65歳以上リタイア夫婦の平均値「貯蓄・ひと月の生活費・年金月額」はいくら?
- 65歳以上リタイア夫婦の平均値「ひと月の生活費」はいくら?
- 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
- いまどきシニア【60歳代後半・70歳代前半・75歳以上】ひと月の家計収支を見る
- 60歳代後半・70歳代前半・75歳以上の実収入
- 60歳代後半・70歳代前半・75歳以上の支出合計(非消費支出・消費支出)
- 65歳以上世帯「みんなの貯蓄」平均と中央値はいくら?
- 世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高(二人以上世帯)平均・中央値
- 世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布
- 65歳以上リタイア夫婦の平均値「老後の貯蓄、みんないくら持っている?」
- 【65歳以上の無職夫婦世帯】平均貯蓄額の推移
- 厚生年金・国民年金「いまどきシニアは、実際にいくらもらえているのか」
- 国民年金・厚生年金「平均と個人差」
- 【本来月額15万円なら】繰上げ・繰下げ受給で年金額はどう変わる?《受給額シミュレーション》
- 60歳・65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳《各年齢での累計受給額》
- 【働くシニアに追い風?】年金カットの基準が大幅緩和!
- 2026年4月、在職老齢年金の支給停止調整額は「51万円→62万円へ」
【働くシニアに追い風?】年金カットの基準が大幅緩和!2026年4月、在職老齢年金の支給停止調整額は「51万円→62万円へ」

65歳以上リタイア夫婦の平均値「貯蓄・ひと月の生活費・年金月額」はいくら?
65歳以上のリタイア夫婦世帯の家計は、ひと月あたり3万円超の赤字――。
総務省の最新調査結果が示すこの現実は、多くの方にとって他人事ではないかもしれません。年金収入だけでは生活費が不足し、貯蓄を取り崩す生活には不安が伴います。
本記事では、こうした高齢者の家計や貯蓄の「平均値と実態」を、公的データを用いて多角的に解剖します。
さらに、年金額を増やす「繰下げ受給」や、働きながら年金をもらう際に気にしておきたい「在職老齢年金制度」についても解説していきます。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
65歳以上リタイア夫婦の平均値「ひと月の生活費」はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、標準的な65歳以上無職夫婦世帯の家計収支は、ひと月約3万4000円の赤字となりました。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
毎月の実収入:25万2818円
■うち社会保障給付:22万5182円
毎月の支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
・食料:7万6352円
・住居:1万6432円
・光熱・水道:2万1919円
・家具・家事用品:1万2265円
・被服及び履物:5590円
・保健医療:1万8383円
・交通・通信:2万7768円
・教育:0円
・教養娯楽:2万5377円
・その他の消費支出:5万2433円
■うち非消費支出:3万356円
・直接税:1万1162円
・社会保険料:1万9171円
毎月の家計収支
・3万4058円の赤字
この世帯の場合、毎月の収入は25万2818円、そのうち約9割(22万5182円)が公的年金などの社会保障給付となっています。
一方で支出の合計は28万6877円。そのうち消費支出(いわゆる生活費)が25万6521円、非消費支出(税や社会保険料など)が3万356円でした。
この夫婦世帯の場合、毎月3万4058円の不足分を、主に貯蓄の取り崩しなどで補填していくことになります。
なお高齢者世帯は持ち家率が高い傾向にあることから、「住居費」は1万6432円と低くなっています。賃貸住宅に住む場合は、家賃との差額を上乗せして考える必要があります。
また、上記の支出項目には「介護費用」が含まれていない点にも留意が必要となりそうです。
いまどきシニア【60歳代後半・70歳代前半・75歳以上】ひと月の家計収支を見る
一口に65歳以上といっても、年齢層によって暮らしぶりが変化する場合もあるでしょう。
60歳代後半、70歳代前半、75歳以上に分けて、家計収支を見ていきます。

