ジープ最小SUVシリーズのハイブリッドモデル「アベンジャー4xeハイブリッド」国内発売開始、BEVからHEVへ変わる潮流
アメリカの自動車ブランド「ジープ(Jeep)」のラインナップで、最もコンパクトなSUVモデルであり、初の4輪駆動ハイブリッド機構を採用した「アベンジャー4xeハイブリッド(Avenger 4xe Hybrid)」が、2026年3月5日より国内販売を開始した。
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日本では、24年9月に導入された100%電気で走るBEVを先行導入。それに続く第2弾となるICE(内燃機関)仕様が当モデルだ。都市部でも扱いやすいコンパクトな車体に、1.2L・3気筒ターボエンジンと48Vマイルドハイブリッド・システムをマッチング。走行状況に応じ、モーターのみで走るEV走行を可能とするほか、ジープならではの高い4輪駆動性能も実現。市街地からオフロードまで、幅広いシーンで軽快かつ快適な走りを楽しめるという。
当記事では、そんなアベンジャー4xeハイブリッドを、国内でジープ・ブランドを扱うステランティス・ジャパン主催の発表会で取材。小さいながら、ジープらしい魅力も持つ新型の特徴について紹介する。
コンパクトSUV「アベンジャー」とは

ジープ「アベンジャー4xeハイブリッド」。価格は499万円~(写真:Stellantisジャパン)
アベンジャーは、ジープ・ブランドが新たに展開するコンパクトSUVのシリーズだ。生産はポーランドのティヒ工場が担当。主に欧州で展開しており、全長4000mmクラスのボディサイズは小さすぎるようで、本拠地のアメリカでは未導入となっている。
日本には、前述のとおり、24年9月にBEVモデルを初導入。4輪駆動ハイブリッド車である4xeハイブリッドは、国内に投入した第2弾モデルとなる。

100台限定で販売されるアベンジャー4xeハイブリッドのローンチ・エディション。価格は509万円(写真:三木 宏章)
なお、欧州では、ほかにも2輪駆動のハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、ガソリン車なども用意。ステランティス・ジャパンに4xeハイブリッド日本導入の理由を聞くと、まず、「日本でジープ・ブランドは、オフロードや4輪駆動車のイメージが強い」ためと説明。続けて、先行導入したBEVモデルは2輪駆動しか選べないため、ユーザーから「4輪駆動のアベンジャーがほしい」といった要望が多かったためだという。
エクステリア&インテリアについて

アベンジャー4xeハイブリッドのリアビュー(写真:三木 宏章)
そんな新型モデルのコンセプトは、日常で扱いやすいサイズを持つ「都市型コンパクトSUV」。ボディサイズは、全長4120mm×全幅1775mm×全高1600mm。国産車であれば、たとえば、トヨタ「ヤリス クロス」が全長4180~4200mm×全幅1765mm×全高1590mmだから、車格的にはかなり近い。
外観には、フロントの7スロットグリルや台形ホイールアーチなど、各部にジープらしさを象徴するデザインを採用。専用デザインのフロントバンパーなどがオフロード風味も加味している。加えて、フロントフェイスの下部には、傷が目立ちにくいモールドインカラー素材を採用する。
そのほかにもルーフレールやリア牽引フック、全天候対応のオールシーズンタイヤなど、アウトドアで高い機能性を発揮するアイテムも標準装備。これらにより、4xeハイブリッドは市街地からアウトドアまで、幅広いシーンにシームレスに対応するモデルに仕上がっていることがわかる。

アベンジャー4xeハイブリッドのインテリア(写真:三木 宏章)
インテリアでは、ステアリング奥のメーターに、10.25インチ・マルチビューディスプレイを採用。センターモニターには、10.25インチのタッチパネルモニターを装備し、いずれも優れた操作性と見やすさを両立させている。
また、専用の「ウォッシャブルシート」も採用。雨天時やアウトドアを楽しんだあとの泥はね、水濡れもすぐに拭き取れる撥水加工を施したファブリックシートだ。

アベンジャー4xeハイブリッドの後部座席(写真:三木 宏章)
なお、当モデルの乗車定員は5名だが、後席は比較的足元スペースが狭い。なんとか大人3名が座ることは可能だが、かなり窮屈になりそうだ。もし、長距離移動する場合には、後席は大人2名までにしたほうが無難であることが予想できる。
一方、運転席からの視界は、水平基調のインストルメントパネルなどにより、前方が見やすく爽快だ。ボンネット先端も見やすいため、狭い路地などでの見切りも良好なことが期待できる。
1.2Lターボ+48Vハイブリッドのパワートレイン

ターボチャージャー付きの直列3気筒エンジン。最高出力は100kW(136PS)/ 5500rpm、最大トルクは230N・m(23.5kgm )/ 1750rpm。さらにフロントには最高出力15.6kW(21PS)/ 4264rpm・最大トルク51N・m(5.2kgm) / 750-2499rpm、リヤには最高出力21.0kW(29PS) / 3000rpm、最大トルク89N・m(9.1kgm) / 500-2000rpmのモーターを備える(写真:Stellantisジャパン)
パワートレインには、1.2L・直列3気筒ターボエンジンと、始動用と前輪駆動用のモーター2基を装備するほか、後輪駆動用モーターも組み合わせた48VハイブリッドAWD(=All Wheel Drive)システムを搭載する。ジープとして初の採用となるシステムだ。
主な特徴は、マイルドハイブリッド仕様ながら、発進から約30km/hまで電気モーターによるEV走行が可能なことだろう。一般的に、国産のマイルドハイブリッド車では、発進や加速時にエンジンの出力をアシストする機能しかないことが多い。そのぶん、12V規格の小型モーターを使えるので、車体が小さく、大がかりなシステムを搭載できないコンパクトカーなどに採用される例がほとんどだ。

