【後期高齢者医療制度】75歳以上の医療費、窓口負担割合が《2割になる人》年金収入+その他の合計所得の基準はいくら?
- 【年代別でチェック】シニアの1人当たり医療費はどれくらいかかる?
- 【60歳以上】1人あたり医療費計の推移をチェック
- シニア1世帯あたりの「所得額」は平均でどのくらい?
- 【内訳を見る】高齢者世帯の「平均所得金額」は?
- シニアが原則加入対象の「後期高齢者医療制度」ってどんな制度?
- 75歳以上シニアの医療費の自己負担割合は「1割」「2割」「3割」のいずれか
- 【昨年で終了】2025年9月末までは「2割負担」の人への配慮措置があった
- 【後期高齢者医療制度】窓口負担が2割の人の「年金収入+その他の合計所得」を見る
- 【フローチャート図】医療費負担が2割になる人の「年金収入+その他の合計所得」を確認しよう
- 【医療費の自己負担額を支払うことが難しい場合】「一部負担金の減額・免除等」も
- 世帯状況に合わせた判定基準を知り、賢く家計を管理しましょう
【医療費の自己負担額を支払うことが難しい場合】「一部負担金の減額・免除等」も《東京都の例》

【後期高齢者医療制度】75歳以上の医療費、窓口負担割合が《2割になる人》年金収入+その他の合計所得の基準はいくら?
桜が満開を迎え、春爛漫の心地よい季節となりました。
2026年度という新しい1年のスタートに合わせ、気持ちを新たに家計の「固定費」の見直しを始めている方も多いのではないでしょうか。
特に75歳以上の「後期高齢者」がいる世帯にとって、日々の通院や薬代といった医療費は生活設計に直結する項目です。
新年度を迎えた4月は、昨年度の通院状況を振り返りつつ、今年度の医療費負担がどう変わるのかを再確認するのによいタイミングと言えます。
現在、後期高齢者の窓口負担は原則1割ですが、一定以上の所得がある方は「2割負担」の対象となります。
この判定基準は、単に受け取っている年金額だけでなく、不動産所得や株の配当といった「その他の合計所得」との合算で決まります。
さらに、単身世帯か複数世帯かによっても、判定のボーダーラインは大きく異なります。
昨秋(2025年秋)には、急激な負担増を抑えるための時限的な「配慮措置」が終了したこともあり、以前よりも窓口での支払いに「重み」を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、後期高齢者医療制度において「2割負担」の対象となる具体的な所得の基準を分かりやすく整理しました。
ご自身やご家族がどの区分に該当するのか、今年度のライフプランを立てるためのチェックリストとしてぜひご活用ください。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【年代別でチェック】シニアの1人当たり医療費はどれくらいかかる?

年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)
シニア世代の医療費は、年齢が上がるにつれて増加していく傾向があります。
厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度・医療保険制度分)」をもとに、60歳以上の各年代における1人当たりの医療費総額と、診療費のうち「入院+食事・生活療養」が占める割合を確認してみましょう。
【60歳以上】1人あたり医療費計の推移をチェック
・60~64歳:38万円
・65~69歳:48万1000円
・70~74歳:61万6000円
・75~79歳:77万3000円
・80~84歳:92万2000円
・85~89歳:107万1000円
・90~94歳:117万9000円
・95~99歳:125万8000円
・100歳以上:123万2000円
医療費の総額は、60歳代前半で約38万円ですが、90歳代後半になると125万円を超え、およそ3.3倍に膨らみます。
この増加の主な要因となっているのが、「入院+食事・生活療養」に伴う支出です。
70歳代までは外来中心の医療が多いものの、80歳を超えると医療費の半分以上を入院関連の費用が占め、90歳代ではその割合が7割近くに達します。
高額療養費制度を利用した場合でも、月ごとの自己負担上限に加え、食事代や差額ベッド代(全額自己負担)などの支払いが続く点には注意が必要です。
また、介護にかかる費用については、生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、一時的な費用(※1)の合計が47万円、毎月の支出は平均で9万円(※2)とされています。
実際の負担額は、要介護度や介護を受ける場所によって大きく異なる場合があります。
厚生労働省「令和6年簡易生命表」によると、平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳となっています。
長寿化が進む中でのライフプランには、入院の長期化や介護に必要となる費用、さらにその間の生活を支えるための備えといった視点が欠かせないといえるでしょう。
※1:住宅改造や介護用ベッドの購入費など
※2:いずれも公的介護保険サービスの自己負担費用を含む
シニア1世帯あたりの「所得額」は平均でどのくらい?
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」をもとに、高齢者世帯(※)における「1世帯あたりの平均所得」を見てみましょう。
この調査によれば、高齢者世帯の平均的な年間総所得は314万8000円で、月額に換算すると約26万円となります。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

高齢者の年間所得の平均
【内訳を見る】高齢者世帯の「平均所得金額」は?
総所得:314万8000円 (100.0%)
【内訳】(カッコ内は総所得に占める割合)
・稼働所得:79万7000円(25.3%)
・公的年金・恩給:200万円(63.5%)
・財産所得:14万4000円 (4.6%)
・公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
・仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:18万9000円(6.0%)
※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む
内訳をみると、全体の約3分の2を占めているのが月額約16万6000円の「公的年金」で、次いで多いのが約2割を占める月額約5万5000円の「雇用者所得」です。
これらの結果から、高齢者世帯の生活は公的年金を基盤としながら、就労による収入がそれを補う形で成り立っていることが読み取れます。
続いて、「後期高齢者医療制度」の対象となる人や保険料の仕組みについて確認していきましょう。
シニアが原則加入対象の「後期高齢者医療制度」ってどんな制度?
後期高齢者医療制度は、公的医療保険の一つで、原則として75歳以上の人、または65歳以上74歳以下で一定の障害認定を受けた人が対象となります。

