アメリカ軍は約30年前のステルス爆撃機「B-2」をいかにして高性能に維持しているのか

イランへの攻撃に使われた爆撃機B-2スピリットは、今後の任務に備えてアップグレードが進められている。

  • アメリカ空軍の爆撃機B-2スピリットは近代化が進められている。
  • B-2の近代化にはステルス性能の向上、通信技術の強化、整備スケジュールの改善が含まれているという。
  • イランの3つの核施設への攻撃に使われたB-2は、今後、新型爆撃機のB-21レイダーに置き換えられる予定だ。

アメリカ空軍(US Air Force)の爆撃機B-2スピリット(B-2 Spirit)は、戦場の厳しい環境を突破するために作られた非常に高性能な戦略爆撃機だ。しかし運用開始から約30年が経過し、時間の経過による劣化や技術の進歩に対応するためには、性能維持のためのアップグレードが必要だ。

アメリカ空軍は、B-2の探知されにくいステルス性能をさらに高めるとともに、より長期間運用できるように機体の近代化を進めている。2025年6月28日、空軍ライフサイクル管理センター(Air Force Life Cycle Management Center)広報部は、爆撃機のソフトウェアとハードウェアを改良し、その性能を維持するための詳細を発表した。

主な改良点は、整備の効率化、ステルス性能の向上、そして通信機能の改善だという。

「多くの人々がB-2を旧式のプラットフォームだというが、それは間違いだ。B-2は現在も実際に作戦行動に従事している現役の兵器であり、もし明日戦闘が始まれば、最初に攻撃を行うプラットフォームの一つになるだろう」と、B-2先進プログラム部門(B-2 Advanced Programs Branch)の責任者であるロバート・アレン(Robert Allen)中佐は述べた。

B-2は軍需メーカー、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)によって製造された1機あたり20億ドル(約2868億円)という高価な爆撃機だ。その開発は費用の高さもあって、当初から物議を醸していた。1997年にアメリカ空軍に配備され、初めて実戦に投入されたのはコソボ紛争(Kosovo War)の「アライド・フォース(連合軍)作戦(Operation Allied Force)」だった。

直近では、7機のB-2がイランのフォルドウ、ナタンツ、そしてイスファハーンにある核施設に爆弾を投下した。これらの戦略爆撃機は、強固な防護構造や深く埋められた地下施設を破壊するために設計された非常に強力なGBU-57「大型貫通爆弾(Massive Ordnance Penetrator)」14発を搭載していた。1発あたりの重量は15トンに及ぶ。

B-2爆撃機は核兵器の搭載も可能だ。アメリカの核の三本柱(トライアド)を構成する重要な要素の一つである。トライアドとは、B-2のような爆撃機、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)から構成されている。B-2は、搭載できる兵器の種類と量について柔軟性があるため、アメリカ軍全体の攻撃手段の中核的存在であり続けている。そうした重要性から、B-2を時代に即して運用し続けるための投資が重ねられている。

整備時間の短縮

アメリカ空軍によるとB-2が頻繁に整備に入らずに済むよう改良を行っているという。

爆撃機は飛べる状態であってこそ意味がある。アメリカ空軍は、B-2を必要なときにすぐ飛ばせるようにするため、整備による運用停止の時間を減らし、出撃可能な状態をより多く維持できるよう取り組んでいる。従来B-2は整備に手間がかかる機体であり、それゆえ運用効率の改善が重視されている。空軍が実際に運用しているB-2は、2008年に発生した墜落事故で1機を失っており、現在は20機ある。

B-2の大規模なオーバーホールは、「プログラム・デポ・メンテナンス(Program Depot Maintenance:PDM)」と呼ばれており、通常は9年ごとに実施される。この作業には通常約470日かかる。空軍ライフサイクル管理センター広報部は、「この整備は爆撃機の徹底的な点検、オーバーホール、修理を含み、その多くは爆撃機の低被探知性、つまりステルス性能を保つための材料の修復に重点を置いている」と2024年の秋に述べている。

整備のプロセスの改善点には、燃料検査を早めに実施して作業の重複を避けることや、事前点検を行って問題をあらかじめ把握することなどが含まれている。

「どの航空機でも使用年数が経つにつれて、PDMの際に修理が必要な問題が増えてくる」と、爆撃機部門(Bombers Directorate)に所属するB-2システムプログラムマネージャーのフランシス・マリーノ(Francis Marino)大佐は話す。

「事前点検は非常に有効で、PDMでの予期せぬ問題を減らすことができる」

B-2の機材維持と修理体制の確保も非常に重要だ。2024年5月3日、ノースロップ・グラマンは、維持・支援作業および計画的なアップグレードのために70億ドル(約1兆0039億円)規模の契約をアメリカ軍との間に結んでいる。

ステルス性能と通信機能の向上

B-2スピリット爆撃機は、ステルス性能を高めるために工夫された複数の特徴を持つ。

爆撃機を敵の対抗手段や脅威から隠し続けるため、空軍はステルス性能と通信機能の重要なアップグレードに取り組んでいる。

アメリカ空軍のアレン中佐は、新しいプログラムの一環として、B-2に「視界外衛星通信機能」の強化版を搭載していると語っている。これによって、「リアルタイムの作戦計画データの転送速度が大幅に向上」し、「操縦者は音声通信とデータの同時送受信が可能になり、現在の機体よりも通信能力がアップする」と彼は説明した。

B-2のステルス性能は、レーダーやセンサーに探知されにくい低被探知性(Low Observable)を実現するレーダー吸収材料などを含めて強化されている。この改良によって、レーダー反射断面積(レーダーに映る大きさ)がさらに小さくなり、レーダーの操作者から見た探知の難しさが増すことになる。

B-2は独特な全翼型の機体設計やエッジアライメントの技術が用いられていることが特徴だ。これらの工夫によって、複数の周波数帯域で機体がレーダーに映る大きさを大幅に減らし、敵の防空レーダーが探知・追尾して攻撃目標にすることを非常に難しくしている。

「航空電子機器(アビオニクス)、センサー、通信システムのアップグレードは新たに現れる脅威に先んじて対応し、搭載兵器の能力と多様性を強化するために不可欠だ」と、B-2統合能力部門(B-2 Integrated Capabilities Branch)の物資担当リーダー、ベンジャミン・エルトン(Benjamin Elton)中佐は話している。