サンリオ【8136】株価5年で10倍(テンガバー)の急上昇 利益率が劇的改善、ROE48%台に きっかけの構造改革と今後の見通しは

サンリオ【8136】株価5年で10倍(テンガバー)の急上昇 利益率が劇的改善、ROE48%台に きっかけの構造改革と今後の見通しは
強い上昇トレンド 好業績で買い集まる
サンリオの株価が強く上昇しています。5年間の上昇率は973.8%と、実に10.7倍にも値上がりしました。
上昇は24年2月ごろからペースが早まります。当時(24年3月期)の業績予想の上方修正に際し、買いが集まったようです。その後、同年11月には金融機関による保有株式の売り出しから急落しました。しかし買い戻しの動きが強く、結局24年は1年で182.7%(2.8倍)の上昇と強い相場のまま取引を終えました。
25年もおおむね好調です。2月には再び業績見通しを引き上げ、株価は同月に上場来高値となる7315円まで上昇しました。その後、トランプ関税ショックで一時5328円まで下落したものの反発し、6月に7000円台を回復します。現在はやや調整し、6100円台での取引です。
【サンリオの株価チャート(過去5年間)】
・株価:6167円(2025年7月16日終値)

出所:Tradingview
サンリオは利益率の高さに強みがあります。25年3月期で営業利益率は35.8%、ROE(自己資本利益率)は48.6%にも達します。これは東証プライム(全産業)のそれぞれ7.02%と9.44%をはるかに上回る水準です。対資本でも高い収益性を持つことから、「JPXプライム150指数」にも採用されています。
しかし、以前はこれほどの高収益企業ではありませんでした。営業利益率およびROEは1ケタ台が続き、コロナ禍では赤字も経験しています。
サンリオは、なぜ高い利益率を実現できるようになったのでしょうか。背景に迫ります。
人気キャラクター豊富 「ハローキティ」依存は30%台半ばまで低下
まずは概要を押さえましょう。サンリオは1960年に誕生しました。贈り物などで人々をつなぐ「ソーシャル・コミュニケーション・ビジネス」を掲げ、ギフト商品の企画や販売を手掛けます。商品は委託生産で、うち8割は中国を中心とした海外に委託しています。
競争力の源泉は自社キャラクターです。1974年に生まれた「ハローキティ」を筆頭に、「シナモロール」や「マイメロディ」、「ポムポムプリン」など人気IP(知的財産)を多数保有します。「ハローキティ」の売上比率は25年3月期で35.3%と、10年前(同69.9%)から大きく低下しました。「ハローキティ」とその他キャラクターを組み合わせて展開する「複数キャラクター戦略」が奏功しています。
IPは自社での展開だけでなく、ライセンス供与も収益源となっています。25年3月期は、連結売上高の48.8%をロイヤリティが占めました。ほかに、「サンリオピューロランド」や「ハーモニーランド」など、キャラクターを生かしたテーマパーク事業も展開します。
【製品・サービス別の売上高(25年3月期)】
・商品販売およびライセンス:1286億円
・テーマパーク:151億円
・その他:11億円
※その他はロボットの販売・賃貸、自動車等の賃貸、損害保険代理業など
出所:サンリオ 有価証券報告書
セグメントは地域別で整理されています。主要市場は日本で、収益の多くは国内から得ています。海外は米国を中心とした北米や、香港や台湾といったアジアが主要市場です。海外は長らくアジアが中心でしたが、近年は北米が大きく成長し、日本に次ぐ市場となっています。
【セグメント業績(25年3月期)】

出所:サンリオ 決算短信
生まれ変わりのきっかけは構造改革 時価総額5兆円を目指す次の戦略とは
先述のとおり、サンリオの高い利益率は近年に発現したものです。コロナ禍の一時的な落ち込みを除いても、従来の利益率は現在より低いものでした。

出所:サンリオ 決算短信より著者作成
サンリオの急激な利益率の改善は、構造改革がきっかけでした。同社は21年3月期の赤字を契機に、不振が続いていた国内の物販事業と米国事業の改革を開始します。双方でEC化を強化しつつ、国内の物販事業は在庫の圧縮などで17億円の利益改善、米国事業は流通の外部化による販管費の改善で約11億円の赤字解消を目指しました。
改革は迅速でした。当初は3年の計画でしたが、目標を1年前倒しで達成します。連結では24年3月期に売上高530億円、営業利益30億円を掲げましたが、実際はそれぞれ1000億円および270億円と、計画を大きく超過します。脱コロナやインバウンドといった外部の追い風もあり、構造改革を進めた日本および北米の利益が顕著に拡大したことがサンリオの成長をけん引しました。

出所:サンリオ 決算短信より著者作成
現在はIPの拡大が戦略の中心です。自社だけでなく、他社IPとの融合も積極化し、プラットフォーマーとしてサンリオキャラクターを拡張させます。具体的な想定は、他社のショーとの共演や、ゲームや映像コンテンツでの展開などです。ゲームは自社制作2本を27年3月期に、映像コンテンツはアニメーションおよび映画を26年3月期から順次リリースする計画です。
これらを実行し、27年3月期に売上高1750億円、営業利益は650億円以上を計画します。以降も営業利益を年平均10%以上で成長させ、35年3月期までに時価総額5兆円の到達を目指します(25年7月15日終値の時価総額:1兆5077億円)。
【中期経営計画の主な財務目標(~27年3月期)】

出所:サンリオ 中期経営計画
「ハローキティ」50周年で好調 今期は「マイメロ」と「クロミ」も周年記念
最後に業績を確認しておきましょう。
先述のとおり、サンリオは利益が急拡大しています。構造改革で利益を出しやすい体質に変化したことに加え、脱コロナや外国人観光客の増加で売り上げが拡大し、利益成長につながりました。また、24年3月期からは「ハローキティ」50周年の企画も増収を支えました。営業利益は24年3月期に10期ぶりに過去最高を更新します。
躍進は25年3月期も続きます。売上高は前期比44.9%増、営業利益は同92.2%増と、大幅な増収増益でした。「ハローキティ」50周年イベントが24年12月まで続き、外国人観光客のほか、Z世代を中心に国内客でも売り上げが拡大しました。国内外のライセンス事業は、「クロミ」や「シナモロール」も人気化し、売り上げの伸長に寄与しました。

出所:サンリオ 決算短信より著者作成
今期(26年3月期)は「マイメロディ」が50周年、「クロミ」が20周年にあたり、関連イベントが売り上げを支える想定です。販管費は中長期的な投資から増加を想定しますが、北米や中国を中心にライセンスを拡大させ、営業増益を目指します。なお、純利益は前期に特別利益として投資有価証券の売却益24億円を計上していたこともあり、ほぼ横ばいの見込みです。
【サンリオの業績予想(2026年3月期)】
・売上高:1622億円(+11.9%)
・営業利益:600億円(+15.8%)
・純利益:420億円(+0.6%)
※()は前期比
※2025年3月期時点における同社の予想
出所:サンリオ 決算短信
計画どおりなら、営業利益は今期も2ケタ増益かつ3期連続の最高益となります。投資家は大きな期待を寄せているでしょう。決算の公表は高い関心を集めそうです。第1四半期の決算発表は8月8日の予定です。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)
若山 卓也/金融ライター/証券外務員1種
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。