70歳代・二人暮らしのリアルな貯蓄額は? 年金の平均月額と生活費から考える、これからの備え

70歳代・二人世帯の貯蓄事情|平均と中央値から見る実態, 厚生年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 厚生年金の平均支給月額, 厚生年金の受給額分布:月額階級別の人数, 国民年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 国民年金の平均支給月額, 国民年金の受給額分布:月額階級別の人数, 65歳以上の夫婦無職世帯における老後の生活費, 「年金だけではゆとりがない」と感じるシニア世帯の実情, 約3割が直面する「年金だけでは生活費が不足する」現実

70歳代・二人暮らしのリアルな貯蓄額は?年金の平均月額と生活費から考える、これからの備え

春の訪れを感じる季節となり、新年度を前にご自身の将来について改めて考える方も多いのではないでしょうか。

特に60歳代や70歳代の方々にとって、老後の生活資金は大きな関心事です。

「同世代の人はどれくらい貯蓄があるのだろう」「今の年金だけでこの先も暮らしていけるのか」といった疑問や不安は尽きません。

この記事では、公的な最新データに基づき、70歳代・二人以上世帯の平均的な貯蓄額、年金の受給額、そして1カ月の家計収支を詳しく解説します。

平均値だけでなく、より実態に近い中央値も確認することで、ご自身の状況と照らし合わせ、今後の生活設計を考えるきっかけにしていただければ幸いです。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

70歳代・二人世帯の貯蓄事情|平均と中央値から見る実態

J-FLEC(金融経済教育推進機構)による「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」から、「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」について、グラフをもとに確認していきます。

※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代・二人世帯の貯蓄事情|平均と中央値から見る実態, 厚生年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 厚生年金の平均支給月額, 厚生年金の受給額分布:月額階級別の人数, 国民年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 国民年金の平均支給月額, 国民年金の受給額分布:月額階級別の人数, 65歳以上の夫婦無職世帯における老後の生活費, 「年金だけではゆとりがない」と感じるシニア世帯の実情, 約3割が直面する「年金だけでは生活費が不足する」現実

70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)

「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は2416万円となりました。ただし、この数値は一部の富裕層が大きく押し上げている側面があり、実態をより反映しているとされる中央値は1178万円となっています。

世帯ごとの貯蓄額分布は以下のとおりです。

・金融資産非保有:10.9%

・100万円未満:4.5%

・100~200万円未満:5.1%

・200~300万円未満:3.7%

・300~400万円未満:3.9%

・400~500万円未満:2.9%

・500~700万円未満:6.4%

・700~1000万円未満:6.7%

・1000~1500万円未満:11.1%

・1500~2000万円未満:6.7%

・2000~3000万円未満:12.3%

・3000万円以上:25.2%

・無回答:0.6%

「貯蓄0円」の世帯が全体の10.9%を占める一方で、3000万円以上の資産を有する世帯は25.2%となっています。この結果から、70歳代・二人以上世帯の間では、資産状況に大きな差があることがわかります。

そのほか、100万円未満が4.5%、100~200万円未満が5.1%、200~300万円未満が3.7%と、貯蓄水準が低い層も一定数見られます。反対に、1000~1500万円未満が11.1%、1500~2000万円未満が6.7%、2000~3000万円未満が12.3%と、比較的余裕のある世帯も存在します。

老後の貯蓄額は、現役時代の働き方や退職金、さらには健康状態などによって大きく左右されます。年金についても、現役時代の働き方や加入状況によって受給額は異なります。

貯蓄が十分でない場合、年金収入だけで生活するのが難しいこともあるでしょう。老後を安心して過ごすためには、世帯ごとの事情に合わせた生活設計が欠かせません。

元気なうちは働く、不動産や投資による収入を考えるなど、早めの対策が将来の安心につながります。

厚生年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金の平均年金月額を確認しましょう。

70歳代・二人世帯の貯蓄事情|平均と中央値から見る実態, 厚生年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 厚生年金の平均支給月額, 厚生年金の受給額分布:月額階級別の人数, 国民年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 国民年金の平均支給月額, 国民年金の受給額分布:月額階級別の人数, 65歳以上の夫婦無職世帯における老後の生活費, 「年金だけではゆとりがない」と感じるシニア世帯の実情, 約3割が直面する「年金だけでは生活費が不足する」現実

