Google がCookie廃止を事実上撤回 プライバシーサンドボックスの停滞も鮮明に

Google がCookie廃止を事実上撤回 プライバシーサンドボックスの停滞も鮮明に
- GoogleはChromeにおけるサードパーティCookie廃止を見送り、現行の選択肢提供方式を継続すると発表した
- この決定はアドテク業界の期待を裏切るUターンであり、業界内に波紋を広げている
- プライバシーサンドボックスは継続されるが、スケーラビリティや運用上の課題から実験は停滞気味となっている
衝撃的な展開だ。GoogleはChromeにおけるサードパーティCookieの新たな単独プロンプト(通知)を導入しない方針を明らかにした。これはつまり、アドテク企業が世界でもっとも利用されているウェブブラウザ上で、引き続きターゲティング技術を使用できることを意味する。
この決定は、昨年7月に発表されたChromeチームによるサードパーティCookie廃止方針のアップデートからの事実上の方針転換(Uターン)であり、アドテク業界のエコシステムに動揺を与えることは必至だ。
「我々は、ChromeにおけるサードパーティCookieのユーザー選択に関する現行のアプローチを維持し、新たな単独プロンプトは展開しない決定を下した」と、Googleのプライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)担当バイスプレジデントであるアンソニー・チャベス氏は、4月22日付のブログ記事で述べた。「ユーザーは引き続き、Chromeの[プライバシーとセキュリティ]設定において、自分にとって最適な選択肢を選ぶことができる」。
もっとも、プライバシーサンドボックス構想そのものの終了を意味するわけではない。Googleによると、Chromeのシークレットモードにおける「IP保護(IP Protection)」のような一部のイニシアチブは、2025年第3四半期に向けて引き続き実施される予定だという。
チャベス氏のブログ投稿によれば、今回の決定は昨年の「アプローチ更新」発表以降に業界から寄せられたフィードバックを受けたものだという。
「サードパーティCookieの可用性に影響を及ぼしかねない変更については、依然として業界内に多様な見解が存在する」と同氏は述べ、イギリスの競争・データ保護当局とのやり取りにも言及している。
さらに「今回のアップデートを踏まえ、プライバシーサンドボックスAPIは、業界エコシステムを支援するために異なる役割を果たす可能性がある。我々は今後数カ月以内に、これらの技術更新のロードマップや、将来的な投資分野について業界と意見を交わしながら共有していく予定だ」と述べた。
プライバシーサンドボックスは「宙ぶらりん」のまま
今年初めに発表されたプライバシーサンドボックスの進捗レポートでは、特にアトリビューションに関する技術的課題に対するフィードバックが紹介されたが、それに対して批判的な声もすぐさま上がった。
それにもかかわらず、クリテオ(Criteo)傘下のビッドスイッチ(BidSwitch)、インデックス・エクスチェンジ(Index Exchange)、ラプティブ(Raptive)といったアクティブな参加企業は、提案されたAPIの実験を続けてきた。
しかし、そうした関係者からは、サンドボックスの1対1設計が、アドテクにおける複数関係者による運用モデルと相容れず、スケーラビリティやリアルタイムデータ処理を阻害しているとの指摘もある。
一方、パブリッシャー側ではヘッダー入札による即時収益を優先する傾向が強く、レイテンシ(遅延)や動画サポートの限定性も障壁となっている。こうした背景もあり、プライバシーサンドボックスでの実験は事実上停滞している。
この件は、現在も進行中のストーリーである。
[原文:Google Chrome will now continue to use third-party cookies]
Ronan Shields(翻訳・編集:戸田美子)
Illustaration: Ivy Liu