厚生年金+基礎年金「ひとりで月額15万円(年額180万円)」以上受給する人の割合は何%?
2026年度の年金額改定、国民年金1.9%・厚生年金2.0%の増額へ

厚生年金+基礎年金「ひとりで月額15万円(年額180万円)」以上受給する人の割合は何%?
新緑が目にまぶしい5月を迎え、過ごしやすい季節となりました。
この時期は、将来のライフプランについてじっくり考える良い機会かもしれません。
老後の生活を支える重要な柱である公的年金ですが、ご自身が将来いくら受け取れるか具体的に把握しているでしょうか。
最新のデータによれば、厚生年金を月額15万円以上受給している方は、全体の49.8%と半数に満たないのが現状です。
この記事では、年金制度の基本である「2階建て構造」から、2026年度の年金額増額の詳細、そしてパートタイムで働く方々に大きな影響をおよぼす「年収106万円の壁」の撤廃に向けた法改正の動きまで、幅広く解説します。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の公的年金制度、基本となる「2階建て構造」とは?
日本の公的年金制度は、基礎となる「国民年金」と、その上に乗る「厚生年金」で構成されており、この仕組みから「2階建て構造」といわれています。
それぞれの年金制度の基本的な特徴について見ていきましょう。
国民年金と厚生年金の関係性

1階部分:国民年金(基礎年金)の概要
・加入対象:原則として日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方
・保険料:加入者全員が定額ですが、年度ごとに改定されます(※1)
・受給額:保険料を全期間(480カ月)納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます(※2)。未納期間がある場合は、その期間に応じて満額から減額されます
※1 国民年金の保険料は、2026年度で月額1万7920円です。
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額は、2026年度で月額7万608円です。
2階部分:厚生年金の概要
・加入対象:会社員や公務員、またパートタイマーなど特定適用事業所(※3)で働き、一定の要件を満たす方が国民年金に上乗せして加入します
・保険料:収入に応じて決定されます(上限あり)(※4)
・受給額:加入していた期間や納付した保険料によって、個人ごとに異なります
2階部分にあたる厚生年金は、会社員や公務員の方が国民年金に加えて加入する制度です。
国民年金と厚生年金とでは、加入対象者や保険料の決まり方、受給額の計算方法などが異なっています。
このため、老後に受け取る年金額は、個人の加入状況や現役時代の収入によって差が生じることになります。
また、公的年金の金額は、物価や現役世代の賃金の変動に合わせて毎年改定される仕組みであることも大切なポイントです。
※3 特定適用事業所とは、厚生年金保険の被保険者数が一定期間51人以上となる見込みの企業などを指します。
※4 厚生年金の保険料は、標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて計算されます。
2026年度の年金額改定、国民年金1.9%・厚生年金2.0%の増額へ
公的年金の受給額は、賃金や物価の変動を考慮して毎年見直されます。
2026年度においては、国民年金(基礎年金)が前年度比で1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の増額となり、4年連続でのプラス改定が決定しました。

2026年度の年金額
・国民年金(老齢基礎年金・満額):1人あたり月額7万608円(※1)
・厚生年金:夫婦2人分で月額23万7279円(※2)
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額)は、月額7万408円(前年度比+1300円)となります。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
国民年金のみの加入だった場合、満額(※3)でも月々の受給額は約7万円です。
仮に繰下げ受給(※4)の上限である75歳まで受給開始を遅らせたとしても、月額は13万円に届きません。
※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額とは、国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額を指します。
※4 繰下げ受給とは、老齢年金の受給開始を66歳から75歳までの間に遅らせる制度です。「繰下げ月数×0.7%」の増額率が適用され、75歳で受給を開始すると増額率は84%になります。
厚生年金の受給額、月15万円以上を受け取る人の割合は?
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金受給者の平均月額は男女全体で15万289円となっています。
なお、この金額には1階部分である国民年金(老齢基礎年金)の月額分も含まれています。
受給額ごとの人数分布は、以下の通りです。
【最新データ】厚生年金の受給額別・人数分布

