ランクルは300、250、70…どのモデルがベストバイ? レクサス版とも比較、資産性も考えると…

どこにでも行けて、生きて帰ってこられる—— これぞランドクルーザーの価値そのもの。

アフリカの奥地では氾濫する川を越え、中東では「この砂丘を越えられるのはラクダかランクルだけ」とまで言わしめる。南極観測隊が零下45度の猛吹雪のなかに持ち込んだのも、ほかならぬランドクルーザーだった。

日本なら選べる「3つのランクル」

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トヨタ自動車㈱より提供

欧州やアメリカではランドクルーザーは250しか販売されていない。だが、幸運なことに日本に住む私たちは、性格の異なる3台のランドクルーザーから相棒を選ぶことができる。ランドクルーザー300、ランドクルーザー250、そしてランドクルーザー70。まるでマサラタウンで最初のポケモンを選ぶように三者三様の個性が輝く。

では、その中でどのモデルがベストバイなのであろうか? 資産的な目線からも考えてみよう。

ランクルの象徴・ラダーフレーム

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それぞれのランドクルーザーの違いを見ていく前に、まず、ラダーフレームの説明をしたい。

現代のクルマのボディ構造はほとんどが「モノコック」と呼ばれる、一体型の構造になっている。これはクルマの骨組みとボディが一体化したもので、軽量かつ高剛性であるため、乗り心地や燃費の面で多くのメリットがある。

しかし、ランドクルーザーのような車はあえて古典的ともいえる「ラダーフレーム」を使い続ける。クルマの底面に頑丈なハシゴ状(ラダー状)のフレームを敷き、その上にボディを載せる構造だ。この方式は主にトラックやスズキ・ジムニーのような本格クロスカントリー車に採用されている。

しかし、モノコックよりも重くなり、燃費も快適性も理論的には劣る。つまりは乗り心地がモノコックよりも悪い。それでもランドクルーザーはこの方式を譲らない。なぜだろうか?

その答えは、ランドクルーザーの使命にある。世界中の過酷な環境に耐えるためには、モノコック構造では限界があるのだ。激しい悪路や岩場を走る際には、ボディがねじれるほどの強い衝撃を受ける。モノコック構造のボディはこの衝撃に対して「ゆがみ」を受けやすく、一度ゆがんでしまうと元に戻らず、致命的な損傷につながることもある。だが、ラダーフレーム構造なら、衝撃をフレームが確実に吸収・分散し、ボディを守ることができるのだ。長年トヨタで新型車の実験評価を担当してきた福岡孝延氏もトヨタイムズでこう語っている。

「自然を前にしたときにはどうしても、先に進むためにあえて岩などの障害物に当てていかなければならないようなケースがあります。そういう場合、クルマへのダメージが最小限で済むように作られているのがランドクルーザーです。とくに下回り、サスペンションアームですとかトランスミッションのプロテクターやアンダーカバーなどは衝撃を受けることを前提に作られています」

ランクルは普通車と違う乗り物であることを前提に、それぞれのモデルの特徴を見ていこう。

「キング・オブ・SUV」ランクル300

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いま、ランドクルーザー300は「キング・オブ・SUV」という名にふさわしい存在感を放っている。伝統のラダーフレームは時代とともに進化し、最新モデルでは「GA-F」と呼ばれる新設計のプラットフォームを採用。従来比で約200キロの軽量化を果たし、ボディ剛性と安全性も劇的に向上させた。剛性を高めながら軽くする技術の積み重ねが、ランクルの「どこまでも行けて、必ず帰ってこられる」という本質を支えている。

この進化は、単に悪路走破性だけを追求したものではない。電子制御サスペンションと高度な4WDシステムが組み合わさり、オンロードではセダンのような静粛かつ滑らかな乗り心地、オフロードではたとえ岩場や泥濘地でも、運転手が気負うことなく安定して走破できる。高級SUVの顔をしながら、世界最強クラスのタフネスを併せ持つ。それがランクル300のなせる技だ。

エンジンは3.4L V6ツインターボ(415馬力・ガソリン)、3.3L V6ツインターボ(307馬力・ディーゼル)を選択できる。2.3トンの巨体を意識させない軽快な加速と、どこまでも余裕あるパワーフィール。過酷な道のりも、首都高の急加速も、300ならすべて叶えられる。

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インテリアに目を移せば、まるで高級サルーンのようだ。本革シートと木目パネル、静寂に包まれたキャビン。デジタルコックピットや先進の運転支援システムが標準装備され、長距離ドライブでも疲労を感じさせない。最新のトヨタセーフティセンス、レーダークルーズコントロール、高度な自動ブレーキ……ビジネスシーンでも家族の時間でも、満足感を得られるだろう。

もちろん、燃費性能は決して良いとはいえない。WLTCモードでガソリン約8km/L、ディーゼル約9.7km/L。都市部で渋滞に巻き込まれれば、さらに数字は下がる。だが、快適性と信頼性、圧倒的な走破力の前では、そのデメリットすら些細に思えてくる。

