コニカミノルタ【4902】断行の構造改革にメド、今期に復配へ 4度の営業赤字を乗り越え大幅増益を計画

ファンドの大量取得で株価急騰, 大胆なリストラ断行 痛み甚大、5年間で4度の営業赤字, 収益性はどれくらい上がった? 構造改革の効果を確認, 今期4~6月は順調、事業貢献利益1.6倍 成長戦略の説明会に注目

コニカミノルタ【4902】断行の構造改革にメド、今期に復配へ 4度の営業赤字を乗り越え大幅増益を計画

ファンドの大量取得で株価急騰

コニカミノルタの株価は2024年10月に大きく反発しました。旧・村上ファンド系の投資会社エフィッシモが5.81%分の株式を取得したことが判明し、期待感から買いが集まったものとみられます。同社株式は同年11月に717.7円の高値まで買われました。その後、エフィッシモは2回の買い増しで9.16%まで保有比率が上昇しています。

なお、以降は急速に値を失い、トランプ相互関税の公表を受け25年4月には366.4円の安値を付けました。足元は500円台まで反発していますが、PBR(株価純資産倍率)は0.54倍と、目安となる1倍を大きく割り込む状況です。

【コニカミノルタの株価チャート(過去5年間)】

・株価:515.3円(25年9月3日終値)

ファンドの大量取得で株価急騰, 大胆なリストラ断行 痛み甚大、5年間で4度の営業赤字, 収益性はどれくらい上がった? 構造改革の効果を確認, 今期4~6月は順調、事業貢献利益1.6倍 成長戦略の説明会に注目

出所:Tradingview

【コニカミノルタのPBR(25年9月3日終値)】

・1株あたり資本合計(自己株式除く):958.1円

・PBR:0.54倍

・(参考)東証プライムPBR:1.5倍(2025年8月)

※純資産および株式数は25年3月末

※東証プライムPBRは加重平均

出所:コニカミノルタ 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料

なお、コニカミノルタは収益性の改善を目指し、5年にわたる大規模な構造改革を実施しました。狙いどおり利益率が上向けば、PBRも向上するかもしれません。

コニカミノルタが実施した構造改革と内容と効果を探ってみましょう。

大胆なリストラ断行 痛み甚大、5年間で4度の営業赤字

コニカミノルタは21年3月期から構造改革に着手しました。コロナ禍で主力のオフィス事業が打撃を受けたことがきっかけです。以降、コロナ影響で売り上げが伸び悩むなか、構造改革費が利益を圧迫する構図となります。

当初計画した3年間の構造改革期間は、すべて営業赤字でした。特に23年3月期は、16年に買収した独モボティクスを中心に1000億円を超える減損を実施したことから、950億円もの営業損失を計上します。これは、借入金の一部に付された「2期連続の営業損失を計上しない」旨の財務制限条項に抵触する危機的な状況でした。なお、金融機関は一括請求を行わないと判断したため、コニカミノルタは難を逃れます。

しかし、厳しい状況は続きます。26年3月期を最終とする中期経営計画において、構造改革の継続を決定しました。収益力の強化に向け、リストラを断行します。

23年10月に中国の光学電子部品事業の譲渡を、24年には17年に買収した米アンブリー・ジェネティクスと米インヴィクロの売却を公表しました。中核事業の1つだった精密医療事業(プレシジョンメディシン事業)は非継続事業へ整理します。さらに、改革は人員にも及び、グローバルで2700人の削減を実行しました。

事業の見直しは25年も相次ぎます。2月にフランスのソフトウェア事業の一部譲渡を決定したほか、3月にはマーケティング支援子会社や上述のモボティクスの売却を公表しました。これらに伴う費用のほか、減損も生じたことから、25年3月期は再び巨額の赤字を計上します。また、配当金も無配に転落しました。

【営業利益の推移】

・20年3月期:82億円(1株あたり配当金:25円)

・21年3月期:-163億円(同25円)

・22年3月期:-223億円(同30円)

・23年3月期:-951億円(同10円)

・24年3月期:275億円(同5円)