後期高齢者医療制度とは
働いているかどうかに関係なく、75歳になると、それまで加入していた国民健康保険や被用者保険、共済組合などから自動的にこの制度へ移る仕組みです。
保険料は、加入者全員が同じ額を負担する「均等割」と、所得に応じて決まる「所得割」を合計して算出されます。
また、保険料の具体的な水準は、住んでいる都道府県ごとに設定されています。
75歳以上シニアの医療費の自己負担割合は「1割」「2割」「3割」のいずれか
後期高齢者医療制度では、所得水準に応じて医療費の自己負担割合が「1割」「2割」「3割」のいずれかに分けられています。
一般的な所得の方は1割負担となり、現役世代並みの所得がある場合は3割負担となります。
さらに、2022年10月1日以降は、一定以上の所得がある人について自己負担割合が2割に引き上げられました。

後期高齢者医療制度の窓口負担割合
厚生労働省の試算によると、後期高齢者医療制度の加入者のうち、2割負担に該当する人は約370万人で、全体の約2割を占めるとされています。
また、2割負担となる人に対して設けられていた配慮措置は、2025年9月末で終了しています。
【昨年で終了】2025年9月末までは「2割負担」の人への配慮措置があった
後期高齢者医療制度の「2割負担」は、2022年10月に新設された仕組みです。
この対象者には、2022年10月1日から2025年9月30日までの間、負担の急増を抑えるための配慮措置が設けられていました。

「2割負担」2025年9月30日まで配慮措置
現在は配慮措置の適用期間が終了しているため、1割負担から2割負担へ移行した人にとっては、医療費の自己負担が実質的に増加している状況となっています。
次章では、「2割負担」に該当する人の年金収入とその他の所得を合計した金額が、実際にどの程度の水準なのかを確認していきましょう。
【後期高齢者医療制度】窓口負担が2割の人の「年金収入+その他の合計所得」を見る
後期高齢者医療制度の加入者のうち、次の(1)と(2)の両方に該当する場合、医療費の自己負担割合は「2割」となります。
・1:同じ世帯の被保険者の中に課税所得が28万円以上の方がいるとき。
・2:同じ世帯の被保険者の「年金収入(※1)」+「その他の合計所得金額(※2)」の合計額が、被保険者が世帯に1人の場合は200万円以上、世帯に2人以上の場合は合計320万円以上であるとき。
※1「年金収入」は、公的年金控除等を差し引く前の金額です。遺族年金や障害年金は含みません。
※2「その他の合計所得金額」は、事業収入や給与収入等から必要経費や給与所得控除等を差し引いた後の金額です。
参考として、ご自身やご家族が2割負担の対象に当てはまるかどうかを、以下のフローチャートで確認してみましょう。
【フローチャート図】医療費負担が2割になる人の「年金収入+その他の合計所得」を確認しよう
75歳以上の人については、世帯の課税所得や年金収入などをもとに、医療費の自己負担割合が2割となるかどうかが判断されます。
具体的には、「課税所得が28万円以上」であることに加え、「年金収入とその他の所得を合計した額」が定められた基準を超える場合、医療機関の窓口での負担割合は2割となります。
・単身世帯:「年金収入+その他の合計所得」が200万円以上
・複数世帯:「年金収入+その他の合計所得」が合計320万円以上
どの負担区分に該当するかを詳しく確認したい場合は、厚生労働省が公表しているフローチャートを参考にするとよいでしょう。

【後期高齢者医療制度】「窓口負担割合」フローチャート
【医療費の自己負担額を支払うことが難しい場合】「一部負担金の減額・免除等」も
なかには、さまざまな事情により医療費の自己負担額を支払うことが難しいケースもあるでしょう。
都道府県や市区町村が定める一定の要件を満たすことで、自己負担金の免除や減額などの支援を受けられる可能性があります。
東京都では、以下のような要件が設けられています。

東京都後期高齢者医療広域連合「一部負担金の減額・免除等」要件
・被保険者または世帯主が、震災、風水害、火災その他これらに類する災害により住宅、家財その他の財産について著しい損害を受けたとき
・世帯主または主たる生計維持者が、干ばつ、冷害、凍霜害等による農作物の不作、不良その他のこれらに類する理由により収入が著しく減少したとき
・世帯主または主たる生計維持者が、事業または業務の休廃止、失業等により収入が著しく減少したとき
・世帯主または主たる生計維持者が、重篤な疫病または負傷により死亡し、心身に重大な障害を受け、または91日以上の入院をしたとき(被保険者のみの世帯である場合を除く)
なお、減額や免除が適用される期間は、申請日から最長で6カ月となっていますが、実際の適用期間は支払いが困難な状況の度合いに応じて個別に判断されるしくみです。
手続きは、居住地の市区町村の窓口で行います。申請理由や世帯の状況によって必要となる書類は異なるため、事前に窓口へ確認しておくとよいでしょう。
世帯状況に合わせた判定基準を知り、賢く家計を管理しましょう
今回は、後期高齢者医療制度について詳しく解説してきました。
医療費が2割負担になる条件は次の2点です。
・住民税の課税所得が28万円以上あること
・年金収入とその他の所得の合計額が「単身なら200万円以上」「複数世帯なら合計320万円以上」であること
ご自身が条件に該当するかどうかを確認したうえで、老後に必要になる医療費への備えを検討しておくことが大切です。
※金額等は執筆時点での情報に基づいています。
参考資料
・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
・政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」
・厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
・東京都後期高齢者医療広域連合「一部負担金の減額・免除等」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
・厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費」
・生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
・厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
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