日立「ドレスコードフリー」入社式、脱スーツ3年目の現在地

入社式に登場した、日立の徳永俊昭社長。装いはビジネスカジュアルだった。

入社式に何を着ていくか——。日立製作所(以下、日立)が入社式に「ドレスコードフリー」を導入して、3年目の春を迎えた。

4月1日、東京・新宿の京王プラザホテルで開かれた日立の入社式「Career Kickoff Session」には、新卒の新入社員約860人が集まった。会場で印象的だったのは、スーツ姿がなお多数派でありながら、ネクタイを外した着こなしも散見されたことだ。德永俊昭社長も、白のトップスにジャケットというカジュアルな装いだった。

日立の入社式の様子。

ドレスコードフリーは「スーツ文化の否定ではない」

日立の新入社員の伊藤さん(左)と唐さん。

「ドレスコードフリーと聞いてドキドキしました」

日立の新入社員・伊藤葵さんはそう振り返る。グレージュ系のスーツに千鳥柄のボウタイブラウスを合わせた装いの伊藤さん。千鳥柄には勝運祈願の意味があるといい、「節目の日にちょうどいいかなと思った」と、スーツという形式は守りつつ、柄で個性をにじませる選び方をしたという。

外国籍の新入社員・唐通(とう・つう)さんは、白のトップスとシンプルなジャケット姿という德永社長と似たスタイルで取材に応じた。「日本の職場はみんなスーツというイメージだった」としたうえで、「ドレスコードフリーと聞いて安心感があった。自分もリラックスした雰囲気のスーツにした」と話す。

スーツ姿が多いが、着こなしは多様化している。

取り組みを始めて3年。日立の入社式のドレスコードフリーは、2024年にジャケット着用を前提として始まり、2025年にはその条件も撤廃された。2026年も同じ方針を続けている。

担当者によると、取り組みの初年度である2024年はドレスコードフリーと言ってもスーツ姿が体感で約9割ほどだったという。その後、2025年、2026年と徐々にビジネスカジュアル寄りの装いが増えていった。2025年以降は社員の服装例を写真付きで示すなど案内も強化していた。

日立の担当者は、ドレスコードフリーの取り組みについて「心理的な安全性や多様性、自分らしさを表現するひとつの手段として効果があると感じている」と説明する。定量的に効果を測っているわけではないが、新入社員から「自由な服装で来たかったのでよかった」といったポジティブな声もあったという。

同時に、「スーツを着たい人もおり、それを禁止するものではない」とも強調する。日立としては、ドレスコードフリーはスーツ文化の否定ではなく、選択肢を広げることで多様性を重視する姿勢を示し、個性を尊重するマインドの醸成も狙った取り組みでもある。

担当者は、「自分らしい服装で」という考え方が少しずつ理解されてきているのではないかとみている。