・25年3月期:-640億円(同0円)

出所:コニカミノルタ 決算短信

収益性はどれくらい上がった? 構造改革の効果を確認

構造改革は大きな痛みを伴ったものの、コニカミノルタはリストラを完遂したとの認識です。現在地を確認しておきましょう。

まずは事業の全貌です。現在は大きく4つの事業を展開しますが、うち「プロフェッショナルプリント」と「インダストリー」の一部、また「画像ソリューション」のうちヘルスケアを強化事業と定義し、事業の拡大を目指します。主力の「デジタルワークプレイス」のオフィス事業は収益堅守事業の位置づけで、利益とキャッシュの安定的な創出を担います。

【セグメント情報(25年3月期)】

ファンドの大量取得で株価急騰, 大胆なリストラ断行 痛み甚大、5年間で4度の営業赤字, 収益性はどれくらい上がった? 構造改革の効果を確認, 今期4~6月は順調、事業貢献利益1.6倍 成長戦略の説明会に注目

出所:コニカミノルタ 決算短信

収益性はどうでしょうか。構造改革の主な目的は収益性の改善でした。構造改革などに起因する一時的費用を除いた事業貢献利益(※)でみると、22年3月期からは黒字に復帰しています。もっとも、同利益は横ばいの状況で、改革の効果はまだ十分に発現していません。

※事業貢献利益…売上高から売上原価と販売費および一般管理費を控除したもの

ファンドの大量取得で株価急騰, 大胆なリストラ断行 痛み甚大、5年間で4度の営業赤字, 収益性はどれくらい上がった? 構造改革の効果を確認, 今期4~6月は順調、事業貢献利益1.6倍 成長戦略の説明会に注目

出所:コニカミノルタ 決算短信より著者作成

構造改革の効果は、今期(26年3月期)から発現する見通しです。事業の選別などから売上高は減少を見込みますが、大型の一過性要因は発生しない見通しで、各段階利益は黒字への回復を予想します。前年は一過性要因として959億円の費用を計上していました。

なお、一過性要因のはく落を除いても、収益性の改善計画は顕著です。事業貢献利益は前期比1.6倍を見込んでおり、事業貢献利益率は5.0%と、コロナ前(19年3月期)の同4.79%を上回る予想です。1株あたり配当金は10円を予定しており、2期ぶりの復配を見込みます。

【コニカミノルタの業績予想(26年3月期)】

・売上高:1兆500億円(-6.9%)

・事業貢献利益:525億円(+64.4%)

・営業利益:480億円(前期は640億円の赤字)

・純利益:240億円(前期は475億円の赤字)

※()は前期比

※事業貢献利益…売上高から売上原価と販売費および一般管理費を控除したもの

※同第1四半期時点における同社の予想

出所:コニカミノルタ 決算短信

今期4~6月は順調、事業貢献利益1.6倍 成長戦略の説明会に注目

構造改革の効果は、今期(26年3月期)第1四半期の決算にも表れています。事業貢献利益は前年同期比で411.0%増(5.1倍)と、大幅な増益で着地します。事業の選択と集中で粗利率や販管費率が改善したことが寄与しました。また、一時的要因がはく落したことから、営業利益は101億円となり、前年同期(18億円の赤字)から大きく回復しています。

なお、通期予想に対する進捗率は事業貢献利益が17.5%、営業利益が21.0%と、目安の25%には届かない状況です。もっとも、今期は利益が上期下期で1対2のバランスになると説明しており、第1四半期では16.7%を超える進捗ならおおむね計画どおりといえます。

今後は説明会に注目です。コニカミノルタは「成長の芽」として説明会の開催を予告しており、再生プラスチック材料は今期の秋ごろ、半導体製造装置向け光学部品およびペロブスカイト太陽電池バリアフィルムは今期の下期に実施するとしています。

新しい成長ストーリーが投資家に響けば、株価の再評価につながるかもしれません。なお、決算説明会は第2四半期が11月5日、第3四半期が26年2月5日に開催される予定です。

若山 卓也/金融ライター

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。