2000万円、年利4%運用で月10万円使った結果

お金は、寝ているか働いてくれるかで大きな差がでます(写真:metamorworks/PIXTA)

定年を意識し始めたとき、多くの人にとって真っ先に気になるのがお金の問題です。ここで参考になるのが世界の富裕層の考え方。金融コンサルタントでマネー教育の専門家である川口幸子さんは、定年後のお金の問題を考えるには、世界の富裕層が基本としている視点を持つことが大切だと説きます(本記事は、川口幸子・著『定年5年前に読むお金の本[超入門]』より抜粋、一部加筆のうえ、再編集したものです)。

「複利」の効果は「単利」とは全く違って絶大!

金利には単利と複利がありますが、単利は、元本のみに利息がつき、元本自体は変わりません。一方、複利は、運用で得た収益や利息を元本に加えて、その合計額に対してさらに収益や利息がつく仕組みです。

【一目瞭然】単利と複利で結果はこれほどまでに違う

100万円を年5%の利率で運用すると、1年後には5万円の利益が出ます。これは単利も複利も同じです。

でも複利では、その利益5万円も元本に足して、次の年は105万円に対して5%の利息がつきます。

つまり、お金が増えるたびに、その増えた分にもまた利息がつくのです。「時間」をかけるほど、増えるスピードは加速します。

利息が利息を生むことで、雪だるま式にお金が増えていく効果が期待できます。特に10年以上の長期で運用する場合、元本だけに利息がつく「単利」との差は歴然となります。

次の図をご覧ください。元金100万円を年5%の利率で運用した場合、30年後には単利では250万円になるのに対し、複利ではなんと432万円にもなるのです。

『定年5年前に読むお金の本[超入門]』より

単利と複利の主な商品は次のとおりです。

〈単利〉

普通預金、定期預金、財形貯蓄(住宅、年金など)、個人国債、社債(定期利払型)など

〈複利〉

投資信託、株式投資、iDeCo、NISA(再投資型)、保険(増加タイプ、積立型)など

「増やす」から「増やしながら使う」視点に変える

定年5年前からの資産形成は、若い世代とは少し考え方を変え、「増やしながら、安心して使う」という視点が大切です。

定年までは「資産育成期」と位置づけ、労働収入と投資で資産を増やします。そして定年後は「資産維持期」として、お金を増やしながら使うことも意識しましょう。

アメリカには古くから「4%ルール」という考え方があります。これは、年利(複利)4%程度で運用できれば、毎年その資産の4%程度を引き出して使っていっても、元本を大きく減らすことなく、資産を長持ちさせられる可能性が高い、という経験則に基づいた考え方です。

この「4%ルール」がどう機能するのか、次の図で確認してみましょう。ここでは、貯蓄が2000万円ある場合、65歳から年利4%で運用しつつも毎月10万円を取り崩していくケースを見てみます。

『定年5年前に読むお金の本[超入門]』より

ご覧のように、運用しなければ約17年後の82歳でお金は底をつきますが、4%で運用していれば約27年後の92歳で底をつくことになり、何も運用しないケースより10年間もお金を長く保有しておくことができるのです。

※「4%ルール」を厳密に当てはめれば、2000万円の4%程度は年80万円程度ですが、ここでは便宜上、月10万円、すなわち年120万円の取り崩しと仮定しています。

【時間軸でお金を分ける】

手元のお金は時間軸で分けて管理しましょう。

短期間のお金:日々出入りするもので、3年以内に必要な資金。預け先は、流動性が大切です。

中期間のお金:目的が決まっているもので、3~10年以内に必要な資金。預け先は、安全性が大切です。

長期間のお金:しばらく使わないもので、10年以上先に必要な資金。収益性のある場所でお金を働かせ、増やすことが大切です。

『定年5年前に読むお金の本[超入門]』より

分散投資の鉄則「1つのカゴにすべての卵を盛るな」

イギリスには「1つのカゴにすべての卵を盛るな」という格言があります。複数のカゴに分けて卵を入れておけば、1つのカゴを落としても、他のカゴの卵は無事です。

例えば、卵を10個持っていて、それを1つのカゴに入れて持ち運んだとして、そのカゴをうっかり落としてしまったら、すべての卵が割れてしまいます。

投資も同じことが言えます。1つの商品や企業にお金を集中させてしまうと、その商品が下落した時に大きな損失になります。

いくつかのカゴ(=投資先)に分けて持つことで、リスクを減らせます。