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
・1万円未満:4万3399人
・1万円以上~2万円未満:1万4137人
・2万円以上~3万円未満:3万5397人
・3万円以上~4万円未満:6万8210人
・4万円以上~5万円未満:7万6692人
・5万円以上~6万円未満:10万8447人
・6万円以上~7万円未満:31万5106人
・7万円以上~8万円未満:57万8950人
・8万円以上~9万円未満:80万2179人
・9万円以上~10万円未満:101万1457人
・10万円以上~11万円未満:111万2828人
・11万円以上~12万円未満:107万1485人
・12万円以上~13万円未満:97万9155人
・13万円以上~14万円未満:92万3506人
・14万円以上~15万円未満:92万9264人
・15万円以上~16万円未満:96万5035人
・16万円以上~17万円未満:100万1322人
・17万円以上~18万円未満:103万1951人
・18万円以上~19万円未満:102万6888人
・19万円以上~20万円未満:96万2615人
・20万円以上~21万円未満:85万3591人
・21万円以上~22万円未満:70万4633人
・22万円以上~23万円未満:52万3958人
・23万円以上~24万円未満:35万4人
・24万円以上~25万円未満:23万211人
・25万円以上~26万円未満:15万796人
・26万円以上~27万円未満:9万4667人
・27万円以上~28万円未満:5万5083人
・28万円以上~29万円未満:3万289人
・29万円以上~30万円未満:1万5158人
・30万円以上~:1万9283人
データを見ると、厚生年金を月に15万円以上受け取っている方の割合は49.8%であり、全体の半数に届いていないことがわかります。
厚生年金を受給していない方も含めて考えると、この割合はさらに下がると推測されます。
「年収106万円の壁」撤廃がもたらす変化とは?将来の年金額への影響も
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」では、パートやアルバイトとして働く方々にとって重要な「年収106万円の壁」を撤廃する内容が盛り込まれました。
パート・アルバイトに関わる「106万円の壁」の仕組み

出所:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
「106万円の壁」とは、パートやアルバイトなどの短時間労働者の方の年収が106万円以上になると、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れ、自身で保険料を支払う必要が生じる目安のことです。
保険料の負担によって手取り収入が減少するため、収入が基準額を超えないように労働時間を調整する「働き控え」の一因とされてきました。
社会保険の適用対象となる企業の規模は段階的に拡大されており、2024年10月からは従業員数51人以上の事業所が対象です。
今回の法改正では、「3年以内の賃金要件の撤廃」と「10年をかけて企業規模要件を段階的に撤廃する」ことが決定しました。
短時間労働者の社会保険加入要件はどう変わるのか

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
2025年7月時点で、パートタイムなどで働く短時間労働者の方が社会保険に加入するためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。
・週の所定労働時間が20時間以上であること
・2カ月を超える雇用の見込みがあること
・学生ではないこと
・所定内賃金が月額8万8000円以上であること(賃金要件)
・従業員数51人以上の企業で働いていること(企業規模要件)
今回の改正によって、このうち4番目の「賃金要件」と5番目の「企業規模要件」が撤廃されることになります。
いわゆる「106万円の壁」については、全国の最低賃金の動向を考慮しつつ、3年以内の廃止が目指されます。
また、社会保険に加入する企業の規模要件は、10年かけて段階的に拡大される予定です。
まとめ:自身の年金見込額を確認することから始めよう
この記事では、公的年金の仕組みや最新の動向について解説しました。
公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造であり、現役時代の働き方や収入によって受給額が大きく異なることがお分かりいただけたかと思います。
現役世代の方の中には、将来ご自身がどれくらいの年金を受け取れるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用して、ご自身の年金見込額を確認することから始めてみましょう。
その上で将来のお金に不安を感じた方は、新NISAやiDeCoなど、自分に合った方法での資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
・厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
・日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
・政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
・厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
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