ルーブル美術館から奪われた豪華ジュエリー|王妃たちに愛された9点を深掘り

ルーブル美術館から奪われた豪華ジュエリー|王妃たちに愛された9点を深掘り
パリのルーブル美術館で2025年10月19日、クラウンジュエリーを展示する「アポロン・ギャラリー」から貴重な宝飾品9点の盗難事件が発生しました。そのうちの1点、「ウジェニー皇后の王冠」はすぐに美術館の近くで発見されましたが、損傷した状態だったことが明らかになっています。
被害に遭ったジュエリーは、すべてが王室ゆかりの品々。ナポレオン3世の妻であり、フランスの最後の皇后となったウジェニー・ド・モンティジョのほか、最後の国王ルイ・フィリップの妻マリー・アメリー、ナポレオンの義妹であるオランダ王妃オルタンスなどが所有していたものです。
盗まれた美術品を捜索する専門家が「いずれもフランスの誇り」だと称する、奪われた9点について、その来歴を詳しくご紹介します。
From TOWN&COUNTRY

GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle
ウジェニー皇后のティアラ
このティアラは、皇帝ナポレオン3世がパリの宝石商アレクサンドル=ガブリエル・ルモニエに制作を委託し、妻となるスペイン貴族テバ伯爵家の娘、ウジェニー・ド・モンティジョに贈ったもの。212個のパールと1998個のダイヤモンドに加え、992個のローズカットのダイヤモンドが使用されています。1887年に売却された後、1890年にオーストリア皇后エリザベートの甥である第8代トゥルン・ウント・タクシス侯アルベルトが購入し、婚約者のオーストリア=ハンガリー帝国のマルガレーテ・クレメンティーネ皇女に贈りました。それからおよそ1世紀後の1992年、ルーブル美術館はトゥルン・ウント・タクシス侯ヨハネスの妻、グロリア夫人からこのティアラを買い取りました。

GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle
ウジェニー皇后のリボンブローチ
パリの宝石商フランソワ・クレマーが1855年に制作したこのブローチは、当初はベルトのバックルとして使われていました。リボンをかたどったもので、2438個のダイヤモンドのほか、ローズカットのダイヤモンド196個が使用されています。その後、売りに出されたこのブローチを、当時NYの社交界をリードしていたキャロライン・アスターが、代理人の宝石商エミール・シュレジンガーを通じて購入。「アスター夫人のダイヤモンドのストマッカー」として知られるようになりました(ストマッカーは、ドレスの胸下からウエストまでの部分(ボディス)に付ける三角形の装飾用パネル)。ルーブル美術館は2008年、オークションハウスのクリスティーズが行ったプライベートセールで、100年以上にわたってアスター家に受け継がれていたこのブローチを入手しました。

GrandPalaisRmn (Louvre Museum) / Stéphane Maréchalle
ウジェニー皇后のレリクアリー・ブローチ
パリのジュエラー、アルフレッド・バプストが1855年にウジェニー皇后のために制作したこのブローチには、合わせて94個のダイヤモンドが使用されています。ルーブル美術館は1887年に、「聖遺物」を意味する「レリクアリー」の名がつけられたこのブローチを入手しました。

GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle
マリー・アメリー王妃とオルタンス王妃のサファイアのパリュール
サファイアをあしらった王冠とネックレス、ブローチ、イヤリング2点からなるジュエリーのセット(パリュール)のうち3点が、今回の事件の被害に遭ったといいます。盗まれたのは王冠とネックレス、どちらか一方のイヤリングとされていますが、詳細は明らかになっていません。また、マリー・アメリー王妃とオルタンス王妃、フランスの旧王家であるオルレアン家の家長ギーズ公ジャンの妻で「王妃」を自称したイザベル・ドルレアンが使用していたというこのパリュール。ルーブル美術館は、これらについて、「高名な女性たちがこのセットを身に着けた肖像画が描かれていますが、制作の経緯などは不明」だと説明しています。委託者、制作者ともに明らかになっていないといいます。ティアラには、24個のスリランカ産サファイアと1083個のダイヤモンド、ネックレスには8個のサファイアが使用されています。

Frederic SOULOY / Getty Images
マリー・ルイーズ皇后のエメラルドのジュエリーセット
32個のエメラルドと1138個のダイヤモンドがあしらわれたネックレスとエメラルドのイヤリング合計3点もまた、被害に遭ったと伝えられています。このセットは1953年にフランスのジュエリーメゾン、ヴァン クリーフ&アーペルが購入。その後、2004年にルーブル美術館が買い取っていました。【こちらもおすすめ】エメラルド、サファイア、ダイアモンド、ルビーの最新ジュエリー4選|歴史を紡ぐ貴石の彩り技と美学を極めたハイジュエリー6選|2025年ジュエリーの現在地カラヴァッジョを追いかける|ローマで見た大回顧展「カラヴァッジョ 2025(Caravaggio 2025)」〇選りすぐりの記事を毎週お届け。『婦人画報』メールマガジン(無料)ご登録はこちら
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