の決まり方、受給額の計算方法などが違うため、老後に受け取る年金額は個人の加入歴や収入によって変わってきます。
また、公的年金の支給額は、物価や現役世代の賃金の動きに応じて毎年改定されるという点も、理解しておくべき重要なポイントです。
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を掛けて計算されます。
2026年度の年金額改定:国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の増額
公的年金の受給額は、毎年、物価や現役世代の賃金の変動を反映して見直されます。
2026年度においては、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%それぞれ増額となり、4年連続でのプラス改定が決まりました。

2026年度の年金額
・国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分 ※1)
・厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
国民年金のみの加入だった場合、満額(※3)を受け取ったとしても月額は約7万円です。繰下げ受給(※4)を利用して受給開始を上限の75歳まで遅らせた場合でも、月額13万円には届かない計算になります。
※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額を指します。
※4 繰下げ受給:老齢年金の受給開始年齢を66歳から75歳までの間に遅らせる制度です。「繰下げ月数×0.7%」の増額率が適用され、75歳で受給を開始した場合の増額率は84%になります。
厚生年金の受給額「月15万円」を超える人の割合は?受給者数の分布をデータで確認
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者の男女合計で見た平均月額は「15万289円」でした。この金額には、1階部分である国民年金(老齢基礎年金)の額も含まれています。
受給額ごとの人数分布は、以下の通りです。
厚生年金(国民年金含む)受給額別の受給権者数

厚生年金(国民年金含む)受給額別の受給権者数
・1万円未満:4万3399人
・1万円以上~2万円未満:1万4137人
・2万円以上~3万円未満:3万5397人
・3万円以上~4万円未満:6万8210人
・4万円以上~5万円未満:7万6692人
・5万円以上~6万円未満:10万8447人
・6万円以上~7万円未満:31万5106人
・7万円以上~8万円未満:57万8950人
・8万円以上~9万円未満:80万2179人
・9万円以上~10万円未満:101万1457人
・10万円以上~11万円未満:111万2828人
・11万円以上~12万円未満:107万1485人
・12万円以上~13万円未満:97万9155人
・13万円以上~14万円未満:92万3506人
・14万円以上~15万円未満:92万9264人
・15万円以上~16万円未満:96万5035人
・16万円以上~17万円未満:100万1322人
・17万円以上~18万円未満:103万1951人
・18万円以上~19万円未満:102万6888人
・19万円以上~20万円未満:96万2615人
・20万円以上~21万円未満:85万3591人
・21万円以上~22万円未満:70万4633人
・22万円以上~23万円未満:52万3958人
・23万円以上~24万円未満:35万4人
・24万円以上~25万円未満:23万211人
・25万円以上~26万円未満:15万796人
・26万円以上~27万円未満:9万4667人
・27万円以上~28万円未満:5万5083人
・28万円以上~29万円未満:3万289人
・29万円以上~30万円未満:1万5158人
・30万円以上~:1万9283人
厚生年金の受給額が月額15万円以上となっている方は、全体の49.8%であり、半数を下回る結果となりました。
厚生年金に加入していない自営業者なども含めると、この割合はさらに低くなることが予想されます。
「年収106万円の壁」は撤廃へ?2025年成立の年金制度改正法の内容
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、パートやアルバイトで働く人々にとって関わりの深い、いわゆる「年収106万円の壁」をなくす内容が盛り込まれています。
パート・アルバイトの「106万円の壁」とはどのような制度か

パート・アルバイトの「106万円の壁」とはどのような制度か
「106万円の壁」とは、パートタイマーなどの短時間労働者の方の年収が106万円を超えた場合に、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れ、自身で保険料を支払う必要が出てくる収入の目安を指します。
保険料を負担することで手取り額が減ってしまうため、収入が基準額を超えないように労働時間を調整する「働き控え」の要因の一つとされてきました。
また、社会保険の適用対象となる企業の規模は徐々に拡大しており、2024年10月からは従業員数が「51人以上」の事業所が対象となっています。
今回の法改正では、「3年以内の賃金要件の撤廃」と「10年かけて企業規模要件を段階的に撤廃」することが決まりました。
社会保険の適用拡大で加入要件はどう変化するのか

社会保険の適用拡大で加入要件はどう変化するのか
2025年7月時点において、パートタイムなどで働く短時間労働者が社会保険に加入するためには、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・2カ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
・所定内賃金が月額8万8000円以上(賃金要件)
・従業員数51人以上の企業で働いている(企業規模要件)
今回の改正により、このうち4番目の「賃金要件」と5番目の「企業規模要件」が撤廃される見通しです。
この改正によって、いわゆる「106万円の壁」の根拠となっている賃金要件は、全国の最低賃金の引き上げ状況も踏まえながら3年以内に廃止される方針です。さらに、企業規模の要件も10年かけて段階的に撤廃されることになります。
まとめ
今回は公的年金の制度について見てきました。公的年金だけで老後の生活を送ることに、不安を感じる方も少なくないでしょう。
そうした中で、近年は「資産運用」を活用して老後資金を準備する世帯も増えています。
特にNISAやiDeCoといった国の制度は、少額から始められるため、投資初心者の方でも比較的取り組みやすいといえるでしょう。
老後資金の準備は「時間」を味方につけてコツコツと進めることが大切です。早めに準備を始めてみてはいかがでしょうか。
※金額等は執筆時点での情報に基づいています。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
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