「富が続く人」と「富が離れていく人」お金の使い道の明確な違い【富裕層の領収書1000万枚見た税理士が教える】

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資産を増やし続ける人は、稼ぎ方よりも「支出」に大きな特徴があるという。超富裕層の領収書を30年にわたって見続けてきた筆者が、共通する「8つのストック支出」を明かす。※本稿は、富裕層専門税理士の森田貴子『億万長者になるお金の使い方 富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

お金を守る力がないと

いくら稼いでも富を失う

 これまで私は、30年にわたり申告書や領収書を通じて、純資産1億円を超える富裕層から100億円を超える超富裕層まで、彼らのリアルなお金の使い方を見てきました。

 お金持ちの中には、常にお金の不安を抱えている人もいます。稼いでいるけれど幸せそうには見えない――そんな姿も、何度も目にしてきました。本当の意味で「豊か」な人はそう多くはないのです。

 お客様の中には、生活が立ち行かなくなり、質屋に通うようになった起業家もいました。新しい領域で20年売上を上げ続けてきたわけですから、ビジネスの才覚はあるはずです。わがままや自分勝手なことを言っても不思議と人を惹き付け、いつの間にか周囲を巻き込んで目標を達成してしまう「人たらし」な一面もあり、起業家に向いていたと言っていいでしょう。

 しかし、その方は高級品をローンで買い、税金の支払いに追われ、自社の資金繰りも破綻しました。ビジネスの才覚があるだけでは、富は持続しないのです。

 では、「富が続く人」と「富が離れていく人」では、どのような違いがあるのでしょう。

 富裕層は、お金の4つのスキルである「稼ぐ・貯める・守る・使う」のうち、お金を稼ぐスキルがずば抜けて高いため成功しています。

 しかし、お金を稼ぐ能力があるからといって、お金を貯める能力、お金を守る能力、お金を使う能力がバランスよく備わっているわけではありません。当然ですが、稼いだお金よりも使うお金が多ければ毎月の収支はマイナスになります。

 これらの4つのスキルのうちひとつでもおろそかにすると、長くお金持ちでいることはできません。手に入れたものを失う悲しみは、一度も手に入れられなかったことよりもはるかに大きいものです。お金を稼ぐ以上に、お金持ちを続けることの難しさは、お客様から学びました。

 そして、税金に代表される合法的な法律のリテラシーがなければ「お金を守る」ことはできません。

本当の富裕層は無駄なことに

びた一文払わない

 中でも印象深いのは、「富が続く人」は例外なく、「お金をどう使うか」に独自の哲学を持っているということです。

 タイパやコスパといった目先の効率を「追いすぎる」ことは、本物の富裕層にはあまり見られません。だからといって、なんとなく無駄遣いをするわけでもないのです。

「死に金」という表現は少し強いかもしれませんが、支出を見ていると、「何の意味ももたらさないお金の使い方」には1円たりとも払いたくないという強い意志を感じることもしばしばです。

「このお金の使い方は、いったい何を生み出し、何を育てるのか?」彼らは、そう問いながらお金を使っているのです。

 何が正解で、何が間違いというわけではありません。けれど、同じように成功した人たちでも、その「使い方」の違いが、やがて大きな差となって表れる、そんな分かれ道を私は何度も目にしてきました。

お金の使い方を知らないと

大金を手にしても不幸になるだけ

 近年では、暗号資産などで突然大金を得た「シン富裕層」も少なくありません。けれど、その富をどう扱えばよいのかわからず、不安にかられる人も多いのです。

 実際、ある若者が暗号資産で億単位の利益を得た直後、「怖くて1人で外を歩けない」とボディーガードを雇うようになり、相談に来られたことがありました。

 今まで見たことがないほどの大きなお金が手に入った。でも、「どう使っていいかわからない」「申告の仕方もわからない」「人間関係が変わってしまった」と戸惑いを口にされていました。

 そして最後に、「お金のことも含め、世の中のことを学ぶために、大学に行こうと思います」と静かに語られたのです。

 お金の使い方を知らなければ、むしろ心の不安や混乱を招いてしまうことすらあるのです。

 また、現行税制で暗号資産の売却益は原則として雑所得に分類され、最高55%(所得税45%+住民税10%)の税率で課税されます。宝くじの当せん金と違い、税負担の重さも無視できません。

 さらに、ギャンブル的な支出には中毒性があります。たばこ・ギャンブル・アルコールはどれも依存性が高く、調査によればスモーカーやギャンブラーは住宅ローン以外の負債を抱える割合が高いというデータもあります。

 私が過去に出会ったある方は、ギャンブルにのめり込み、高級時計を何本もローンで購入し、多額の租税負債を抱えて破綻寸前という状況にありました。さらに、わかっていてもやめられない中毒性のある支出は健康も害するなど負の連鎖につながります。

