【フォトルポ】高まり続ける「中国の脅威」に備えよ!陸上自衛隊「V‐22オスプレイ」の″威容″

7月より佐賀駐屯地に「V-22オスプレイ」の配備が開始

時折、晴れ間がのぞいた夏の九州の大空を、独特の重低音を轟かせながらひとつの機影が移動していた。二つの巨大なローターと細身の機体が特徴的なV-22オスプレイである。

7月9日午前10時30分ごろ、佐賀空港に隣接する陸上自衛隊・佐賀駐屯地の格納庫前に着陸すると、パイロット2名、機上整備員2名の4名が降り立ち、隊員たちの出迎えを受けた。これが、佐賀駐屯地への配備第1号となる。

陸自では機種記号のVにちなんでヴィーナスと呼ぶ。南西諸島の島々へ水陸機動団を運ぶ空の足として期待されている

オスプレイの飛来からおよそ1時間後に佐賀駐屯地開庁の記念式典が行われたのだが、当初の計画では’20年の輸送航空隊新編と同時に、佐賀駐屯地が開庁する予定だった。

5年の歳月を要した背景には、過去に墜落事故を起こしていたオスプレイの安全性、佐賀が攻撃目標となること、駐屯地建設による有明海の環境破壊、なかでも基幹産業である海苔の養殖への悪影響を懸念した佐賀県民の反対運動があった。

双方が話し合いを続ける間、輸送航空隊は木更津駐屯地を″仮住まい″とし、総数17機のオスプレイが暫定的に配備されたのである。

そこまでして佐賀への配備を待ったのには理由がある。この機体を使用するのは、日本版海兵隊こと水陸機動団だ。水陸機動団が置かれているのは長崎県の相浦(あいのうら)駐屯地並びに竹松駐屯地で、佐賀駐屯地まで約60㎞以内と目と鼻の先。

佐賀空港の滑走路を共同使用することで、空港施設をゼロから作る必要がないのも大きなアドバンテージだった。

ヘリではなくオスプレイが求められたのは速度、航続距離が陸自最大ヘリであるCH-47の倍以上かつ垂直離着陸が可能で、鹿児島県から沖縄県に点在する島々へ水陸機動団が迅速に展開するために必要不可欠だったからだ。

それでも、ある陸自幹部は「まだ十分ではない」と言うのだった。

「中国軍はすでに3隻の空母を持ち、高性能なレーダーやミサイルを搭載した戦闘艦を続々と建造している。オスプレイの配備で南西部の防衛力は向上したが、今後は脅威を日本に近づけさせないための、敵艦艇のミサイルの射程圏外から攻撃できるスタンドオフミサイルの配備が急がれる」

7月に入っても毎日のように中国海軍の艦艇や国籍不明の無人機が与那国島や宮古島、沖縄本島付近に姿を見せており、「もはや一刻の猶予もない」と先の幹部は警鐘を鳴らすのだった。

今後、佐賀駐屯地には段階的にオスプレイが配備され、8月中旬までに全機が移駐される予定だ。

佐賀空港ターミナルを横目に、できたばかりの佐賀駐屯地を目指すオスプレイ

機内の両脇には椅子がズラリ。25名程度の隊員を乗せて飛行することが可能だ

取材・文・PHOTO:菊池 雅之