アベンジャー4xeハイブリッドの荷室(写真:三木 宏章)
一方、このモデルでは、より高い電圧を供給できることで、高出力なモーターにも対応する48Vシステムを採用。さらに前後輪にモーターを搭載するなど、電動モーターの活躍シーンを拡充していることがポイントだ。
ステランティス・ジャパンによれば、「欧州仕様の実走行評価では、市街地走行時間の50%以上をエンジン停止状態で走行した実績を持つ」という。なお、このモデルでは、ほかにも信号停車などの減速時にスマートにエネルギー回収を行う回生ブレーキシステムも採用。これらシステムの採用により、燃費性能は19.0km/L(WLTCモード)を実現する。
4輪駆動システムについて

センターコンソールのドライブモードセレクター(写真:三木 宏章)
4輪駆動性能は、電動モーターと走行モードに応じた制御を組み合わせた電動AWDシステムを採用。速度域に応じ、前後の駆動力配分を自動で最適化する。
そして、その効果を最も発揮するのが、センターコンソールにあるドライブモードセレクターを「オート」に設定したときだ。0~約30km/hでは、前述のとおり、100%電動モーターによるEV走行になり、この際はFWD(前輪駆動)で走行。その後、速度が上がり約30~90km/hの範囲では、オンデマンドAWD機能が発動。通常走行は前輪駆動で燃費を優先、悪路など必要な時のみ後輪に駆動力を付与する。さらに速度が上がり約90km/h以上となると、効率を優先した前輪駆動へ再び切り替わり、高速走行時も安定した走りを実現する。

アベンジャー4xeハイブリッドのサイドビュー(写真:三木 宏章)
なお、ドライブモードは、ほかにも「スポーツ」「スノー」「サンド/マッド」を用意し、全4モードから選択可能だ。とくに雪道などに対応するスノーや、悪路に対応するサンド/マッドを選んだ場合、0~約30km/hでは常時AWD(4輪駆動)に固定。1900Nm相当という極太なホイールトルクを発生する後輪モーターと相まって、ぬかるみ・雪道・砂地などの滑りやすい路面でも、極めて高い走破性を実現するという。
便利機能・先進運転支援システム

アベンジャー4xeハイブリッドのシート(写真:三木 宏章)
さらに、このモデルでは、先進運転支援システムも充実。たとえば、高速道路などで、車間距離を保ちながら先行車を自動で追従する「アダプティブ・クルーズコントロール」には、前方の車両が停止すると自車も停止する制御機能も装備する。また、アダプティブ・クルーズコントロールを作動させて走行しているときに機能する「レーンポジショニングアシスト」も搭載。ドライバーが任意に設定した車線内の位置を維持しながら走行する運転支援システムだ。
ほかにも、走行中に車両、自転車および歩行者を検知し、衝突回避をアシストする「衝突被害軽減ブレーキ」、斜め後ろに存在する車両を検知し、その方向のドアミラーにマークを表示する「ブラインドスポットモニター」なども採用。加えて、リアバンパー付近に足を入れると、テールゲートが自動で開く「ハンズフリーパワーリフトゲート」も装備。荷物で手がふさがっている状態で、荷台にアクセスしたいときに便利な機能だ。

アベンジャー4xeハイブリッドのタイヤ&ホイール(写真:三木 宏章)
アベンジャー4xeハイブリッドの価格(税込み)は、ベーシック仕様で499万円。サンルーフと18インチ・アルミホイールを装備したスタイルパック仕様が517万円だ。また、同モデルの発売を記念し、ボディカラーに白色の「スノー」を採用するなど特別装備をあしらった100台限定のローンチ・エディションは509万円となっている。
最も安い仕様で500万円を切るというのは、円安のご時世に、しかも輸入車では、かなり頑張った値付けではないだろうか。販売するステランティス・ジャパンでは、「比較的手が届きやすい価格設定ですから、ぜひ若い世代の方にも乗っていただきたい」と語る。
26年に85周年を迎えるジープ・ブランドは、日本でもシニア層など昔からのファンも多い。アベンジャー4xeハイブリッドは、同ブランドの国内シェアをさらに広げるためにも、若い世代も手が出しやすい価格にしたようだ。
平野歩夢選手をブランドアンバサダーに若者を狙う

新型 Jeep(R) Avenger 4xe Hybrid プレス発表会でブランドアンバサダーとして登壇した平野歩夢選手(写真:三木 宏章)
ちなみに、このモデルの発売を開始した26年3月5日には、世界で活躍するスノーボーダー兼スケートボーダーの平野歩夢選手が、ジープのブランドアンバサダーに就任したことも発表された。世界で活躍し、若い世代にも人気の高い平野選手の起用がジープ、とくに若者にも訴求したいアベンジャー4xeハイブリッドのイメージや販売面に、どんな影響を与えるのかも気になるところだ。
参考までに、アベンジャーBEVモデルの価格(税込み)は565万円。こちらも100%電動の輸入車としては比較的リーズナブルだ。だが、新車販売台数は、ステランティス・ジャパンによると「発売を開始した24年9月26日以降、25年12月末までの総計で750台」だという。
BEVと比べ、航続距離の面などに不安が少ないのが、ハイブリッド仕様である4xeハイブリッドの強み。国産、海外製を問わず、日本でも熾烈なシェア争いを展開するコンパクトSUVのジャンルで、このモデルが市場にどのようなインパクトを与えるのかも今後注目だ。