【米国市況】S&P500が最高値、停戦維持で原油下落-円は介入後の安値

(ブルームバーグ): 5日の米株式相場は反発。米国とイランの停戦が維持されている兆候を受けて本格的な戦争への懸念が和らぎ、市場はひとまず落ち着きを取り戻した。原油価格は下落。円は対ドルで値下がりし、1ドル=158円に接近。日本の当局が円買い介入を実施して以来の安値を更新した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7259.2258.470.81%
ダウ工業株30種平均49298.25356.350.73%
ナスダック総合指数25326.13258.331.03%

  S&P500種株価指数は再び最高値を更新した。テクノロジー銘柄が買われ、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は4.2%高と、こちらも最高値を付けた。

  ホルムズ海峡での衝突やアラブ首長国連邦(UAE)へのミサイル攻撃などでイラン情勢は前日に再び緊張が高まったが、米国は本格的な戦闘再開にはつながらないとの見方を示した。

  ヘグセス米国防長官は、1カ月弱前に始まった停戦はまだ維持されていると述べた。ルビオ国務長官は、ホルムズ海峡を通過する船舶への軍事的な支援について、「防衛的な作戦」だと強調し、米国は攻撃を受けた場合にのみ応戦すると述べた。

  トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席との来週の首脳会談で、イラン戦争について協議するとし、紛争を巡る緊張を過度に強調しない姿勢を示した。

  ウルフ・リサーチのクリス・セニェック氏は「米国とイランの間で短期的に事態が収束し、ホルムズ海峡の再開を受けてエネルギー価格が下落するというのが、市場と経済に関する当社の基本シナリオだ」と話した。

  パイパー・サンドラーのクレイグ・ジョンソン氏は、「モメンタム投資家が『もっと高い水準に上がってくれ』と問う一方、中東情勢の緊張を背景に原油と利回りが上昇する中、市場はマクロ面での現実を突き付けられている」と述べた。

  ゴールドマン・サックス・グループの米国株式戦略責任者ベン・スナイダー氏は、最高値更新につながった上昇はごく少数の銘柄に支えられており、ドットコム・バブル前夜の状況を一部に想起させていると指摘した。

  ミスラフ・マテイカ氏率いるJPモルガン・チェースのストラテジストは、イラン戦争による下落から底入れした世界株の回復は非常に狭い範囲にとどまっており、わずかな好材料でも上昇の裾野が広がる可能性があるとの見方を示した。

米国株、過去最高値を更新-停戦維持で

米国債

  米国債は上昇。10年債利回りは一時4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、4.40%を付けた。原油価格の下落などが背景にある。

国債直近値前営業日比(bp)変化率  
米30年債利回り4.99%-2.4-0.48%
米10年債利回り4.42%-1.4-0.32%
米2年債利回り3.94%-1.0-0.26%
米東部時間16時38分

  この日発表された4月のISM非製造業総合景況指数は、引き続き拡大圏ながらも前月から低下した。5カ月ぶりの低水準となったが、過去3年間の平均は上回っている。仕入れ価格指数は高止まりした。

  3月の米求人件数は前月から小幅に減少した。一方、採用は持ち直し、労働市場が安定の兆しを引き続き示したことを示した。

  オールスプリングの債券担当シニアポートフォリオマネジャー、アンリエッタ・パックマン氏は、中東の石油インフラへの損害拡大などエネルギー供給の混乱が拡大すれば、利回りは足元のレンジを上抜ける可能性があると指摘。米国で人工知能(AI)主導の成長が一段と強まれば、中央銀行の対応を招き、利回りを押し上げる要因となり得ると付け加えた。

  市場は中東情勢の混乱を注視する一方、6日に米財務省が発表する四半期定例入札の詳細に注目が集まっている。

  2月の前回発表では、「少なくとも今後数四半期は」入札規模を据え置くとの見通しが改めて示されたが、投資家やストラテジストの間では、より早期の増額が必要となる可能性があるため、ガイダンスが変更されるとの見方も出ている。

外為

  外国為替市場では円が対ドルで3営業日続落。一時0.4%安の157円92銭まで売られ、4月30日に日本の当局が介入を実施して以来の安値を更新した。

  欧州時間には円が急激に下げ幅を広げ、その後一気に下げを消す場面もあるなど、荒い動きが見られた。円は他の主要通貨に対しても全面安となった。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は小幅安。

為替直近値前営業日比変化率  
ブルームバーグ・ドル指数1195.42-0.21-0.02%
ドル/円¥157.89¥0.650.41%
ユーロ/ドル$1.1694$0.00030.03%
米東部時間16時38分

  ウエストパック銀行の通貨戦略責任者、リチャード・フラヌロビッチ氏は日本当局による為替介入について、ドル・円相場が比較的レンジ内で推移している局面で実施されたとし、「水準への感応度を示している」と指摘した。

  「ただし、これまでの介入局面と同様に、ドルは対円でいずれ新たな高値を付ける可能性が高い。特に、より広いマクロ環境を踏まえればなおさらだ」と述べた。

  コモンウェルス銀行のストラテジスト、キャロル・コン氏は、日米の金利差やエネルギー価格の高止まりは対円でのドルに上昇圧力をかけ続けるとし、さらなる為替介入を強いられると指摘。

