預貯金や年金「半分もらえる」は幻想?…塾年離婚で知っておくべき“お金のリアル”

(※写真はイメージです/PIXTA)
離婚に当たって避けて通れないのが、お金をどう分けるかという問題。預貯金や年金には分割のルールがありますが、思わぬ落とし穴も。『熟年離婚 女性がお金で損をしない本』(河出書房新社)の著者、寺門美和子氏が離婚後で生じるお金の注意点ついて解説します。
預貯金は「必ず半分もらえる」わけではない
預貯金は、財産分与の対象ですが、現在の預貯金を半分ずつの分与では納得がいかない人もいます。
結婚前のお金と結婚後のお金を分けなくてはなりませんが、多くの人が独身のときの通帳をそのまま使用しています。とくに熟年離婚となると、古い通帳は捨ててしまったという人も多いのではないでしょうか。
結婚してからの預貯金は夫婦で協力をして築いた財産ですが、なかには「いや、配偶者は何の協力もしてくれなかった。それどころか……」というなら、弁護士に相談して法律的判断をしてもらいましょう。また、財産隠しをされているという疑念をもっている人も同様です。場合によっては、弁護士会照会をしてもらえるかもしれません。
結婚前の預貯金額が大きかったけれど「通帳なんてもうないわ」という人は、銀行に取引履歴の請求をしてみてください。原則10年より前の明細の取得は、各金融機関の規定によりますが、特別な事情があれば、取得できる場合もあるようです。
最近は、離婚後再婚する人も増えてきました。その際は、あらかじめ通帳問題対策をしっかりしておいてほしいと思います。

(図表1)財産分与
分割には制限がある?年金分割の注意点
離婚したら夫婦で「年金分割」ができます。しかし、年金分割できるのは、厚生年金のみです。年金分割に際しては、離婚前に必ず年金分割情報通知書の申請をしてください。
年金分割は、夫から妻へいくものとは限りません。厚生年金を受給する部分が多い人から少ない人へ婚姻期間中の厚生年金記録が分割されます。
妻から夫へ、年金分割の実情
ここで注意したいことが2点あります。まず、どんなに高収入でも、個人事業者で厚生年金に加入していない人(第1号被保険者)は、分割の対象にはなりません。なぜなら、基礎年金(国民年金)は、個人に帰属するものなのだからです。
たとえば、個人事業主の夫と厚生年金に加入している会社員(第2号被保険者)の妻の場合、どんなに夫の収入が多くても、妻から夫へ分割されてしまいます。
次に、夫が会社経営者等で高収入でも、厚生年金保険料には上限があります。それは標準報酬65万円(令和7年3月現在)です。
つまり、月額65万円の給与の人も、100万円の給与の人も、毎月給与から控除される厚生年金保険料は同じなのです。
なかには「うちの夫は高収入。離婚後、年金の半分をもらえば老後は安泰」と考える熟年離婚候補生もいますが、大勘違いなのです。
だから事前に「離婚したらどのくらいの年金分割がされるのか」を確認しておいてください。50歳以上なら、通知書に受け取り予測の金額が記載されています。50歳未満は標準報酬月額という、年金受給のベースになる金額しか表記されていないので、年金事務所かFPに受給額の目安を聞いてください。
昔は「老後の年金暮らし」という言葉がありましたが、いまは死語です。年金は「老後資金の一部」でしかないのです。それなら「年金保険料なんて支払うのがもったいない」という人もいますが、それもまた間違いです。
年金は終身保険です。一生涯受給できるものですから老後資金の一部にしてください。

(図表2)年金分割の注意点
Miwa Harmonic Office 代表
夫婦問題診断士協会代表理事
寺門 美和子
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