「開場2時間前に並んでも遅い」…会場でもWEBでも行列、閉幕1ヵ月の関西万博で起きている異常事態

フランス館(左)とアメリカ館(中央)の長い列。大阪・関西万博はいよいよ閉幕が近づく。9月以降は「駆け込み」来場者が増え、休日などは20万人を超える日も。人気が高いパビリオンで日陰用のパラソルも設置されているが……

「初めてなら、万博には行かないほうがいい」

閉幕まで1ヵ月を切った大阪・関西万博。開幕前に多かった悪評をくつがえす人気ぶりと、閉幕前の駆け込み需要もあり、来場予約は土日祝日に加えて平日も《満員》表示が続出する。そのため今すでにチケットが手元にあっても、入場すら困難になりつつある。

一方、来場者数が増えるにつれ、万博を楽しむことが難しくなっている。〈朝9時すぐ入場でないと不利〉〈始発ダッシュ組が連日大量にいる〉などのほか、人気のパビリオンでの待ち時間が何時間にも及び、さらに来場者の残念な行動パターンも散見される。開幕直後から20回近く足を運んできた旅行ジャーナリスト・フォトグラファーが、今の万博で起きている事態の一例を紹介する。

『9時予約』にHPに1秒間15回以上アクセスも…

万博でパビリオンを多く巡るには『9時予約』が必須だ。その9時の予約枠はどの日もすでに《満員》だが、たまにある予約のキャンセル枠を巡り、多くの人々による“クリック合戦”が連日繰り広げられている。

8月下旬、万博公式サイトのお知らせに《EXPO2025デジタルチケットサイトへの運営妨害行為に対する対応について》が掲載された。チケットサイトでパビリオンなどの予約に自動で過度なアクセスを試みるツールなどを利用した行為に対し、当該者の万博IDおよびチケットIDの利用停止処理を行ったとの内容だった。

実はその後に〈自動ツールを使っていないのに万博IDを停止された〉〈通期パスや1日券がすべて無効になった〉といった投稿が各SNSで次々と見られた。中には、『9時予約』を狙って1秒間に15回以上アクセスしていた人もいたという。

万博のデジタルチケットサイトおよび公式アプリは、開幕当初から使い勝手の悪さやUI/UXのまずさなど、利用者からずっと指摘され続けている。何度もサイトを手動でリロードし続ける人が増えると、サーバーに負担がかかるのは当然だが、そこまでしないと予約を確保できないため、誰もが必死になっている現状がある。

人気が高いパビリオンの1つがイタリア館。事前予約で人気なのはもちろん、予約なしで行列して待つと5、6時間も当たり前。それでもずっと人気は衰えない

9時に来場予約しても、実は9時に入場できるとは限らない。いち早く入場するため、朝早くから東西それぞれのゲートに多くの人々が並ぶ。

地下鉄(大阪メトロ)夢洲駅が最寄りの『東ゲート』の場合、始発電車から降りてゲートへ走る「夢洲ダッシュ」に加え、それ以前の時間帯に徒歩で東ゲートへ向かう、前夜から待つ徹夜組も少なくない。読売新聞の報道によると、9月7日、朝5時前に少なくとも約300人がいて、始発到着後の午前6時には東ゲートの待ち人数は1000人以上だったという。万博協会が8月末、《早朝におけるゲート前の入場待ち自粛のお願い》を公式サイトに掲載したが、その効果が出るどころか早朝から待つ人の数はどんどん増えているようだ。

また、『西ゲート』は、バス、タクシー、車(パークアンドライド、P&R)のみでアクセスでき、徒歩や地下鉄は不可。筆者が9月上旬の平日朝7時過ぎ、地下鉄コスモスクエア駅からタクシーで西ゲートへ向かうとすでに多くの人々が前に並んでいた。ゲート開放が8時50分、入場できたのが9時過ぎ。6月半ばは7時過ぎから待ってほぼ最前列だったのと比べると、早朝待機組はかなり増えたのを実感した。

なぜ早い時間にゲートへ並ぶ必要があるのか。その理由の1つが、パビリオンの『当日予約』だ。これは事前予約とは別で、入場ゲートでチケットのQRコードをスキャンした約10分後から可能となるほか、会場内にある当日予約の専用ブースでも予約できる。つまり、早く入場できた人ほど有利で、人気パビリオンの予約枠は瞬く間に埋まる。現在だと9時10分ごろにはほぼなくなっている印象だ。

しかも、朝9~10時台は、会場内がまだ空いているため、予約が必要なパビリオンも予約不要で入場できたり、待ち時間なくパビリオンを巡ることができたりと、そのメリットは絶大。そして11時を過ぎると、どのパビリオンにも長い列ができ、会場内が人であふれる。万博を少しでも快適に楽しむためには、『9時予約』が非常に重要なのだ。

9月上旬、朝8時ごろの西ゲート前。7時過ぎにタクシーで着いてもすでに多くの人々が前に並んでいた。この日は曇りで日傘は少なめだったが、晴れの日は日傘だらけとなる

ずっと評判が悪い「公式サイト」と「アプリ」

パビリオンの予約は当日のほか、『2ヵ月前抽選』『7日前抽選』『3日前先着』がある。抽選は運だが、先着はこれまた争奪戦となっている。

『3日前先着』は、来場日3日前の0時から予約可能で、基本的に抽選で余った予約枠のみ。しかも、チケットサイトにアクセスが集中してサーバーに負担がかかるため、その予約画面を表示するために「待機ルーム」でいったん待たされる。

0時にクリックするのに23時前からログインし、ずっとそのログイン状態を維持する必要がある。そして、0時になった瞬間にクリックしてアクセスできればまだ良いが、エラー画面が出たり、待機ルームに再び戻ったりすることも多い。しかも、待機人数が何万人といて、1時間以上の待ちもザラである。

この待機させるシステムも、ずっと評判が悪い。しかも最近、システムに改良が加えられたようで、万博IDでログインし、パビリオンや来場日時の予約または変更をしたい際、アクセスが集中する時間帯以外でも、事あるごとに数十分や1時間以上などかなり待たされるようになった。万博リピーターほどこのシステムにうんざりしており、今回の万博がいくら好評で成功裏に終わっても〈チケットサイトがひどかった〉という事実は残るだろう。

パビリオンの予約や来場予約の際など事あるごとに表示される待機画面。この日は、なんと7万人待ち……。サーバーにアクセスする人が多いためだが、万博リピーターほど、この画面をさんざん見飽きて正直うんざりしている

取材・文・写真:シカマアキ