これほどのクルマが、日本では標準グレードで560万円、上級モデルでも750万円前後。世界的に見れば破格と言える。例えばイギリスでは、個人輸入されたランドクルーザー300は1500万円近いプライスがつく。日本でこのクルマに乗れる幸運を、改めて感じさせられる。

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GR SPORT版は、極限の環境でオフロード性能を鍛え上げた、最もタフなランドクルーザーとなっている。

唯一、現実に立ちはだかるのは納期だ。いま新車を注文しても、少なくとも4年は待たなければならない。手に入れるまでの道のりもまた、伝説の一部なのかもしれない。いずれにせよ、現代的な快適さ、贅沢な週末を送りたいなら、ランクル300が最適解だ。

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ちなみに、ランクル300のレクサス版が『レクサスLX』だ。最大の違いは「ラグジュアリー性能」の徹底だろう。ランドクルーザー300でも十分豪華だが、LXはさらに上質な本革や専用の内装素材をふんだんに使い、シートの仕立てや静粛性も格段に向上している。オーディオもマークレビンソン製のプレミアムサウンドを搭載。エクステリアも専用デザインのグリルやホイール、洗練された細部が施されている。価格も大きく異なり、ランドクルーザー300が500万円台からに対して、レクサスLXは最低価格が約1300万円からと、倍以上の価格帯となる。

ランクルの原点をアップデートする250

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ランドクルーザー250は、伝統と革新の交差点で、「これからのランクル像」を示す。

2024年、ランドクルーザー250が登場した。かつてのプラドが上級ランクルに対して「弟分」的な差別化を余儀なくされていたのに対し、250は性能も思想も300に並び立つ。最大の特徴は、300系と同じGA-Fプラットフォームを採用し、伝統のラダーフレームがもたらす剛性と走破性を徹底的に磨き直した点にある。つまり悪路走破性は300同等の本格マシンなのだ。

開発コンセプトは「質実剛健、本当に必要な機能に絞り込む」。外観デザインは余計な演出を廃し、ランドクルーザー70へのオマージュとも言える水平基調と、機能美に徹したスクエアなプロポーションを採用。

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オプションで丸目ライト仕様も選択可能で、これはかつて市販されていたFJクルーザーを思い起こさせる。

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2010年から2018年まで販売されていたFJクルーザー。

それもそのはずでFJクルーザーのデザインを手がけた韓国人デザイナー、ジン・ウォン・キムが250のデザインチームに参画していることに由来する。子ども用ミニカーのような素朴さと、最先端SUVの鋭さ。その二面性をうまく表現しているのが250の特徴だ。

パワートレーンは最新の2.8リッター直列4気筒ディーゼルターボ(204馬力・500Nm)を主力とし、2.7リッターガソリンエンジン(163馬力・246Nm)も引き続き用意される。このガソリンモデルは車格に対して少々力不足のようだが、近日2.7リッターガソリン+電動ユニットによるハイブリッドモデルが海外では発売されているため、日本にもいずれ投入されるだろう。さまざまなエンジンが選択できるのも250の魅力だ。

インテリアは「使い倒せる道具」としての無骨さを保ちつつ、上級グレードでは本革やウッド調パネルなどラグジュアリーな選択肢もある。

価格帯はディーゼル仕様で520万から730万円、ガソリン仕様は480万円。今後登場予定のハイブリッドは600万円前後となるだろう。300が560万円~750万円であることを考えれば、250もそれに迫るプライスだ。

車のサイズも全長・全幅ともに、250の方が数センチずつ小さいため、都市部での取り回しは250に軍配が上がる。燃費も300よりはリッター数キロ程度だが上回る。ラグジュアリー志向でハイパワーな300と、デザイン的にはもう少し親しみやすく、日常的に取りまわしやすい250という差があると考えていいだろう。

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300に対応するレクサスLXと同じく、ランクル250のレクサス版が「レクサスGX」だ。こちらも250の基本構造を踏襲しながら、内外装の高級感や快適装備を大幅にアップグレード。特に内装は本革や天然木、上質な素材が多用され、乗り心地や静粛性も向上している。外観も専用デザインが与えられ、レクサスらしい高級感が漂う。ランドクルーザー250の価格帯は約520〜735万円であるのに対し、レクサスGXはおよそ900万円台からスタートとなり、約300万円の価格差が生じる。

結局、レクサス版は「実質的な性能差」以上に「ラグジュアリー性」や「ブランド価値」に魅力を感じる人が選ぶべきモデルだと言えるだろう。

不変の価値を持つ究極のクロカン

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最後がランクル70だが、同車を語る上で、まず触れなければならないのが、基本設計は1984年で、実に40年近く経つ「生きる化石」という点だ。オーストラリアの砂漠、アフリカの密林、中東の灼熱の荒野など世界各地の過酷な環境で現在進行形で使われ続けている。ランクル70はまさに「どんな環境でも動き続ける道具」として絶大な信頼を獲得してきた。

