ロピアに“一罰百戒”の背景 道場六三郎、トシ・ヨロイヅカ、スーパーアキダイも傘下に

道場六三郎氏
“競争の番人”といわれる公正取引委員会から独占禁止法違反(優越的地位の濫用)で立ち入り調査を受けた食品スーパー「ロピア」は、首都圏を中心に急成長を遂げてきた。今回の調査を受けて、SNS上では「スーパーではよくみられてきたケース」「ロピアだけではない」などの投稿も見られるが、「一罰百戒の意味も込めた調査に、業界は震えあがっている」(流通ジャーナリスト)との声が聞こえてきた。
「納入業者へのタダ働き要求」疑い 公取委に業界震える
ロピアは16日、公取委の立ち入り検査を受けた。納入業者に対し商品陳列や補充作業を無償で強要した可能性が指摘されている。このニュースは、業界内外で大きな話題を呼んでいる。今年に入って、イトーヨーカドーの一部店舗閉鎖や撤退など業界再編が報じられる中、ロピアの快進撃は新旧交代の象徴としてニュースをにぎわした。
ロピアは1971年、神奈川県藤沢市で精肉店「肉の宝屋」として創業し、2011年に社名を「ロピア」に変更。店名の由来は「ロープライスユートピア」で、「同じ商品ならより安く、同じ価格ならより良いものを」をモットーに、低価格路線で急速に店舗を拡大してきた。
2023年2月期のグループ売上高は3401億円、2024年2月期には4126億円と、10年で約7倍の成長を遂げた。
「その原動力として知られるのは、特売を設けない『エブリデーロープライス(EDLP)戦略』や、企画から製造・販売までを自社で手掛ける『食のSPA(製造小売り)」モデルです。ボリューム感のある総菜やプライベートブランド商品は『安いだけでなく楽しい』と消費者から支持を集め、店長に権限をもたせて競い合わせることで、店舗平均売上高は業界平均の約2.5倍の40億円に達しています」(流通ジャーナリスト)
さらに、ロピアの成長を支えるのは積極的なM&Aだ。2022年には上場企業のスーパーバリューを子会社化、2023年には、テレビ出演で知られる秋葉弘道社長のスーパーアキダイを傘下に収め、有名パティシエ・鎧塚俊彦氏の「トシ・ヨロイヅカ」運営会社も買収した。
“料理の鉄人”道場六三郎氏の店をロピアグループが運営、道場氏監修の総菜が店頭に並ぶなど、安いだけではない店の魅力づくりに注力。秋葉氏はロピアグループ全体の青果アドバイザーも務めている。
二代目が売り上げ7倍増 加藤綾子の“内助の功”も?
「創業者からバトンを受けて、売り上げを7倍に伸ばした二代目の代表取締役、高木勇輔氏の経営手腕は高く評価されています。また、夫人にニュースキャスター経験のある元フジテレビの人気フリーアナウンサー、加藤綾子さんを迎えたころから、さらに急成長していることから女性目線による“内助の功”ともいわれています」(先のジャーナリスト)
このように、ロピアは低価格と独自の商品力、そしてM&Aによるエリア拡大、特色ある店舗構成で、業界の新星として注目されてきた。
だが、好事魔多し。公取委の立ち入り検査は、ロピアが納入業者に対し、新規出店や店舗改装時に従業員の無償派遣を要請し、日当や交通費を支払わずに商品陳列作業をさせた疑いに基づいている。これは独禁法の「優越的地位の濫用」に該当する可能性があり、取引上の有利な立場を利用して不当な負担を強いる行為として問題視されているのだ。

スーパーアキダイの秋葉弘道氏
急速な店舗拡大に伴う人手不足を、納入業者に負担させる形で補った可能性が指摘されており、公取委は取引実態の詳細を調査中だという。
ロピアだけの問題ではないの声 スーパー業界全体への警告
SNS上では、この問題に対し「スーパー業界ではよくある商習慣」「他の大手も似たようなことをしているのでは?」といった声が散見される。実際、小売業界では納入業者への負担要請が慣行として存在する場合があり、ロピアだけの問題ではないとの見方もある。しかし、Xの投稿では「安さの裏に『タダ働き』があるなら倫理破壊だ」との厳しい意見も見られ、今後の消費マインドや企業イメージ与える影響も軽視できないだろう。

鎧塚俊彦氏
「税務調査などと同様に、業界の綱紀粛正のためには、目立つ企業を対象とした“一罰百戒”の効果を狙ったとの見方も浮上しています。公取委は近年、大手小売やコンビニチェーンなど、取引上の優越的地位を悪用するケースに厳しく対応、ロピアへの検査は業界全体への警告とも受け取れます」(同ジャーナリスト)