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されていますが、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下、記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。

※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。

厚生年金の平均支給月額

・〈全体〉平均年金月額:15万289円

・〈男性〉平均年金月額:16万9967円

・〈女性〉平均年金月額:11万1413円

厚生年金の全体の平均月額は15万289円です。男女別で見ると、男性は約17万円、女性は約11万円と、5万円以上の差があるのが現状です。

厚生年金の受給額分布:月額階級別の人数

・~1万円:4万3399人

・1万円以上~2万円未満:1万4137人

・2万円以上~3万円未満:3万5397人

・3万円以上~4万円未満:6万8210人

・4万円以上~5万円未満:7万6692人

・5万円以上~6万円未満:10万8447人

・6万円以上~7万円未満:31万5106人

・7万円以上~8万円未満:57万8950人

・8万円以上~9万円未満:80万2179人

・9万円以上~10万円未満:101万1457人

・10万円以上~11万円未満:111万2828人

・11万円以上~12万円未満:107万1485人

・12万円以上~13万円未満:97万9155人

・13万円以上~14万円未満:92万3506人

・14万円以上~15万円未満:92万9264人

・15万円以上~16万円未満:96万5035人

・16万円以上~17万円未満:100万1322人

・17万円以上~18万円未満:103万1951人

・18万円以上~19万円未満:102万6888人

・19万円以上~20万円未満:96万2615人

・20万円以上~21万円未満:85万3591人

・21万円以上~22万円未満:70万4633人

・22万円以上~23万円未満:52万3958人

・23万円以上~24万円未満:35万4人

・24万円以上~25万円未満:23万211人

・25万円以上~26万円未満:15万796人

・26万円以上~27万円未満:9万4667人

・27万円以上~28万円未満:5万5083人

・28万円以上~29万円未満:3万289人

・29万円以上~30万円未満:1万5158人

・30万円以上~:1万9283人

月額階級別の受給権者数を見ると、一番人数が多い「ボリュームゾーン」は、「10万円以上~11万円未満」の層で111万2828人です。

国民年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説

厚生年金の加入期間がなかった人が受け取る、国民年金(老齢基礎年金)の月額について見ていきます。

70歳代・二人世帯の貯蓄事情|平均と中央値から見る実態, 厚生年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 厚生年金の平均支給月額, 厚生年金の受給額分布:月額階級別の人数, 国民年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 国民年金の平均支給月額, 国民年金の受給額分布:月額階級別の人数, 65歳以上の夫婦無職世帯における老後の生活費, 「年金だけではゆとりがない」と感じるシニア世帯の実情, 約3割が直面する「年金だけでは生活費が不足する」現実

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

国民年金の平均支給月額

・〈全体〉平均年金月額:5万9310円

・〈男性〉平均年金月額:6万1595円

・〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金の受給額分布:月額階級別の人数

・1万円未満:5万1828人

・1万円以上~2万円未満:21万3583人

・2万円以上~3万円未満:68万4559人

・3万円以上~4万円未満:206万1539人

・4万円以上~5万円未満:388万83人

・5万円以上~6万円未満:641万228人

・6万円以上~7万円未満:1715万5059人

・7万円以上~:299万7738人

「厚生年金の男性平均月額を受け取る夫」と「国民年金の女性平均月額を受け取る妻」の夫婦世帯の場合、二人分の年金受給額は月額22万7549円となります。

65歳以上の夫婦無職世帯における老後の生活費

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の標準的な家計収支を見ていきます。

70歳代・二人世帯の貯蓄事情|平均と中央値から見る実態, 厚生年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 厚生年金の平均支給月額, 厚生年金の受給額分布:月額階級別の人数, 国民年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 国民年金の平均支給月額, 国民年金の受給額分布:月額階級別の人数, 65歳以上の夫婦無職世帯における老後の生活費, 「年金だけではゆとりがない」と感じるシニア世帯の実情, 約3割が直面する「年金だけでは生活費が不足する」現実