 大金を手にしたときこそ、その人の支出哲学が問われます。使い方を知らないまま築かれた富は、心を不安にし、かえって人生の自由を奪うこともあります。だからこそ、富裕層は「お金があること」よりも、「お金とどう向き合うか」「お金の使い方」を大切にしているのです。

富が離れていく人と

富が続く人の決定的な違い

 では、「富が続く人」と「富が離れていく人」とで、「お金の使い方」にどのような違いがあるのでしょうか。

 下の図は、私が見てきた「富が続く人の財産シート」を簡略化したものです。

同書より転載

 これまで1000万枚を超える領収書を見てきて断言できるのは、「富が続く人」と「富が離れていく人」は、財産シートが明確に違うということです。

 その大きな違いはたったひとつ。「富が続く人」は無形資産が非常に多く、「富が離れていく人」は無形資産が極端に少ないのです。

 私たちはつい「どれだけ稼いだか」「いくら持っているか」で経済的な成功を測りがちです。肩書や職業、銀行口座の残高、資産の総額といった「見える指標」で人を判断してしまうことは否めません。

 でもそれは、私たちが陥ってしまう資本主義的な「わかりやすい成功像」にすぎないのです。

 表面的なわかりやすい豊かさは、今その瞬間、物質的に豊かである証明にはなっても、富を続けさせる力があることにはなりません。

 目には見えない資産――スキルや知識、信用、健康、時間など――そういったものにこそ、長く続く豊かさの鍵が隠されているのです。

どうせお金を使うなら

自分の糧となるものに

 本稿では、このモノとカネ以外の無形資産を「見えない自分資産」と呼んでいます。そして、「見えない自分資産」を生み出すのが、「ストック支出」というお金の使い方です。

 お金を使うという点では、どんな支出も同じように見えますが、支出は「フロー支出」と「ストック支出」に分けることができます。

 財布からお金が出ていくという点では、どんなお金も同じように見えます。けれど、その使い方が「ただ流れていくだけのもの」になるのか、それとも「あとからじわじわと自分を支えてくれるもの」になるのか。この違いは、思っている以上に大きいのです。

「フロー支出」とは、その場限りで流れていくもの。今日の出費が明日には価値を失って自分の中に何も残らない、そんな支出です。

 一方で「ストック支出」とは、じわじわと自分に蓄積されていくもの。その価値はむしろ時間が経ってから効いてくる、自分の糧になる支出のことを指します。

 大事なのは、それが高かったか安かったかではなく、「何のために使ったか」。価格よりも、「どんな自分を育てるお金だったのか」という問いを軸にすれば、お金は確かに「見えない自分資産」に変わっていきます。

 この考え方が、これからの時代にはずっと大切になってくるはずです。

自己投資につながる

8つのストック支出

 富裕層の支出は、派手で華やかな消費ばかりに見えるかもしれません。けれど、その本質はむしろ、静かに続けている「ストック支出」にあります。

 日々の暮らしの中で体験し、学び、人と出会い、健康を守る。そんな積み重ねの中で育っていくのが、「見えない自分資産」です。それは一朝一夕に築かれるものではありませんが、日々のお金の使い方に意識を向けることで、確実に積み上がっていく資産です。

 目には見えなくても、人生の選択肢や可能性を広げ、将来のあなたを支えてくれる「本当の財産」になるのです。

 何にお金を使うのか?

 それは、その人が何に価値を置いて生きているかを如実に表します。長年にわたりお客様と関わる中で、ある共通のパターンに気づきました。富が持続している富裕層のお金の使い方は、大きく次のような「8つのストック支出」に分かれているのです

(1)価値ある体験(2)継続的な学び(3)体の健康(4)心の健康(5)家族(6)つながり(7)社会貢献(8)投資

同書より転載

 この8つのストック支出のすべてが「見えない資産」につながります。

『 億万長者になるお金の使い方 富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える 』(森田貴子、SBクリエイティブ)

 8つの領域のうち何をより重視するかは、人によって、また、年齢やステージにより異なりますが、私が見てきた限り、どれかが「ゼロ」の人はいません。特に本稿でお手本としたい富裕層は、この8つすべてにきちんとお金を使っているという点が印象的です。

 豊かであり続けている人ほど、この8つのどこかに必ず偏愛を持っていたりします。それは目立つ支出ではなく、静かに積み重ねられている支出です。

 そこに、自分の「好きなこと」「得意なこと」「関心があること」が表れます。日々の支出にどんな傾向があるかを見つめ直すことで、自分が何を大切にしているのかが、ふと浮かび上がってくるのです。

 まず、単なる消費ではなく、長い目で見て自分の糧となる「ストック支出」をする。こうした「お金の使い方」ならば真似できそうではありませんか。