  「ドルは対円で近く、先週の下落分を取り戻す見込みだ。その結果、日本の財務省は再び介入を迫られる可能性がある」と続けた。

ドル・円の推移

原油

  原油は下落。中東で4週間続く停戦がこの日も維持され、前日にホルムズ海峡での衝突やアラブ首長国連邦(UAE)への攻撃で上昇した動きは一服した。

  北海ブレント原油は4%下落し、1バレル=110ドルを下回って取引を終えた。前日の上昇分をほぼ帳消しにした。先行き不透明感とボラティリティーの高まりを受けて様子見姿勢が強まり、建玉(未決済約定)は8月以来の低水準となった。

  イランがペルシャ湾の船舶やUAEを攻撃し、停戦が揺らぐとの懸念が広がったが、米国はイランとの本格的な戦争再開の可能性は低いとの見方を示した。ケイン米統合参謀本部議長は5日、こうした攻撃は停戦違反には当たらないとの認識を示した。

  ケイン氏は、現在ペルシャ湾では約2万2000人の船員を乗せた1550隻以上の商船が足止めされているとも述べた。

週初の原油相場は乱高下 | 北海ブレント先物は4%下落し、上昇分をほぼ消した

  CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は「前日の出来事が停戦違反と見なされる水準には達していないとの見方が、再び緊張が高まるとの懸念を和らげている」と述べた。「実際の物流が再開していない中でも、市場では短期的に安心感が広がっている」と続けた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前日比4.15ドル(3.9%)安の1バレル=102.27ドルで終了。北海ブレント先物7月限は4.57ドル(4%)下落して109.87ドルで終了した。

  金は上昇。米国とイランの停戦が維持され、本格的な戦闘再開への懸念が後退した。原油高によるインフレ加速への警戒が和らぎ、買いが優勢になった。

  金スポットは一時約1.4%上昇した。前日には、ホルムズ海峡周辺での交戦やUAEへのミサイル攻撃などでイラン情勢は再び緊張が高まった。だが、5日にはヘグセス米国防長官が約1カ月前に始まった停戦は現在も維持されているとの見方を示した。イランのアラグチ外相も米国との協議は「進展している」とXに投稿した。

  米国とイランが早期に事態を解決できれば、エネルギー価格は落ち着き、インフレ圧力も和らぐ公算が大きい。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを実施する必要性は低下する可能性がある。利回りを生まない資産である金にとって、低金利環境は追い風となる。

  アカーシュ・ドーシ氏らステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのアナリストはリポートで、「FRBが据え置きを続けても、市場のコンセンサスや当局のフォワードガイダンスが将来の利下げを示唆していれば、金には上昇余地があるとみている」と述べた。FRBのタカ派姿勢を背景に金が一段と下落した場合でも、1オンス=4000ドル前後では下支えされる可能性が高いと指摘した。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後2時50分現在、前日比39.96ドル(0.9%)高の1オンス=4561.87ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は35.20ドル(0.8%)高の4568.50ドルで取引を終えた。

欧州

  5日の欧州株は上昇。中東の停戦維持をめぐり懸念があるものの、底堅い企業業績が買い材料となった。ストックス欧州600指数は0.7%上昇。

  「バドワイザー」などのビールブランドを展開するアンハイザー・ブッシュ(AB)インベブは9%と、2021年以来の大幅高を記録した。主力商品のビール「ミケロブ」や「コロナ」が好調で、2023年以降で初めて販売量が増加した。

  一方、英銀大手HSBCは5.7%下落。第1四半期の利益が予想を下回ったことが嫌気された。手数料収入が好調さだったが、コスト増や減損処理がこれを相殺した。

  欧州債市場では、祝日明けの英国市場で同国債が急落。前日の世界的な債券安に追随する形となり、長期債利回りが大幅に上昇した。英30年債利回りは一時13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して5.78%と、1998年以来の高水準となった。10年債利回りは5%を上回った。

  トレーダーの間では、イングランド銀行(英中央銀行)による今年の利上げ見通しが加速。スワップ動向によれば、年末までに計70bpの利上げが示唆された。

5月5日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

為替スポット価格前営業日
ユーロ/ドル1.16991.1691
ドル/円157.79157.24
ユーロ/円184.61183.86
株終値前営業日比変化率
ストックス欧州株600609.72+4.21+0.70%
英FT10010,219.11-144.82-1.40%
独DAX24,401.70+410.43+1.71%
仏CAC408,062.31+86.19+1.08%
債券直近利回り前営業日比
独国債2年物2.68%-0.06
独国債10年物3.06%-0.02
英国債10年物5.06%+0.10

原題:Stocks Rise to Record and Oil Falls as Truce Holds: Markets Wrap(抜粋)

US Stocks Close at Record High, Powered by Rallying Chipmakers

Dollar Weakens as Fragile US-Iran Ceasefire Holds: Inside G-10

US Bond Yield at 5% Highlights Mounting Pressure in Market (1)

Oil Declines as Fragile Truce Holds Following Hormuz Clashes

Gold Advances as US-Iran Truce Holds After Hormuz Flareup

UK 30-Year Yield Hits Highest Since 1998: End-of-Day Curves

European Stocks Rebound on Resilient Earnings; HSBC Slips

More stories like this are available on bloomberg.com

©2026 Bloomberg L.P.