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

《収入》25万4395円

■うち社会保障給付(主に年金):22万8614円

《支出》29万6829円

■うち消費支出:26万3979円

・食料:7万8964円

・住居:1万7739円

・光熱・水道:2万3540円

・家具・家事用品:1万1237円

・被服及び履物:5354円

・保健医療:1万7941円

・交通・通信:3万1325円

・教育:0円

・教養娯楽:2万6538円

・その他の消費支出:5万1341円

■うち非消費支出:3万2850円

・直接税:1万2547円

・社会保険料:2万296円

《家計収支》

・ひと月の赤字:4万2434円

・エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.9%

・平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):119.2%

この世帯の毎月の収入は25万4395円で、その多くを公的年金などの社会保障給付が占めています。

一方、毎月の支出は29万6829円。内訳を見てみると、食費や住居費、光熱費など日常的な生活にかかる消費支出が26万3979円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万2850円です。

その結果、月々の家計は4万2434円の赤字となっており、不足分は貯蓄を取り崩して補う必要があります。年間に換算すると、およそ51万円の取り崩しが必要になる計算です。

シニア世代は現役世代と比べて安定した収入を得る機会が限られるため、こうした慢性的な赤字は、長期的に貯蓄を大きく減らす要因となり得ます。

今ある貯蓄額を踏まえ、家計収支の見直しや、健康状態に応じた短時間の就労など、できる範囲で対策していくことが、老後の暮らしを安定させるカギとなります。

「年金だけではゆとりがない」と感じるシニア世帯の実情

老後は年金だけで暮らせるのか。いまの60歳代・70歳代の実情を調査結果で見ていきます。

約3割が直面する「年金だけでは生活費が不足する」現実

金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025」では、二人以上世帯のうち60歳代の33.6%、70歳代の26.5%が、「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。

70歳代・二人世帯の貯蓄事情|平均と中央値から見る実態, 厚生年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 厚生年金の平均支給月額, 厚生年金の受給額分布:月額階級別の人数, 国民年金の受給額はいくら?平均と個人差を解説, 国民年金の平均支給月額, 国民年金の受給額分布:月額階級別の人数, 65歳以上の夫婦無職世帯における老後の生活費, 「年金だけではゆとりがない」と感じるシニア世帯の実情, 約3割が直面する「年金だけでは生活費が不足する」現実

「年金にゆとりがない」と感じる理由とは?

止まらぬ物価上昇に家計が圧迫される中、健康や介護面での不安を抱えながら、切実な思いで過ごすシニア世帯の存在があります。

まとめ

今回は70歳代の貯蓄額や年金、生活費に関するデータを見てきました。

貯蓄額は平均と中央値で大きな差があり、各世帯で状況が大きく異なることがわかります。

また、平均的な無職世帯の家計では、公的年金収入だけでは支出を賄えず、毎月赤字が発生しているという実態も明らかになりました。

これらのデータはあくまで平均像であり、ご自身の状況と完全に一致するわけではありません。

大切なのは、これらのデータを参考にしつつ、ご自身の家計を正確に把握し、将来を見据えた現実的な計画を立てることです。

元気なうちは働き続ける、あるいは資産の活用方法を検討するなど、早めに情報収集を始めてみてはいかがでしょうか。

この記事が、ご自身の豊かで安心なセカンドライフを築くための一助となれば幸いです。

参考資料

・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」

・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

関連記事

平均月いくらもらえる?【65歳以上の年金受給額】夫婦・単身世帯のリアルな家計収支を解説

老齢年金とは別にもらえる!【申請しないとゼロ円のまま】60歳・65歳以上のシニア向け公的給付5制度

【住民税非課税世帯】になる65歳以上の年収目安と5つの優遇措置|「年金155万円・211万円」がボーダーライン?単身・夫婦の「年収の壁」も解説