2004年、日本での販売が一旦終了したものの、その後もファンの熱烈な要望を受け、2014年、そして2023年に復活を遂げる。今回の再販でもトヨタは「基本コンセプトは変えず、必要な部分のみを現代化する」ことにこだわった。自動ブレーキや車線はみだし抑制機能など現代に必要な電子制御は最小限に抑え、オリジナルのシンプルでタフな構造を維持。

デザインに関してはフロント部を中心に小変更されている。盛り上がったボンネットに目が行くがこれは衝突時に歩行者の頭部を守るため。エンジンとボンネットの間に隙間を作ることで現在の安全基準に適合させるための苦肉の策だ。

エンジンは現代の排出ガス規制に対応した2.8リットル直4ディーゼルターボを搭載するが、車体設計や足回りは40年前とほぼ変わらない。

このクルマの最大の魅力は、まさにその「変わらなさ」にある。現代のSUVが電子制御を駆使して路面状況を自動で判断する一方で、ランクル70の運転は完全に「アナログ」。4WDの切り替えも手動で、副変速機を操作してローギアに入れ、前後のデフロックも手で操作する。ドライバー自身がクルマと対話しながら悪路を攻略する楽しさは、現代のSUVにはない「原初的な喜び」を呼び覚ます。

悪路走破性においても、ランクル70は文句なしに「世界トップクラス」の性能を誇る。リジッドアクスルサスペンションによる抜群のホイールストロークと、高い最低地上高、短いオーバーハングによる優れた進入角と離脱角。岩場でも泥沼でも砂丘でも、70が進めない場所はないと言われるほどで、プロのクロカンマニアからも信頼される存在だ。

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その反面、市街地や高速道路での快適性は正直なところ低い。後輪のサスペンションは、トラック同様の鉄の板バネのため、路面の凹凸をダイレクトに伝え、静粛性は皆無に近い。だが、ランクル70のユーザーはそれを「欠点」ではなく「個性」と受け止める。揺れる車内も、唸るエンジンも、「本当に頑丈なクルマ」に乗っているという実感を与えてくれる要素だからだ。

内装も徹底的に「機能本位」で作られている。シートはファブリックまたは合成皮革、内装はプラスチックとビニールが主体で、汚れた手や濡れた服で乗り込んでもまったく気にならない。壊れやすい電子機器や過剰な装飾はなく、シンプルな計器類とマニュアル式エアコン、ベーシックなオーディオだけが装備されている。「必要最低限」を突き詰めた潔さが、70の真骨頂である。

それらのメリットは「壊れないこと」にある。電子制御装置が少なく、機械式の構造が多いため、万が一故障したとしても修理は比較的容易だ。何より、世界中どこでも部品が入手できることが、長期的な運用を可能にしている。

さらに注目すべきは「資産性の高さ」だ。70系はもともと生産台数が非常に限られており、世界中で需要が供給を大きく上回る。そのため、中古車市場では常に高値安定しており、時には新車価格を上回ることすらある。「クルマを資産として考える」という意味では、ランクル70ほど適したモデルもないかもしれない。

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ただ、ランクル70に最も適しているのは、「休日に本気の冒険をする人」だろう。林道や河川敷、岩場など、本当に険しいルートを走破したい人や、クロスカントリーの競技に参加する人、あるいは災害時の備えとして究極の安心感を求める人にとって、このクルマは無二の存在となる。決して万人向けではないが、その無骨さと究極のタフさに惚れ込んだ人にとって、ランクル70ほど心強い相棒はいない。

どのモデルがベストか

結局、ランクルの「正解」は、あなたのライフスタイルで決まる。

現代的な快適さ、贅沢な週末を送りたいなら、ランクル300が最適解だ。圧倒的な豪華さ、静粛性、高速巡航の安定感により、長距離移動が苦にならない。残価率も高く数年乗って売却しても大きな損をすることはまずない。

現代のランクルでタフネスさと使いやすさを求めるなら、万能性に秀でたランクル250がベストだ。300に比べてコンパクトで取り回しやすく、都会でも使いやすい一方で、悪路性能や経済性も申し分ない。「普段使いも冒険も、この一台でこなしたい」という欲張りなユーザーには、250が現実的かつ理想的な選択肢となる。

最後に、資産性が高いランクル70ではあるが、選ぶ人は「本気で冒険する覚悟」を持つべきだ。豪華さや快適性は捨ててOK、不変のタフさと信頼性を重視する人のための究極のクロカンだ。ランクル70は単なるクルマではなく、あなたの人生そのものを支える相棒となるだろう。もし私が選ぶとしても、迷わず70を手に取る。その理由は単純で、これこそがランドクルーザーの本質そのものだからだ。電子制御や快適装備に頼らず、構造も哲学も無駄なく、ただ「走るため」「生きて帰るため」だけの道具。70は古くなっても朽ちない魅力がある。

結局、ランクル選びは自分自身を知ることに他ならない。あなたが休日をどう生きたいか、その答えこそが「正解」なのだ。