65歳以上の無職世帯「ひと月の家計収支」
60歳代後半・70歳代前半・75歳以上の実収入
・65~69歳:30万7741円(うち社会保障給付21万6915円)
・70~74歳:27万5420円(うち社会保障給付21万7558円)
・75歳以上:25万2506円(うち社会保障給付20万7623円)
収入をみると、どの年代も社会保障給付(主に年金)は21万円前後となっています。
ただし年金額は現役時代の加入状況により個人差がありますので、「ねんきんネット」などでご自身の年金見込み額を確認しましょう。
60歳代後半・70歳代前半・75歳以上の支出合計(非消費支出・消費支出)
・65~69歳:35万2686円(4万1405円、31万1281円)
・70~74歳:30万3839円(3万4824円、26万9015円)
・75歳以上:27万3398円(3万558円、24万2840円)
支出をみると、年代により大きな差が見られており、60歳代後半は35万円台、70歳代前半では30万円台、75歳以上は27万円台となっています。
理由はさまざまですが、一般的には年齢が高くなるにつれて支出が減っていきます。ただし実際には家庭の状況により差があるでしょう。貯蓄や私的年金などで備えておけると良いですね。
65歳以上世帯「みんなの貯蓄」平均と中央値はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」から、65歳以上の世帯主がいる二人以上世帯の貯蓄事情を見ていきます。

世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布 (二人以上の世帯)
世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高(二人以上世帯)平均・中央値
・平均値:2509万円
・貯蓄保有世帯の中央値:1658万円
平均値は一部の富裕層により引き上げられる傾向があります。より実状に近い「貯蓄保有世帯の中央値」に目を向けると1658万円にまで下がります。
では、貯蓄額の世帯分布についても見てみましょう。
世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布
先述のグラフから、貯蓄額ゾーンごとの世帯数も見ていきます。
・100万円未満:8.1%
・100万円~200万円未満:3.6%
・200万円~300万円未満:3.1%
・300万円~400万円未満:3.6%
・400万円~500万円未満:3.3%
・500万円~600万円未満:3.3%
・600万円~700万円未満:2.9%
・700万円~800万円未満:2.8%
・800万円~900万円未満:3.3%
・900万円~1000万円未満:2.5%
・1000万円~1200万円未満:4.8%
・1200万円~1400万円未満:4.6%
・1400万円~1600万円未満:5.1%
・1600万円~1800万円未満:3.3%
・1800万円~2000万円未満:3.3%
・2000万円~2500万円未満:7.4%
・2500万円~3000万円未満:5.8%
・3000万円~4000万円未満:9.4%
・4000万円~:20.0%
全体の42.6%が貯蓄額2000万円超、さらに4000万円超の世帯も20.0%存在します。その一方で、200万円未満の世帯が11.7%存在します。
65歳以上の「完全リタイア世帯」はどうでしょう。次では無職世帯に絞ったデータを見ていきます。
65歳以上リタイア夫婦の平均値「老後の貯蓄、みんないくら持っている?」
次は、世帯主が65歳以上の「無職世帯」に絞って、貯蓄額の推移や資産種類の内訳を見てみましょう。

世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別貯蓄現在高の推移(二人以上の世帯)
【65歳以上の無職夫婦世帯】平均貯蓄額の推移
・2019年:2218万円
・2020年:2292万円
・2021年:2342万円
・2022年:2359万円
・2023年:2504万円
・2024年:2560万円
世帯主が65歳以上の無職世帯(二人以上世帯)の貯蓄額は、2019年・2020年は2200万円台でしたが、2021年に2300万円台、2023年には2500万円台に到達し、右肩上がりで推移しています。
2024年の資産の内訳のうち、最も割合が高かったのは定期性預貯金859万円(33.6%)、次いで普通預金などの通貨性預貯金が801万円(31.3%)、有価証券(株式や投資信託など)は501万円(19.6%)となります。
貯蓄全体の約6割が、比較的リスクが低い預貯金になってはいるものの、定期性預貯金は前年比▲13万円減(▲0.2ポイント)です。
その一方で、株式や投資信託などの有価証券は前年より21万円増(+0.4ポイント)となっています。
厚生年金・国民年金「いまどきシニアは、実際にいくらもらえているのか」
厚生労働省年金局が公表する「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の各年齢における平均年金月額は、国民年金のみの受給権者で5万円台、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給権者で14万円台~16万円台です。
ただし一人ひとりが実際に受け取る年金額は、現役時代の年金加入状況により個人差があります。
国民年金・厚生年金「平均と個人差」

