窓のない未来的なプライベートジェット…すでに300機の受注を獲得

「ファントム3500」の機体は涙滴型で、窓がない。

  • フレックスジェットは、スタートアップ企業オットー・エアロスペースが開発する「窓のない」ジェット機300機を発注した。代金は約60億ドルにのぼる。
  • ファントム3500は、涙滴型の機体を採用し、従来の窓の代わりにスクリーンを備えている。
  • フレックスジェットのプライベートジェットは、タイムシェア型で利用でき、若い利用者が増えている。

プライベートジェット大手のフレックスジェット(Flexjet)は、「窓のない」機体300機を約60億ドル(約9000億円)で発注した。これは、業界で実績のある大手航空機メーカーの基準から見ても、史上最大級の取引となる。

アメリカのスタートアップ、オットー・エアロスペース(Otto Aerospace)が開発する「ファントム3500」は、まるでSFアニメ「宇宙家族ジェットソン(The Jetsons)」から飛び出してきたかのようだ。機体の形状は燃料消費を大幅に抑えて航続距離を延ばす涙滴型で、従来の窓の代わりにスクリーンが設置されている。

初飛行は2027年、納入は2030年に見込まれている。

ただし、この機体はゼロベースで新規設計されており、まだ認証を取得しておらず、製造許可も出ていない。新しいコンセプト機は当初の計画より完成までに時間がかかることが多く、予定通り納入されるかどうかはまだ分からない。

オットー社のポール・タウCEO(左)と、フレックスジェットのケン・リッチ会長(右)。

機体の開発には課題が生じるかもしれない。それでもイノベーションに全力で取り組むフレックスジェットは、業界がまだ見たことのない形で変革をもたらせる製造パートナーを求めていると、同社のマイケル・シルベストロ(Michael Silvestro)CEOがBusiness Insiderに語っている。

「オットー社には感銘を受けた。技術は非常に効率的で、サイズ、速度域、快適性、燃費、持続可能性の面でも非常に優れている。それなら挑戦しない理由はない。航空分野における最新技術の限界をさらに押し広げるべきだ」

新型コロナのパンデミック後、プライベートジェット業界は好調を維持しており、特に40代の若手ビジネスパーソンを中心に、贅沢なプライベートジェットを求める人々が増えている。このような状況を背景に、フレックスジェットは今回、300機の発注を行った。

窓がない飛行機

新型の9人乗りファントム3500には、操縦席を除いて窓がない。その代わり、キャビンの壁や天井が大型スクリーンで覆われる。

シルベストロCEOによると、これらの「スマートウィンドウ」は、外の景色を再現したり、バーチャル画像を映したりといった複数の用途が想定されているという。最終的には、映画や動画など、顧客が好きなコンテンツを自由に映せることを目指している。

涙滴型の機体内部には、大型のアームチェアなどを設置できるほど広々としたキャビンが配置できる。

窓をなくすことで機体の表面が滑らかになり、抗力や燃料消費を抑える効果がある。ただし、オットー社はエンジン火災などの緊急事態発生時に機外の状況を確認する方法を検討する必要があると、シルベストロCEOは考えている。

「最近の機体、特に大型機には、あらゆる場所にカメラが設置されている。(ファントム3500も)外の状況を確認できるように信頼性の高い映像システムが必要になるだろう」

閉所恐怖症の人は乗れないかもしれないという懸念はあるものの、シルベストロCEOは、長い目で見るとファントム3500の革新的なデザインが顧客を引きつけると見込んでいる。そして最初の顧客になるのは、テクノロジーに精通し、変化に対して柔軟な若い層だと考えている。

「他の未来的な技術革新と同じだ。ウェイモ(Waymo)もかなり普及してきた。不安を感じさせるような技術でも、少しずつ慣れていけば、やがて当たり前の存在になっていくだろう」

若い世代は未来的なプライベートジェットの利用に積極的

フレックスジェットがオットー社に期待をかけるのは、若い人がプライベートジェットをよく利用するようになったことが背景にある。彼らは特に、ファントム3500などの未来的な技術を歓迎する傾向にあるという。

「顧客層は以前よりもかなり若返っている」とシルベストロCEOは語る。

「我々は今、10年分に相当するほどの新たな顧客を獲得している。40代の顧客は、プライベートジェットの利用に積極的で、特にタイムシェア型の所有形態が最も人気を集めている」

ファントム3500のインテリアは、フレックスジェットがすでに提供しているプライベートジェットと同様に豪華なものになるだろう。

フレックスジェットではタイムシェア型所有の利用が拡大しており、ファントム3500も運用開始後は、このプログラムに組み込まれることになる。

このプログラムを利用すれば、プライベートジェットを丸ごと所有することなく、その贅沢さやプライバシーを享受できる。機体そのものではなくフライト時間を購入し、複数の利用者で共有する仕組みだ。

ジェフ・ベゾス、イーロン・マスク、テイラー・スウィフトなどの著名なビリオネアは、プライベートジェットの位置情報を追跡するサイトやアプリへの対応策を講じざるを得なくなっている。こうした状況の中、プライベートジェットのタイムシェアはますます魅力的な移動手段となっている。

『Aviation Week』の航空機追跡データによれば、タイムシェアプログラムの利用はかつてないほど増加している。2025年6~8月のタイムシェア型所有は、2024年同期比で10%、2019年同期比で70%増加している。