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
60歳~90歳以上の全受給権者の平均年金月額は下記の通りです。
国民年金(老齢基礎年金)
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金(国民年金部分を含む)
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
平均年金月額は、国民年金のみを受け取る場合は男女ともに5万円台ですが、厚生年金を受け取る場合は男性16万円台、女性10万円台と差があります。
【本来月額15万円なら】繰上げ・繰下げ受給で年金額はどう変わる?《受給額シミュレーション》
一般的な老齢年金の受給スタート年齢は65歳ですが、この時期は繰上げ・繰下げ受給の制度を活用することで「60歳~75歳」の間で調整ができます。
・60歳~64歳で減額された年金を受け取る「繰上げ受給」
・66歳~75歳で増額された年金を受け取る「繰下げ受給」
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均月額は14万6429円。ここでは本来の年金額が「15万円」の場合を想定し、受給開始年齢が「60歳・65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳」だった場合の累計年金受給額を見ていきます。
60歳・65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳《各年齢での累計受給額》

出所:日本年金機構「年金の繰上げ・繰下げ受給」をもとにLIMO編集部作成(「keisan 生活や実務に役立つ計算サイト」を使用)
70歳・75歳時点での累計受給額は繰上げ受給が有利ですが、80歳では65歳からの受給、85歳以降は繰下げ受給が最も多くなっていきます。
一度決まった繰上げ・繰下げの減額率・増額率は生涯変わりません。繰上げ受給を選択した場合、65歳以降も減額された年金額が続く点を心得ておく必要があるでしょう。
また、繰下げ受給で年金額を増やした結果、税金や社会保険料の負担が増える可能性があるのも意外な盲点かもしれません。
資産状況や健康状態と相談しながら、自分にとって最適な受給開始タイミングを検討しましょう。
【働くシニアに追い風?】年金カットの基準が大幅緩和!
年金の受給額を調整する「繰上げ・繰下げ」のほかに、老後の収入を支えるもう一つの大きな柱は「長く働く」ことでしょう。
「人生100年時代」が近づくいま、65歳を過ぎても現役で活躍するシニアは実際に増加しています。
その実態を、内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」で見てみましょう。

出所:内閣府「令和7年版高齢社会白書」
この調査では65歳以上の就業者数・就業率ともに上昇傾向にあり、各年齢層での就業者の割合は以下の通りです。
・65~69歳:男性62.8%、女性44.7%
・70~74歳:男性43.8%、女性27.3%
・75歳以上:男性17.3%、女性8.5%
2026年4月、在職老齢年金の支給停止調整額は「51万円→62万円へ」
なお、2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、在職老齢年金制度の見直しが盛り込まれました。
これにより、2026年4月から、厚生年金をもらいながら働く際に「年金が減額される基準額」が月51万円(※2025年度の金額)から62万円へ引き上げられます。
収入増による年金カットを懸念していたシニアの「働き控え」が緩和され、より柔軟な働き方が可能になると期待されており、厚生労働省の試算では、新たに約20万人が年金を全額受給できるようになるとされています。
まとめ
リタイア夫婦の家計がひと月約3万4000円の赤字というリアルなデータは、老後資金を計画的に準備することの大切さをを示していると言えそうです。
シニア世帯の貯蓄額も二極化が進んでおり、公的年金だけで暮らせる世帯は決して多数派ではないでしょう。
豊かな老後を送るためには、計画的な資産形成に加え、自身の状況に合わせた働き方の工夫が求められてきます。
年金の繰下げ受給で将来の受給額を増やしたり、在職老齢年金の基準緩和を追い風に長く働いたりと、選択肢は多様化しています。
ご自身とご家族にとって「最適なライフプラン」の検討を始めてみましょう。
参考資料
・総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
・厚生労働省「令和7年版高齢社会白書」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」